第15話 私たちの関係とライブ計画


「ここのショートケーキおいしくて有名なの」

「気に入った。学園祭には間に合わねーからクリスマスにライブやらねぇか?」

「優子ちゃんに自信がつくといいけど。この前も自信なくしてたから」

 私の家で練習中。ライブの計画を練っていた。2人は楽器に自信があって、私はピアノの経験は長いけど、キーボードはまだまだ未熟。キーボードにはたくさんの可能性があるから、つかいこなしたい。

「クリスマスには私もみんなに披露したいな」

 クリスマスライブ。なんかすっごく青春っぽい。クリスマスを一緒に過ごす彼氏はいないけど、仲間はいる。この仲間って響き、すごくステキ。

トントン

「優子、ショートケーキにお茶持ってくの忘れたでしょ」

 家に入る時出迎えたのは私のみ。初めてバンド仲間を見たお母さんは、ぎょっとしていた。

「はじめまして。いつも優子ちゃんにお世話になっています」

 優等生の悟くんは大丈夫。問題は、ピアスに指輪に茶髪にその他諸々……。おしゃれなだけでなく、とんがった雰囲気をかもしだす明日香さんだ。私がつきあうタイプの女の子じゃない。でも、こちらをにらみつけてから、

「はじめまして、お世話になります」

 きちんと挨拶をしてくれた。お母さんも少しほっとしたのか、おぼんを片手に台所に戻ろうとするけど、

「最近、優子お勉強をサボっているのよ。あなたたちの影響かしら?」

 嫌みを言ってきた。

「優子ちゃんはなんでも頑張っていますよ。僕たちが勉強の面でもサポートしますから、安心してください」

 悟くんはやはり頼りになる。みんなを呼んでよかった。家族に友達を紹介したかたから。明日香さんとも仲良くしていること、自慢したかった。もう友達がいないじゃないから。楽しいこと、精一杯やってきたいから。

「お母さん、成績も活動も任せて」

 苦笑いを浮かべてから、今度こそお母さんは部屋から出て行った。

「じゃあ練習するよ!この前はみえはって曲作るって言ったけど、いつかちゃんと悟くんが作ってくれた詩に曲つけてみんなで演奏しよう」

「クリスマスライブでオリジナルソング歌うのはどうかな?」

「いいんじゃねーの」

 ふと思った。私は2人を仲間、とか友達って思っているけど、2人はどう思っているのだろう。

「私たちの関係って何かな?」

「今更なんだよ。わかんねーか?お前言ってやれよ」

「分かった。優子ちゃん、僕たちはマブタチだよ」

 ーマブタチ。そのなんとなく照れくさい響きに、感動と苦笑をしてしまった。

「笑ったでしょ。いやだな」

悟くんは、私が照れ隠しに笑ったのを承知で、わざと怒ってくれた。私たちはマブタチ。

 関係性を再確認したところで、まずレモン・スカッシュの曲を練習。オリジナルソングに取り組みたい。私たちには、無限の可能性があるのだ。それを楽しみにしていこう。

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