潜水
生まれた後、目を開けると
目の前には大きな海
どこから潜ってもいいけれど
たいていの人は近くから潜る
宝物を見つけるため
人々は海に潜る
宝物は人それぞれで
潜り始めた場所によって
大きさや種類は変わる
潜り始めた時は
小さい宝物
潜ってすぐのところにあって
楽にとることができる
年をとってくると
立派な宝物が欲しくなる
それは随分と深いところにあるから
工夫をして
長い年月をかけてとる
宝探しは死ぬまで続いて
中盤ではミッションを出される
この宝物を見つけてこい
見つけられるまで戻ってくるな
その宝物はとても深い場所にあって
容易にはとることができない
一回息継ぎをしなくては
そう思って水面に戻るも
水面に膜がはられて息継ぎができない
水が肺に入りながら
死ぬ気で見つけてとって帰っても
その宝物はすぐに奪われて
なけなしのおこぼれをもらう
自分の身をいたわる時間すらないままで
次のミッションを与えられる
追いつめられて
逃げようにも
海から離れることはできない
そんな理不尽な潜水を続けて
たまった宝物
それらを見て
良かったと思えるなら
それは素晴らしい人生だ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます