潜水

生まれた後、目を開けると

目の前には大きな海

どこから潜ってもいいけれど

たいていの人は近くから潜る


宝物を見つけるため

人々は海に潜る

宝物は人それぞれで

潜り始めた場所によって

大きさや種類は変わる


潜り始めた時は

小さい宝物

潜ってすぐのところにあって

楽にとることができる


年をとってくると

立派な宝物が欲しくなる

それは随分と深いところにあるから

工夫をして

長い年月をかけてとる


宝探しは死ぬまで続いて

中盤ではミッションを出される


この宝物を見つけてこい

見つけられるまで戻ってくるな


その宝物はとても深い場所にあって

容易にはとることができない

一回息継ぎをしなくては

そう思って水面に戻るも

水面に膜がはられて息継ぎができない


水が肺に入りながら

死ぬ気で見つけてとって帰っても

その宝物はすぐに奪われて

なけなしのおこぼれをもらう


自分の身をいたわる時間すらないままで

次のミッションを与えられる

追いつめられて

逃げようにも

海から離れることはできない


そんな理不尽な潜水を続けて

たまった宝物

それらを見て

良かったと思えるなら


それは素晴らしい人生だ


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