つぐない
沢尻秋斗
第1話
佐野満。愛する妻・千里は、若いうちに交通事故で亡くし、四人の子供を男手一人で育てあげた。長女の久美は、同じ職場で知り合った男性と結婚を前提に交際している。
満自身は、先代のオーナー及び仲間たちと一緒に立ち上げた新しいスタイルのコンビニチェーン「タカトク」の経営陣の一人として、自らも店の経営をして、奮闘している。
新しい店を地方に出店するため、経営陣の一人・太田と、いま秋田に向かっている。彼とビールを片手に話を弾ませながらも、実に久しぶりに乗った東北、そして秋田新幹線の車窓を見ながら、様々なことを思い出していた。
千里が眠る彼女の故郷、北上を通過する列車の中で、初めて千里の実家に挨拶に行った時のこと。更に遡って満の出身地である秋田県大館市から、大の仲良し三人組で、当時大宮始発だった新幹線を使って、首都圏の国立大学に受験しに行った時のこと・・・。あまりの懐かしさ、そして今でも心の底から愛している千里のことを思い出して、思わず目が熱くなっていた。
列車は間もなく秋田到着。三人組で乗った特急「たざわ」での思い出に浸っていた。満は何だか胸騒ぎした。いつもと違う感覚。まるで、これから起こることを暗示しているかのようだった。
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