第26話 大団円1

 場に居るのは中心であるところの彩木瞳。

遠藤修平のグループは遠藤一人。七野修太郎

のグループは四人と一匹。関東弘心会関係は

榊原他伸びている神林などのチンピラ含めて

六人。公安が一人、内閣情報室が二人。そし

て火野将兵。


 それだけでも十分混沌としている。


「亮太は戻って居ませんか?」


 救急車で付き添っていたはずの結城高弥が

戻ってきた。


「亮太?一緒だったんじゃないのか?」


「それが、途中で救急車の前に飛び出した車

があって急ブレーキで停まると、その車から

数人が降りてきて亮太を拉致っていってしま

ったんです。私は急なことで動けない救急隊

員に邪魔されてしまって為す術がありません

でした。仕方なく戻ったんですが。」


「そうか。ここには戻ってないみたいだが。」


 そこへ桜井亮太を連れた数人が入って来た。

特に強制的に連れてこられた風ではない。むし

ろその数人を亮太が引き連れて来たかのようだ

った。


「まだ増えるのか、何者だあんたたちは。亮太

をどうするつもりだ?」


「初めまして。まあ初めましてでもない人たち

も居るようですが。私の名前は綾野祐介といい

ます。こっちは岡本浩太と結城良彦。そして彼

女は風間真知子。私たちは、まあ、何でも屋で

す。」


「先生、そのザッパな自己紹介はなんです。も

うちょっと何かありませんか。」


「あっ、岡本君だ。」


「ああ、君塚さん、斎藤さんたちもお久しぶり

です。七野君も僕のことはあまり知らないと思

いますが、一時期同級生だったんですよ。年は

ちょっと僕の方が上ですけれどね。もう一人、

彼は初めまして、ですね。」


「公安や内情は一方的に私を知っている顔見知

り、ってことでいいのか?」


「綾野先生、初めまして、でよろしいでしょう

か。私とこの本山は内情、そっちの男は公安の

西園寺です。」


「で、遠藤君、だったか。新山教授や恩田准教

授から話は聞いている。亮太君には手荒なこと

はしていないから安心していてくれたまえ。た

だ、今からここで話される内容については彼に

も聞いておいてほしい、ということで少し強引

に連れてこさせてもらった。高弥君だったか、

君にも悪いことをしたね、結城君の甥御さんだ

ってね。」


「叔父がお世話になっております。でいいんで

すか、叔父さん。」


「久しぶりだな高弥。元気だったか。」


「叔母さんは心配してましたよ。」


「悪いな、この人たちの手伝いで戻れないんだ

よ。よろしく行っておいてくれ。」


「そして火野君。随分と世界中を飛び回ってい

るようだね。順調に進んでいるのかい?」


「綾野先生、お久しぶりです。順調とは言えま

せんが、私なりに。」


「いずれ君とは決着をつけないといけない日が

来そうだね。まあいい、君に頼みがあるんだが

彼女のことを少し頼めるかね。」


 綾野は彩木の方を見て言った。何を頼まれて

いるのか、火野には理解できているようだ。


「判っています。桜井亮太君の方はいいのです

か?」


「どうだろうね、何とも言えない、というのが

正直なところだが、やはり彼には聞いておいて

もらう必要があると思うんだ。」


「わかりました。」


 榊原や修平・高弥、七野達も二人の会話には

理解が追い付いていない。内情の二人はどうも

何かを知っているようだった。


「では。」


 火野が徐に彩木瞳の方を向いた

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