第15話 始まりの少女4
電気も点けられずひっそりと過ごすしかな
い彩木瞳は途方に暮れていた。
「どうしよう。」
仕方なく友人にLINEしようとスマホを
みると知らない人が友達になっていた。
「君塚理恵、って誰?」
知らない名前だった。プロフィールに写真
があった。さっき公園で話しかけてきた女の
人だ。
「なんで友達になってんの?」
訳が判らなかった。ただ、このまま理由も
判らないまま追われ続けるのも嫌だったので
追われる理由を探る決心をした。表で見張っ
ている男たちは論外だったが、唯一女性だっ
たのが彼女だ。瞳は連絡を取ってみることに
した。
[あの、はじめまして、彩木瞳です。さっき
公園で声をかけてきた人ですよね?]
「あっ、あの子からLINE来た、なんで?」
(おいらがさっき会った時に友達に入れとい
た。)
「ええぇ、やるときはやるじゃんヴル。そん
なこともできるんだ。」
(お前はおいらのことを単なる役立たずと思
ってないか?)
「いや、まあ、それは否定できないけど。」
(もう協力してやらんぞ。)
「いやいや、ヴルもアザトースに怒られちゃ
うんじゃない?」
(本当にお前はその名前を軽々しく口にする
奴だな、自分がどれだけ恐ろしいことをして
いるか、自覚がないのか。)
「そんなの無いわよ、修太郎の身体に入って
て加奈子には弱い、それだけの認識でしかな
いもの。」
(怖いもの知らずにも程があるな。それより
返信なくていいのか?)
「そうだよ、早く返信しないと。」
「もう、健はだまってて。今するところなん
だから。」
理恵はできるだけ丁寧に瞳を説得しあう約
束を取り付けることに成功した。待ち合わせ
にはなんとか七野修太郎と斎藤加奈子を連れ
て行くつもりだった。でないと自分と紀藤健
だけではどう足掻いても事情を説明できそう
になったからだ。
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