第7話 遠藤修平5

「それで、あんたたちは公安か何かか?」


「あんな奴らと一緒にしないでくれるかな。」


「じゃあ一体。」


「私たちは内情だよ。」


「内閣情報室か。」


「まあ、そういうことだ。公安のような自

分たちにしか通用しない正義に基づいた活

動を行っている集団とは違うのだよ。私た

ちは本当に国家の安泰を願っている、首相

直属の組織だ。私は内情11課の早瀬とい

う。こちらは本山だ。」


「こっちのことは調べが付いているんだろ

うが俺が遠藤でこっちは結城。そこで転が

っているのは広瀬渉に五代祐作。そういや

信一はどうした?」


「ベースには戻っていません。家に帰った

んじゃないですか?」


「そうか、、まあ無事ならいいが。」


「そして病院から行方を眩ませた桜井亮太

君の6人が君たちのグループという訳だ。」


「まあ、基本的にはこの6人で連るんでい

ることが多いな。そんな話をしに来たんじ

ゃないだろう。本題に入りなよ。」


「せっかちな奴だな、いいだろう、本題に

入ろう。」


 結城高弥は渉と祐作の拘束を解くと修平

と同じソファーに座った。渉と祐作は部屋

に隅の壁にもたれている。早瀬と本山は修

平と高弥の反対側のソファーの後ろに立っ

た。


「まず聞きたいのは、君たちは彼女がどう

いう娘なのか知っているのかどうか、とい

うことだ。」


「俺の他のメンバーは何も知らない。俺も

知っているというほど何かを知っている訳

でも無い。ただ、ある男にあの娘を探し出

してほしいと依頼を受けただけだ。」


「何も聞かされずに金で雇われた、という

ことか。」


「金なんか貰ってないし、貰うつもりもな

い。頼まれたときに見せたあの男の奇跡を

信じただけだ。それでいったいあの娘は何

なんだ?」


「知らないのなら、それは言えない。言え

ない理由も言えない。」


「それで俺たちから何かを聞き出そうとい

うのか?」


「そうだ。私たちに協力してほしい。これ

は依頼ではなく命令だ。その男はどんな奴

だった?」


「命令だ、なんて言われると従う気が失せ

るね。まあ、どんな男だったか、くらいは

話してやってもいいが。」


「では、それだけでも頼む。君たちと敵対

する意図はない。」


「まあいいさ。その男は年は俺たちより少

し上、せいぜい23~4歳位だと思う。背

は高い方ではなかった。俺と変わらなそう

だったから170cmちょい上、というと

ころか。」


「それで、その男が見せた奇跡というのは

何だ?」


「その男は正真正銘のファイアスターター

だったよ。手品ではなく本当に発火させて

見せたんだ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る