明日の空が変わるまで

綾綺 瑠梨

プロローグ


 あなたは、目の前におかれた事実を信じることが出来ますか?受け入れることが出来ますか?


 もし、明日の世界を変えることが出来るのなら、今を信じますか?明日を信じ続けることが出来ますか?



 これは、あなたにも起こる日が来るかもしれません。










 月明かりが照らす夜。川沿いから見える花火を一人で眺めていた夜。僕は彼女に出会った。


「君、死ぬよ?」


 そう言った彼女の笑顔は、どこか不気味だった。


 紫陽花の浴衣を着た彼女は、花火に照らされてより綺麗に見えた。後ろに高く結んだ長い髪は、黒一色だ。整った顔立ちと、僕に見せる笑顔は何故か僕の心臓をうならせる。


「何を言っているの?」


 僕は、嘲笑うように言った。


「そっかー。信じないんだ。一年後に死んでも知らないよ?」


 僕の返事を待たずに、ケラケラと笑って彼女は帰って行った。

 満月の月は、雲に被さっていた。花火の音が鈍く聞こえる気がしたのは、きっと気のせいだろう。




 僕が彼女の言葉を信じるわけが無い。

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