第一幕)視線の先にある視界
空が明るくなるのが日に日に早くなっていく季節。草木や花が徐々に徐々にその彩りを華やかなモノに変えていく季節。そして、出会いや別れや嬉しさや悲しさや喜びや切なさや寂しさといった真逆な感情を際立たせるイベントがある季節。それが春の始まり。それが冬の終わり。晴れた日の日中はぽかぽか陽気と表現しても差し支えないだろうけれど、まだまだ朝晩は依然として寒く、雨が降ろうものなら日中であろうと冬の冷え込みを取り戻したかのような寒さを感じる頃。そんな季節の移り変わりは意識していなければある日突然、突然と言えば突然で唐突と言えば唐突に、けれど必然的に訪れるのだけれど、こうして意識していると雪でも降るのではないだろうかというくらいの寒い日が当たり前のようにその姿を見せる。故にまだ、そんな頃。なのでまだまだ、そんな頃。つまるところ今日は、いいやここ何日かはたまたまぽかぽか陽気なだけであって、明日以降もこれが続くなんて期待してはいけない。と、思いつつも。四季という名の気候の変化が様々で色々な事象を織りなす地域………と、いうか地帯に居を構えている限りにおいて、徐々に徐々にではあるのだけれどアッと言う間とも感じられるペースで確実に、刻一刻と移り変わっていくのだろう暖かさへのシフトチェンジは、僕のような寒がりさんにとって恋焦がれてやまない想い人の来訪を心待ちにしている状況と似ている気がしないでもない。地軸が少し傾いているだけなのに、それだけなのにハンパないと表現したくなるくらいの気温差。冬から春、そして夏へ。恐るべしだよ地球と太陽の関係。例えば、この先あらゆる生物が更にその数を増やし続けてみたとしても、地球にかかる重量の変化なんて微々たるモノだったりするのだろうか? 案外と自転や公転に影響を与えてしまって更に傾く、なんていう事態にはならないものなのかなぁ………ま、それは兎も角としておこうか。判らない事を調べもせずに思いついたまま進めてみたところで、自己満足という答えしか得られないのだから。正解だろうと不正解だろうと、ね。
何はともあれどんなワケだかそんなワケで、縁側あたりでぼぉーっとしていたらすぐさま寝落ちへの道に進路を決める自信あり、えっへん。と、胸を張ってしまうくらいのぽかぽか陽気。たまたまだろうと何だろうと数日後には雪が降るかもしれない冷え込みが戻ってくるかもしれなくても、それでも今日はぽかぽか陽気。そのまんまそのとおり青空な雲一つ見つけられない青い空の下、つまるところ快晴という空模様の今この時に到達しているこの僕から遡って凡そで二時間くらい過去の事、その時の僕はまだ目的地に向かって地面を踏みしめていた。内側にある激しい焦燥感を外側に晒してしまう事にはならないよう、アレやコレやと忙しく、気を紛らわせながらそうしていた。
が、しかし。教えられた目的地に近づけば近づく程に焦燥感は激しさを増し、到着が間近に迫っている事を自覚せざるを得ない目的地の外観が視界に映る頃にはもう、他の事を何一つ考えられなくなるくらいにまでその焦燥感に支配されていた。それどころか、それから僅か数十分後にはもうそんな心持ちすら軽く凌駕してしまって更には、その形態を著しく変えてしまうという瞬間を迎えるに至る。つまるところ、ぽかぽか陽気とは裏腹に心持ちは陽気な気分ではとてもいられそうにない程の事態に直面していた。
こんこん、こん。
何故なら、告げられた病室のドアを軽くノックして取り敢えずの来訪を知らせたその僅か後、暫し硬直してしまうのも無理はないという光景を視線の先に見てしまったからだ。それで僕は、思考する為に必要な情報は感情という名の自己完結装置が眼球を使用して導き出してはいたのだけれど、皮肉にもそれによって思考するという精神的余裕を根刮ぎ失ってしまう事になる。
驚愕し、愕然となった。
そして唖然とした、と。
そういう事です。
僕をすっかりフリーズさせるに足る事となったその原動力は、何気ない日常の風景という枠組みの中に、ぽつん。と、キャスティングされていた。それを敢えて例えるとするならば、予想を遥かに凌駕した予告先発投手の変わり果てた姿。と、いったところか。勿論の事、予告された先発投手が登板する姿を過去に見た記憶の中から勝手に思い浮かべていただけだし、実際には先発でも投手でもなく、華奢で小柄な所謂ところの人間の更には女性なのだけれど、視線の先にある視界を独占するに至ったその姿形を説明不十分に伝えられていた僕からしてみれば、実際に目の当たりにしてみると、『たぶんきっとどころか間違いなく予告されていた先発投手と同一人物ではあるのだろうけれど、しかしながら記憶している姿とは似ても似つかなかったので、それ故に受け入れるどころか受け止める事にさえ失敗してしまいましたとさ』と、表現した方が正しく心情を表しているかもしれない。
が、しかし。それでも、まだ。拒否とか或いは拒絶といった感情は自身でも不思議なくらいに全くもって皆無だった。ただしそれを、流れゆく時間の最中に投影させる事が滞りなく出来たかと言えば………うん。つまるところ、フリーズからなんとか脱却したその後に遅ればせながら平静を装おうとどうにかこうにか思考というヤツを展開してみたものの、それもまた上手く出来たかどうかについては微妙というラインを著しく下降してしまい、どうにもこうにも残念なレベルに終わったといった感じだろうというのが偽らざる自己評価だったりする。
平たく言うとするならばただただ時間を無駄にしただけで、はっきり言うとするならば大が何個も連なる失敗だったのだけれど、試みたところでそうなるのは仕方のない事だとも思わずにはいられない自身が色濃く存在しているのもたしかだった。それは勿論の事、僕が僕自身に際して甘い点数を付ける性質というワケでは決してなく、不特定多数の人が同じような結果に陥る筈だという思いによって、だ………なんてね。不特定多数側に身を置こうとするあたり、実のところ体のよい開き直りなのかもしれない。
「よ、よっす………」
が、しかし。やっぱり。そのような言い訳染みた思いを盾にしようとするのは無理からぬ事な筈だ。だって、それはそうだろう。余りにも予想外で想定外な現実を提示され、意図も容易く焦燥を越えてしまったのだから。それどころか、それでも足りずに愕然を登り終えて唖然を通過しきったそこで、がっちがちに硬直している状態にいるのだから。あのね朋美さん、僕にも心の準備が必要な事くらいあるんだぞぉー。
「………久しぶり」
それでも何とか、本当に何とか、当たり前でしかない言葉を搾り出した。そこに辿り着くまでに不自然な間が随分とあったのは否めないのだけれど、それでも充分すぎるくらい十全だとも思う。精一杯と言う名のモチベーションを全て、そしてそうではない所にある頼りないそれも含めて一切合切、丸っと総動員させた一世一代の声かけだったのだから。
「だな。ユナ………」
時間で言うならかなり見慣れたと表現すべき事で、時期で言うならたしかに見覚えのあると表現すべき筈なのに、実際にこの現実という事実に立ち会ってみると、『どうも、はじめまして』と、表現しなければならないのではと思ってしまうような光景。それが僕の視線の先にある視界のド真ん中で、脳を、心を、身体を、つまるところ僕という僕をそれこそ瞬く間に支配している。愕然。唖然。そして、それに続く茫然。そのどれもが、ぴたり。と、当てはまる。ざわざわとした痺れが寒気を伴って、身体中を這いずり回る。ぴくりとも動けない。動かない動かせない動く気配も全くない。もしかしたら呼吸する事さえ暫く忘れていたかもしれないし、更に言えば鼓動する事さえ滞っていたかもしれない。そんな中で発する事が出来たのが当たり前の言葉だったのはやっぱり、十全だと自己満足するに値する会心の一言だった筈だ。愕然、唖然、そして茫然というコンビネーションをクリティカルな強さと大きさで喰らってはいたものの、それはもう痛恨の大打撃と言いたいくらいに浴びていたものの、僕という個体の内側にある中身は既に、徐々にではあるのだけれど様々な思考や感情のアレやコレやがもうそれはそれはそれぞれに、激しくも身勝手な自己主張をしていたのだから。
「………」
自身の内情を知る自分が客観的に自分自身を総括するとすれば、少し乱暴ではあるものの何もかもをひっくるめて、『決して穏やかにはなれないであろうくらいの寒気を帯びているのに、逃げるを選択してくるりと踵を返すという事はどうしても出来ない、そんな感覚』と、纏めてしまうのが妥当といった感じ。が、しかし。少しでも気を抜いたら、わなわな。と、へたり込んでしまいそう。予想、予測、推察、推測、それらのどれかをするという余裕はこの時になっても何処にもなかった。視線の先にある情報から身勝手に想像してみるという事すらしていなかった。この光景が表面上では無機質に、心情的には無遠慮に僕の眼前へと表れたというこの現実に際し、落ち着いて対応する事が出来なくて真っ逆さまに脱落しかけている。今にも、ごろごろ。と、転げ落ちかけている。
「………」
が、しかし。またまたしかし。そうなろうがなるまいが現実から存在を抹消してもらえるワケがなく、棄権なんて許してもらえず、やり直しなんてコマンドが用意されているワケもなく、ただただこの状態での参加をこのまま強制されるだけ。繰り返すこれは訓練ではないどころか、これはゲームの世界ではないといった感じか。けれど、そんなの当たり前の事。それがこの世界の仕組みなのだから。
「「………」」
実のところ。重い空気を際立たせていた音のない時間は、僅かばかりの事だったかもしれない。或いは、それなりに永遠を想起する程の事だったのは体感時間だけだったかもしれない。
何も聞こえない。
何一つ動かない。
僕の内側以外は。
「わざわざ此処まっ、で………こんなところまで来てくれたですか………ヒロさん」
そんな空間を声という音を用いて緩やかに震わせたのは、眼前に居る華奢で小柄な所謂ところの女性とか予告先発選手と表現した由奈、たぶん………いいや、きっと由奈その人だった。僕を僕だと認識したからなのだろう、がはっと跳ね起きて暫し震えた後に、ぽつり。と、独語のようにそう呟く。暫し震えたのはたぶん、跳ね起きた事による痛みによってなのだと思う。だって、目視可能な部分だけを見たとしてもそれはもう十人十色なくあきらかに………うん。
「ヒロさんが来てくれた………ヒロさんが会いに来てくれた………私、凄く嬉しいですぅー!」
感情を乗せながら、ぽつり。噛み締めるように、ぽつり。そして、喜びの感情を僕へ向けて一直線に放射するかのように晒す。眼前のたぶん由奈が、続けざまに。けれど今度は強烈な衝撃音として、ここにある空気を震わせた。
笹原由奈、ささはら・ゆな。
それが、眼前の彼女の本名。
「ユナ………」
僕は、由奈をそう呼んでいた。
そう呼んでいるのではなく、
そう呼んでいたのだ………。
どうやら、眼前すぐ先の女性はたぶんでもらしきでもなくやっぱりできっとだった由奈本人で間違いないようだった。体躯や声色や声質を脳内検索してみた結果、検索してみるまでもなかったのだけれどこれはもう間違いなく由奈であるという確信を得る。
それにしても、
どうしてそんな事に………。
由奈がこのような酷い事態に至る事を知るキッカケとなった由奈からの電話の件まで、つまるところほんの二~三週間前まで、更に言えばここ暫く、約半年近くの間、正直に言うと由奈という存在自体が脳裏に浮かぶ事はなかった。僕にとっては完全に………うん。意識なく完全にと表現してしまう程に、丸っきり過去の存在になっていた。
「私ね、ずっとずっとずっと待ってたんです」
時間で言うなら聞き慣れたと表現すべきで、時期で言うなら聞き覚えがあると表現すべき声。つい先程の喜びの声に続くそれは、少し鼻にかかった丸みのある柔らかなそれが幾分だけ重さを増して沈んでいた。この状態では口を動かしにくいのだろう、だからなのだろうくぐもってはいたのだけれど、先程のと合わせてそれも間違いなく、疑う事なく、紛う事なく、容赦なく、十全に、完全に、由奈が所有しているそれと一致していた。
「そっか………ゴメン」
そして、僕の事を『ヒロさん』と、呼んでいる事も誰あろう由奈その人と、ぴたり。合致している。
「ユナ………ゴメンな」
ヒロさん、か。久しぶりにそう呼ばれたよ。そんな感慨深い念を抱いてしまうくらいに遠い過去となっていた、由奈による呼び掛け。
木下宏典、きのした・ひろのり。
これが、この僕のフルネームだ。
「ゴメン………」
由奈は僕の事を、ヒロさん。と、そう呼んでいた。そしてどうやら、今もまだそう呼んでいるようだ。たぶんきっと当たり前のようにそう呼び続けていたのだろうし、僕を過去にはしていなかったのだからこれからも僕をそう呼ぶのだろう。
「………ゴメンな」
僕はそう繰り返す。ただただそう繰り返した。その言葉しか思いつかなかったからだ。そして、無理やり微笑む。なんとかかんとかどうにかこうにか微笑みという表情を作る。それにしても、痛々しいと思わずにはいられない由奈の姿。そして、この病室のドアの前に立っていた制服警官。一体全体、由奈の身に何が起こり、何が起こっているというのだろう?
「ううん………来てくれましたから。こうして会いに来てくれましたから、だから、だから私、凄い嬉しいですおー」
由奈が甘える。特に語尾に注目。自身の想いの強さや深さを判ってもらおうとする時、由奈は舌足らずな話し方を意識して作る。これはたぶん、ネットやラノベなるものから拝借したのだろうと思う。そして、僕のターンに激しく期待する。こういうところも以前と少しも変わってないなぁ………って、そうそう変わる類いの事でもないか。それにしても、久しぶりの再会にあたってこのような設定が加味されるとは、運命とは時に残酷だなと思わざ、る、を………うん。由奈に与えられた人生は特にそうだ。と、言い直すべきなのかもしれない。兎にも角にもそのくらいそう思わざるをえない痛々しさだ。
「そっか、うん」
どうしてこう由奈は次から次へと無慈悲な試練ばかり浴びなければならないのだろうか? 幸福は誰しも平等にあるなんて、少なくとも僕は全面否定したい気分だし、大きさによってその数にバラつきが出たり時期がそれぞれバラバラだったりするのだとしても、だからトータルで平等だなんてもしも言われた日には、あちらさんのご都合主義のようで開き直りにしか聞こえない。確かにいるのだとすれば、至るところで悲しみにくれている者がいるという不平等さが消えないのは何故なのか。それとも、残念ながらいないから不平等さが消えないのか。いてもいなくても消えないのなら、つまるところ………って、そんな事は期待する方が間違いなのかもしれないね。現状を見るに、いるとしても答えてはくれる気はないのだろう。どんなに祈ろうと。僕が助けられなかったあの人もそうだった。あの人………薫子もそうだ。薫子も由奈も次から次へとこんな酷い事ばかり…………。
やっぱり、うん。ダメだ。
どうしても重ねてしまう。
違うって判っているのに。
身に染みている筈なのに。
「ヒロさん………私、私ね、ずっとずっと会いたかったです」
由奈の声が弾みを取り戻した一旦は沈んだその声に甘い丸身が帯びてきた。嬉しそうなのが声だけでも存分に判る。それに、同じ類いの言葉を繰り返すところも以前の由奈がリンクする。よほど嬉しいのだろう、だって同じような事の何度目かを言い終わるや否や、もう我慢出来ませんとばかりに僕に向かって駆けてこようとするくらいなのだか、ら、って。
えっ?
えっ!
それはマズいんじゃ、
「ヒロさっ、んきゃう!」
駆けてきたのは僅かに一歩と少し。その途端に、よろよろ。そして、がくがく。更には、わなわな。と、よろめいてそのどれもに抗えず、そのどれもに抗えなかったが故の結果として崩れていく。
ほら、やっぱりだよ!
「ユナ!」
僕は大慌てで由奈に駆け寄り、大急ぎで由奈を抱き寄せ、大わらわで由奈を支えるという難易度結構お高めのミッションに志願し、それらの完遂になんとか成功した。由奈が駆け出した瞬間、そんな姿でその挙動は危ないのでは? と、幾分遅れ気味ではあったものの反射的に感じた事で始めの一歩を早く出せたからなのだろうけれど、それでもどうにかこうにか間一髪といった感じだった。危なかったものの、床に向かって激しく転倒するという事態を回避する事はなんとか出来たようです。
「あう、う、く、こんな姿でゴメンなさい。でも、でもやっぱり、やっぱりこうなったから会えましたし、だから、だから、こうなって幸せです………えへへ。ヒロさぁーん」
こんな姿、か………うん。たしかにそう、そんな姿だ。僕が絶句した理由はまさにそれだ。
「いやその、あのさ………」
僕は逡巡しつつも、残っていた冷静な部分で由奈の現状についてそう思った。
こんな姿。
そんな姿。
とは、目や口など部分的に隙間を空けてはいるのだけれど、その殆どが綺麗な包帯によってグルグル巻きになっている。見える範囲は目視の結果として先程から判明していた。だから最初、眼前に存在している人物が本当に由奈なのかどうかを認める事に躊躇してしまったのだけれど、今はもう由奈本人だと認めざるをえない段階に突入しているのだから、気持ちを切り替えて情報収集に努める事にして………まずは、由奈を抱きしめる形になった事で、包帯はどうやら全身に及んでいるようだと、入院着の上からでも感触だけで推測。それとプラス、ちらりと覗いて補足してみる。つまるところ、全身至るところに包帯を使用しなくてはならないほどの傷があるという事になり。それほどまでの大怪我を負っているという事になる。
「無茶な事しちゃダメだろ、ユナ」
そう言いながら。諭すような口調を少しだけ取り入れてそう告げながら。痩せたのか窶れたのか以前に比べて更に細くなったような………と、記憶からの違和感を覚える。
「えへへ………こうしてヒロさんに抱きしめてもらったのって、凄い久しぶりですぅー」
すると由奈、僕の言葉への返答とは程遠い言葉を返してくる。前のめりに倒れ込んでいく由奈を大慌てで受け止めようとしたので、たしかにぎゅっと抱きしめるような形になってしまってはいるのだけれど、たしかにそうなってしまうに至ったのだけれど………そう言われたら言われたで、違う違和感を覚えずにはいられないような気がしないでもない。
「え、あっ、ゴメン。痛むか?」
都合上として仕方がなかったし、余裕もなかった事ではあったものの、包帯でグルグル巻き=大怪我で間違いないであろう由奈をぎゅってしてしまったのは、かなり配慮が足りなかったかもしれない。と、何はともあれ少し反省。なので僕は、そう言って離れようとした。
「え、あっ、あう、平気です! 全然ですからこんなの! ちっとも痛くないもん!」
が、しかし。たぶんきっと。そうはさせまいと思ったのだろう。由奈が僕の首に左右から両腕を絡める事でそれを全力で拒否………いいや、阻止してきた。そして、発した声には強いチカラがこもっていた。まるで、滑車に繋がった丸太にしがみついて斜めに下っていくアトラクションに挑戦している人みたいだ。
「ユナ………あの、さ」
どうせ、僕の体躯は見た感じ丸太みたいなもんだしね。なんて、逡巡は未だ続いているワリにそれでも余計な事を考える隙間はあるのが人間の摩可不思議なところです。って、それは兎も角として。
「痛くないもん全然だもん。ホントに痛くない。痛くないし痛くないです………ちっとも痛くなんかないんだもん」
そう発した由奈のその声は再び、甘える時に見せる声色になっていた。脳内で浮かび上がる過去の由奈が再び、現在の眼前の由奈とリンクしていく。
「いやその、ユナ………」
僕は逡巡を深める。余計な事を考えている場合ではない。
「ヒロさぁーん」
そう思うに至ったのは、やはり由奈は未だそのつもりなのだと実感したからなのだけれど、突き放すのも受け入れるのも正解ではない場合って、どうすれば良いのだろう?
「会いたかったです………」
由奈の声質が、更に甘い色と音を帯びる。
「そ、そうか………ゴメンな」
途端に、逡巡が困惑へとその強度を上げる。
そのつもり。
そう………。
そのつもり。
「会いたくて会いたくて、会いたくて会いたくて会いたくってたまらなかったです………」
すると、その困惑は困惑で焦燥を育て始める。由奈は未だ、僕を恋人だと思ったままでいるらしい。
「だから、だからもうこのまま、このまま離れたくないです………」
焦燥が恐怖を呼び覚まし、余計な事を考える隙間も余裕も一切合切なくなってしまう。
「ねぇ、ヒロさぁーん」
由奈の瞳が潤みを帯びていき、表情に妖しさが加味されていく。勿論の事、包帯で隠れていて目視不可なのだけれど、過去の由奈とリンクしている今の僕には見えていると表現しても然程の間違いはない。
「離れ、たく、ない、お………」
辿り着いた先は、後悔。なのかもしれない。それは勿論の事、此処へ来てしまったという事に対しての、である。結局のところ僕は、墓穴を掘ってしまったのかもしれない。此処へ来てしまった僕よりも更に遡って、由奈と出会った頃の僕による軽率だったかもしれない数々の判断の積み重ねによって行き着いたのが、現在のこの現実。
この部屋に入る前に通された一室で、以前から長く由奈を担当している精神科のドクターでもある朋美さんから説明された内容によると、『由奈ちゃんは奇跡的に一命を取り留めたんだけど、どうやら今回の事によるショックで記憶の一部を失ってしまったみたいなのよ』との事であった。そして、『でね、失った記憶というのは、さ………ヒロに棄てられてからこうなるまでの間みたいなの。その期間が丸々、無かった事になってる。自殺しようとしたくらいだしね………あの子にとってアナタという存在は、私達が思ってたよりもずっと大きいみたいだね』と、続いた。どうやら、由奈にとって僕という存在は唯一無二であるらしく、如何なる時でも必要であると感じているのだろうとの事だった。実のところ、この事は由奈が定期検診の為に来院していた際の会話の内容からだけでも如実に断言出来た事らしく、由奈の携帯電話に登録されているナンバーが未だ僕のみという事からも明白であったようだ。更に加えると、由奈の携帯電話には僕に送ろうと思って書いたのであろうメールが大量に保存してあるそうだ。そのメールの件について朋美さんは、『あの子さ、ヒロと別れてからもヒロの事をかなり詳しく知ってたみたいよ。かなり忠告してきたつもりだったんだけど、ああいうタイプの子って虚言癖があるからさ、だから本心って、うん。なかなか見抜けないのよねぇ………ま、そうなるような境遇だったと言えなくもないから時間かけるしかないのかなぁー』と、気になる事が満載の意味深な事まで話してくれた。が、しかし。更に聞く事で深く知るのはなんだか怖かったので、その続きや詳しい説明はスルーしたままでいた。今にしてみれば、訊いておくべきだったかもしれないと思わなくもないのだけれど、何故なのか流石にプライバシーすぎる筈の由奈の携帯電話の中身まで知っている朋美さんに訊くと、藪の中の蛇を刺激してしまいそうで気が引けたし、対処なり対応なりを上手く出来るかどうか正直なところ現在も自信がないので、結局のところどっちにしてもこのあたりの事は手遅れだったのかもしれない………あはは。
「………」
兎にも角にも、素人である僕には医学的らしからぬ推察のようにも聞こえたのだけれど、火傷その他のオペを終えた由奈が移った此処が精神科病棟であるという事実から思考してみても、僕という存在の意義は別として朋美さんが言うところのそういう事ってあるものなのかもしれないなぁ………と、比較的軽く飲み込んでおく事にした。あの時の朋美さんは精神科医の立ち位置で言っている事なのだろうからきっとそうなのだろうという納得の仕方なのだけれど、ね。それに、具体的な専門用語とかで詳しく説明されてもきっとチンプンカンプンだろうし、つまるところ実際にこのように現実として起こっているのだから、そのとおりなのだろうと思うしかないし、何より今の由奈に確認してみるのは酷過ぎるだろうし、ね。由奈があらたに背負い込む事となった代償はこの先も背負い続けなければならない可能性が激しく高いらしく、そんな状況でのこの事実は由奈にとってあまりにも残酷な仕打ちなのだから。
自殺の果ての自業自得だとしても。
その理由は自業自得とは違うから。
「………」
つまるところ、そんな由奈を邪険にはとても出来ないという事だ。それは、綺麗事とかいった偽善的な理由ではなく、同情とかいった独善的な感情でもなくって………たぶん、後ろめたさからなのかな。だって、散々に弄んだ挙げ句に飽きたという理由でポイしたのと変わらないような事をしたのだから。しかもその始まりは、一途な性格をこれ幸いに、と。そしてその終わりは、その一途さがかなり煩わしくなってきたしかなり重くもなってきたから、そろそろこのあたりで逃げようか、と。結婚ですか? そんな束縛、激しく勘弁でしょ! って、さ。
結局のところ僕は………うん。
彼女と重ねていただけだった。
けれど、違った。
で、怖くなった。
だから、
逃げようとした。
このままだと、お互いダメになる。だからオレ達、暫く離れた方がイイと思うんだ。オレはさ、支え合う関係になりたかったんだよ。だから、もう………。
「………」
それは、僕からの別れ話のつもりだった。ズルいヤリ方だと感じてはいたし、下手な逃げ方だとも感じてはいたのだけれど、それでも正直に本音を告げたりなんかしたら確実に面倒な事になると判っていたので、だからいつものように例の如くそう伝える事にした。
………はい、そのとおりです。
こんなの、ただの言い訳です。
僕への依存心が強くなっていた由奈が嫉妬心と執着心に囚われ、それによってなのだろう自暴自棄を頻発するようになっていたので、正直に言うとかなりウンザリしていた。なので、僕からすれば飽きたと言うよりも冷めたとか気が変わったと表現するのが正しいのかもしれないのだけれど、視覚や聴覚や触覚を刺激する甘美な感触とか、同じく淫靡な反応にマンネリ感を抱いていたという最低すぎる自分も少なからず存在していたので、理由は様々で色々だとも言えなくはない気も………。
はい、これも言い訳です。
兎にも角にも、僕はこれで平和的に逃げおおせたと安堵していた。少なからず危惧していた自暴自棄な態度に豹変するというような事はなく、完全拒否の意をあからさまに押し出してくるというような事もなく、予想していた修羅場に比べたら随分とアッサリな感じで素直に受け入れてくれたように見えたからだ。実のところ、由奈が僕というたかだか人が一人な存在を唯一無二なまでに重要だと感じていると実感する事が出来ない大きな理由が、別れの際の由奈とのこのシーンが大きく影響していたりする。元々のところで僕自身が僕自身の事をさほど評価していないので、ひっくるめてまさかそんなワケがないだろうという思いが拭い切れないのだ。
が、しかし。
けれど由奈は、どうやら由奈は、それを別れ話だとは思っていなかったようだ。たぶん、お互いに寄りかかるのではなく、支え合うようになりたいと僕が思っていると受け取ってしまったらしい。つまるところ、それ故に由奈は受け入れた若しくは受け入れようとしたといった感じ。勿論の事、由奈本人に確認したワケではないのだけれど………少なくとも、あの時は。
だから、頑張ってきた。
懸命に耐えようとした。
まだかな、まだかなと。
まだダメなのかな、と。
しかし、徐々に………。
もしかしたらと。
まさか………と。
想像するにそれは、期待と不安。
ううん。そんなハズはないよね。
けれど、でも。
違う、違うよ。
そんなワケがない。
違うよ………でも。
で、壊れた。
由奈が失った記憶とは、僕が別れ話を切り出した後からこの大怪我に至るまでの数ヶ月の記憶の事で、今ここに存在している由奈の認識ではまだ僕と別れてはおらず、別れの危機かもしれない事態に身を置いているといったあたり。つまるところ、僕の余所余所しい態度に対して不安を増幅させていた時期だ。その結果としてなのだろう、自暴自棄を乱発していた頃。由奈は今、その時の心情を宿しているらしい。
けれど、
時間は止まらない。
失っているらしい空白期間を無かった事にはしてくれない。だから、無かった事にはならないし、無かった事には出来ない。それ故に、どうにかして帳尻を合わせなければならない………結局のところ、失ってしまったらしい数ヶ月の間の記憶について由奈が穴埋めの為に用意した答えは、僕と別れるという事態にまでは至らずどうにかこうにか暮らしてきたという答えのようだ。だから由奈は、今もまだ僕と付き合っていると思い込んでいる。更に言えば、そうとしか思っていないかもしれない。つまるところ、僕が別れを考えているフシがあると自暴自棄を乱発していたその内の一つが、この事態だ。それが、由奈の出した答え。大怪我に至るショックと数ヶ月に渡る絶望、この二つを背負うのは無理だと判断した由奈の脳は、立ち直れない記憶を奥深くに閉じ込めて、立ち直れるように都合良く改竄したという事だ。帳尻を合わせたのだ。
生き続ける為に。
生き残るが為に。
「私ね、こんな事になっちゃったですからまだ暫くの間は治療が必要で、だから退院とかずっと先みたいなんです。ヒロさん………迷惑かけちゃってゴメンなさい」
故に………と、言うべきなのか。それについては判然とはしないのだけれど、兎にも角にも。由奈はそのとおりそのままを真実の現在として今、こうして生きている。僕はこの………判断? に、ついて意見する事は出来ない。否定する気持ちはないし、否定なんて出来るワケがない。変な言い方かもしれないのだけれど、由奈の脳に対して由奈の事をこれからもどうか宜しくお願いしますと言いたいくらいだ。由奈のこれまでと、今回あらたに背負わされた大怪我、そして何よりも………僕のせいで自殺までしようとしたという事実。ポーズだった事ならあるのだけれど、寸前で間に合ったという事も何度かあるにはあるのだけれど、前者二つに対する思いと、後者一つへの罪悪感や負い目に対して僕はどのようにして償えばイイのだろうか。
………。
………。
由奈と知り合って半年以上が経ち、そして付き合う事になって更に半年くらいになった頃。堅牢な壁で隠していた心を徐々に見せてくれるようになっていた、そんな頃。と、同時に。それによって堅牢な壁で心を隠していたという事に気づいた、そのあたりの頃。それは僕もそうだったりするのだけれど、由奈は空を見上げながら歩く人だった。夜の空を、星を、月を眺めながら一人とぼとぼ、と。まるでスマホに夢中なのかそのフリなのか兎にも角にも、俯いている人達だらけな昨今に逆らうかのように。あの頃、その横には僕がいた。そしてその夜は、由奈は空を見上げず僕を見上げていた。きっと、『ヒロさん今、何を考えてるですか? ずっと無言なんですけどもしかして、つまんないなぁ~とか思ってるですか? それとも、何かイヤな事とかあったですか? あっ、私のせいかな。そうなのかな。私が何かしたのかな。そうだよ、きっとそう。ううん、絶対にそうだ。そうに違いない。そうに決まってる。どうしよう………それなら、それならこういう時はどうしたら………あ、爆笑ギャグを披露すれば………あうう、そんな最強アイテムなんて持ってなかったです………えっと、えっとえっと、えっ、どど………どぉおおおー!』とか、爆笑独り言を脳内で繰り広げていたと思います。たぶん、ビンゴです。その筈です。基本はそういうカワイイ系の天然女子なんです。ただ、それを覆う闇が存在感を出し始めと、そうなるや否や毒を生成し、時に彼女をこれでもかというくらいに苦しめ………いいや、自分で自身を陥れようとするんです。それは時に処世術としてであったりもするようだし、自己防衛であったりもするらしいのだけれど、副作用として自己批判と自己否定を併用しちゃうもんだから、それによって壊れてしまったんだと思います。僕もそうだろうし。由奈は僕の脳裏を記憶として独占する薫子という女性と重なるところが多いのだけれど、少なくともあの頃はまだそうだったのだけれど、実のところ僕とも似ていた。経験している傷の大小やその数は違うのだけれど、感じている傷は同じと言うか………感受性というか感性というか、そういう捉え方が似ているかもって感じだった………良くも悪くも。
「あああのヒロたん?」
「えっと、どうした?」
お、どうした由奈たん。
「何を考えてるですか?」
不安そうに訊いてくる。それが、表情と声で如実に判る。
「今? 今は………百人乗っても大丈夫な物置の、百人乗っても大丈夫にしてある理由とか」
僕は適当に、その場の思いつきをその場しのぎとして声にしてみる。
「なんと! そうでしたか」
すると、あっさり信じる由奈。
「え、あっ、そうなんだよ」
由奈のその表情と声に明らかな安堵が漂ったのを見た僕は、もっと自信を持つべきだよとその時思った。とは言うものの。すぐには難しい事だから、時間をかけて少しずつ取り戻そうね。ともその時感じた。誰もが無邪気に可能性を信じられた筈の、そんな幼き頃の想像力。それは偉大だったと今でも思う。
「百人乗っても大丈夫な理由ってさ、物置よりも家に必要だよね? 家にはそういう安心感が漂う謳い文句がないような気がするんだけど、わざわざ言わなくても大丈夫ですよって事なのかな」
そんな事は少しも考えていなかったクセに、どうしてこうもぽんぽんと僕ってヤツは………。
「百人乗せて確かめてみますか」
「お、って。面倒だから却下だ」
「どぉおおお………」
あの表情、志村師匠なら絶賛してくれると思うよ。
「なぁ、ユナ」
「は、はい?」
「キスしたくなっちゃったかも」
「言わずにしてくださいよぉ!」
たぶん、バカップルってヤツ? それにしか見えなかっただろうなぁ………。
けれど、楽しかった。
そんな頃も、
あったのにね………。
………。
………。
「え、あ、う、うん………あ、アレだ。ゆっくり養生しなよ」
だから僕は、どのように対応するのがベストなのかいいやせめてベターなのかを思案する。それでもたしかに去来する、我が身可愛さという感情と向き合いながら。僕のこの態度を知ればきっと、苦々しい思いで叱責するであろう僅か先にある未来とも向き合いながら。
「はい。あっ………でも。でも、もう浮気とかしちゃダメですよ?」
の、だけれど。なるべく早く、出来るだけ迅速に、答えを導き出さなければならないようだ。
「えっ?」
少なくとも、此処に居る間は猶予を与えてはもらえない。それぞれに思う事があるのだから、それぞれにその実現を目指しているに違いないワケで、起こらなくて済んだ修羅場はいつでもその姿を現せるよう待機しているのだ。
「ヒロさん………私の事、もう棄てたりなんてしないですよね?」
僕の胸の位置あたりで少し顔を上げた由奈が、上目遣いで懇願にも似た心情を吐露する。一直線に投げかけてくる。ぶつけてくる。が、しかし。僕は言葉に詰まる。
「ずっと、ずっとずっと傍に居てくれますよね? ですよね? ね?」
言いながら瞳が再び潤み、声が震えを増していく。僕は答えられないでいた。答えとなるモノが何一つ浮かばなかったからだ。
「ヒロさぁん………ね?」
が、しかし。由奈は諦めない。脳が揺れる。心が揺らぐ。罪悪感が責め立ててくる。
「あう、う………ヒロさんお願いですから、お願いします。私、頑張りますから。だから、だから、お願いですから棄てないでください」
推察するに、このままでは分が悪いとでも感じたのだろうか………由奈が、ずるずる。と、膝を折り曲げていく。しかしながらそれは、力無く崩れるといった類いのそれではなく、そうしようとする意思を明確に実行したそれである。
「え、あ、いやその、ユナ………」
だから手を添え、そして指を這わせる由奈の意図が判った僕は葛藤しながらも抵抗はしなかったし、僕をベッドに座らせようとする由奈の決して強くはないチカラにも簡単に屈した。
「何でもしますから………ね? 私、言うとおりにしますから。私、こんな事になっちゃって、こんな、事に、だから、だからお願いです、お願いしますヒロ、ひゃ………んっ、んぐ、ん。んく、ん、んん、んぐ、んっ………」
だから由奈は、当たり前のようにズラして、極々自然に取り出して、愛でるように頬ずりして、それから舐めて、そして含む。そのどれもが、甘美な刺激を誘発するように。従順の意を示そうとすると何故か由奈は、毎回のようにコレをしようとする。
「ん………んっ」
僕は服従なんて望んではいないのだけれど、久しぶりに浴びる感触に新鮮さを感じてしまい、ついついされるがままになる。飽きたとすら感じていた筈だったのに、そう思ってしまうくらいに何度も浴びてきた事なのに。
「んぐ、ん、ん、ん、んくっ」
由奈は味わうかのように吸い付き、隙間なくと表現してもまだ足りないくらいに充分に、そして存分に密着させて、一心不乱に刺激を与え続ける。
じゅる、じゅぽ、じゅるる。
と、卑猥な音をたてながら。
はあ、はあ、んは、ぷはぁ。
と、淫靡な吐息を絡めつつ。
「ん、くっ………」
「んぐ、ん、ちゅ」
呆気ないくらい簡単に反応し、更には虜とまでなってしまった僕は、コレが何を意味する事なのかを忘れて………いいや、気づかないフリ見て見ぬフリを決め込んでただただ、由奈による久しぶりの刺激に溺れていった。
男ってヤツは、これだから………。
なんて、言い訳にもならないよね。
………。
………。
第一幕)おわり
第二幕につづく
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