046 再会と別れ、全員集合
ベロベロ攻撃のハスちゃんを止めてくれたのはルソーでした。
できる男ルソー。彼はとっても怖い顔でハスちゃんを静かに止めた。そして「再教育が必要ですね」って言って、どこかに連れていってしまった。
再会からの別れ。ごめんね、ハスちゃん。オレ、守ってあげられなくて。
ハスちゃんを見送ってると、フランが赤ちゃんを抱っこしたままガゼボのソファに座った。
赤ちゃんはチラチラと変態ノイエ君を見てる。なのにノイエ君ときたら、そっぽを向いて知らんぷり。
ここまで来て知らないフリが通用すると思ってるのかなあ。
あと、ちゃんと自己紹介しようよ。
ということで、オレはもう一度ご挨拶開始。
「ムイちゃんはムイちゃんです! リア婆ちゃんのつかいまで、ぼうけんしゃみならいだよ!」
うむ。今度は簡潔に。完璧じゃない?
「偉いね、ムイちゃん。さ、次はノイエだ」
「わたしのことは兄上様も兄さんたちも知ってる」
「その赤子については紹介しないのか?」
「……プルン、挨拶しなさい」
「プ、プルンでちゅ。あるじちゃまのつかいまでちゅ」
使い魔仲間! 今日はカザトリ先輩にも会うし、すごい!
「こんな小さな子を使い魔に?」
「……かか様だって、そこのを使い魔にしてるから。研究しようと思って」
「研究のために使い魔にしたのか!?」
「おい、ノイエ。親はどうしたんだ。まさか攫ってきたんじゃないだろうな」
「兄貴たち、落ち着けって。ノイエは追い込んだら黙り込むだろ」
「フラン。そうやって、末っ子だからと甘やかしたせいでノイエは今こうなってるんだ」
「兄貴は甘やかしてないだろ。厳しすぎたじゃないか」
「その分、俺らが甘やかしたんだから、ちょうどいいんじゃないか」
「まあ、そうだけどさ」
ここまでの情報で分かったのは、ノイエ君が末っ子ってことと、リア婆ちゃんが全然出てこないってことね。
リア婆ちゃん、本当に子育てには参加してなかったみたい。
脳筋っぽいもんね。赤ちゃん抱っこしたら潰すかもー、なんて思ってたりして。
「親はいないはずだ。捨てられてたようだから、わたしが引き取ったんだ」
「そうか。ならば、何故大事に育ててあげないんだ。使い魔ということは、元は魔物だったんだろう?」
元々獣人族だった場合でも使い魔になれる仕組みはあるみたいだけど「人道的にちょっと」という考えがあるらしいんだ。
もちろん、使い魔って言っても自由がないわけじゃない。
むしろリア婆ちゃんちの使い魔の話を聞いていると、すっごく自由。
自由だけど、拾って育ててもらった恩を感じて、みんなリア婆ちゃんが呼べばすっ飛んでくるらしい。あとは勝手にリア婆ちゃんのためになることをしてるとか。
ただし、危険思想に走らないよう、たまに抜き打ちチェックするんだって。
……いろいろ怖い。
「そろそろ変化しそうだったんだ。だから研究がてら引き取った」
「相変わらずノイエは研究バカか。全く」
「それで、この子を使って何をしようとしてたんだ?」
リスト兄ちゃんとフランが話したところで、また人がやって来た。今度はタック先輩だ。
カザトリ先輩も上空にいる。もう仕事は終わりだろ、ってことなのか、何度かくるくる飛んだあとサーッと行ってしまった。
また会えるかなあ。
「フラン、ビックリしたぞ」
「悪いな。あれは母さんの使い魔だ」
「君、ムイちゃんと一緒にいたらしいね。勝手に連れ去ってしまった形になったから、呼びに行ってもらったんだよ。驚かせて悪かった」
「あ、いえ、宰相様」
「畏まらなくていいぜ。フランの仲間だろ? ムイちゃんとも一緒に仕事をしてたそうじゃないか」
「はっ、ラウ将軍!」
「止めてくれ。今はプライベードだ」
「はい!」
何この流れ。
筋肉は筋肉を敬愛するんだろうか。タック先輩が憧れの人を見る眼差しになってる。
えー、だって、胸元を大きく開けてる変な人だよー?
「さて、これで当事者全員揃ったな」
フランは気にせず、話を進めてしまった。タック先輩がちょっと恨めしそう。でも、憧れの人とお話したいなら、まずは問題を解決してからだよ。
でももうほとんど解決しちゃってるけど。
だって、赤ちゃんの保護者ここにいるもんね。
つまり依頼は終了。
オレの初依頼も達成されたというわけ。達成でいいよね? うむ。
「なんか一人、ふんふん鼻息荒く自慢顔のがいるけど、まあいいか」
「フラン……ぶふっ……」
「止めないか、フラン。ふふ」
「大体分かってきたけど、それ聞こえたら拗ねるんじゃないのか?」
なんかタック先輩がごしょごしょ言ってる。拗ねるって何?
「よし、とりあえず、自己紹介だ」
オレが身を乗り出したら、フランが慌てて話を進めちゃった。
もう!
でも、話し合い、大事。
だけど、また一から自己紹介始まったので、オレはちょっぴりうんざり気味なのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます