第57話 邂逅

「ごめん!遅くなった……え?」

勇者一行を一蹴し急いで部屋に戻るとそこには…


「ちょっやめて下さい!」


「ちょっとぐらいいいじゃん!前からそのリリスの変身ってどうなってるのか気になってたのよ!」

 半裸になっている私?にクレアが手をワキワキさせ今にも遅いかかろうとしているとこだった。


「クレア…あんたね……え?」

セレスはクレアを呆れた顔で見ていたが部屋のドアが開いたことによりこちらに視線が移りそして固まる。


「…あなた誰よ?」

さっきの奴らとのやり取りでなんとなく正体はわかってるけど。








「「お姫様!?」」


「は、はいシャリアと申します。」

 まさか名前まで似てるとは思わなかった。姿は…ん髪型顔立ちもそっくり…あ!目の色が違う!私は青だけど姫さんは緑だ…ってなんか。


高度な間違い探しみたいになってる。


「で?何でお姫様がここにいるの?」


「え〜と…」

クレアをチラッと見ながら困ったように続ける。


「ここで宿をとっていて部屋に戻ろうとしたところを連れて行かれまして…」


「いや!?だって!?こんなに似た人がいるとは思わなかったんだもん!」

 …気持ちはわかる。


「でも人違いだと言えば良かったのでは?」


「それが…お腹が空いてまして…」

顔を真っ赤にしながら答える。


「え?お姫様なのにお金無いの?」


「途中見たことのない黒い獣に襲われまして…その時に荷物をやられて所持金が…すみません」

…見たことのない黒い獣?…まさか?


「…その獣逃げる時に誰かに押し付けて行きませんでした?」


「え!?何故それを!?逃げるのに必死で…いえ…それは言い訳になりませんね…私のせいで誰とも知らぬ方を危険にさらしてしまったのですから…」

 黒い獣おそらくブラックレオの事だろう。


「あの時のフードの奴シャリアだったんだ〜」

 二人も気がついたようだな。


「え?」


「それ押し付けられたの私等」


「まあリリスが瞬殺したけどね」


「それは重ね重ねすみません…」


「まあ私にも利点があったからいいけど」

 ゲームならキレていたかも知れないが…

「そもそもリリスが遅かったのがいけないんじゃない?」

 落ち込んでいるシャリアに少し同情したのかクレアが助け舟を出す。


「…それは一理あるわね…」

クレアとセレスにジト目で見られるが…


「私は早く帰ろうとしたわよ!そうしたらいきなり自称勇者一行に絡まれて大変だったんだから!」


「え!?アイツらもうこんな所に!?」


「あ!そうだお姫様悪いけど結婚の話は勝手だけど潰しといたから」


「へ?」

姫様シャリアは変な顔をしたまましばらく固まっていた。


 因みに私の分のご飯は残っておらずマイルームで一人寂しく食べる事になった…新鮮な海鮮のご飯食べたかったのに…

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