まつり

姫亜樹(きあき)

まつり

天高く広がる青に揺れる

秋祭りの提灯

季節外れの炎天下に

人通りもなく

町は静まり返っている


豊作を祝う畑には

家々が建ち並び

貢物みつぎものを捧げる手は朽ち

荒れた大地に黄色い花が咲き広がる


人々は突き刺す日差しを逃れ

閉じこもり

町には室外機の音が鳴り響き

狂った季節を祝う

風が提灯に灯をともしていき

真っ赤に燃え広がる曼珠沙華が

歓喜の歌を唄い

町はやがて暮れていく

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まつり 姫亜樹(きあき) @Bungo-2432Da

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