友情

 大雨が続く日本列島ですが、皆さまお変わりないでしょうか?

 これから台風シーズンになるのが恐ろしいですが、これ以上被害が起こらないことを願うばかりです。

 ささやかな日々が、穏やかに続いていきますように。


 さて、我が家の日常はといいますと。

       (*´∀`*)☆.。.:*・゚


 リュウに、初めて友達ができた。


 今までも、仲のいい子がいなかった訳じゃない。保育園が一緒だった子、クラスが一緒だった子。

 でも、いつも一緒にいるような友達、お互いがお互いにとって特別な友達はいなかった。

 4年生になっても、相変わらずマイペースなリュウ。公園で遊ぶ小学生の中には入ろうとせず、流行のドラマには興味が無い。戦国武将に傾倒し、歴史人物大図鑑を読み耽る。無理に友達を作ることはないのだろうけど、このまま一人でやっていくのかしら……と思っていた矢先。


 「友達ができたよ! るい君!」


 ある日、学校から帰ってきたリュウが満面の笑顔で言った。

 リュウの好きなゲーム、マイクラの話で盛り上がったらしい。彼はバトルや冒険よりも建築に凝っているのだけど、同好の士がいたことに大興奮だった。

 るい君とは放課後児童クラブが一緒の教室で知り合ったらしい。なんと、私達と同じマンションに住んでいるのだとか。

 るい君の学年を聞いたところ、


 「知らない!」


 知らないんだ?(^_^;)


 話が合うことが大事で、学年は関係ないらしい。一瞬不思議な気がしたけど、考えてみたらその通りだ。学校を卒業した今も、学年や年齢で相手へのスタンスを決めてしまうクセが抜けない。そんなの無関係に、ぴったりくるのが友達なんだろう。

 リュウとるい君は急速に仲良くなった。るい君は一学年下の3年生だったのだけど、待ち合わせて一緒に登校するようになり、昼休みも二人で遊ぶようになり、ついに週末一緒に遊ぶ約束をしてきた。

 初めての友達との約束。楽しみにしていたのだけれど。


 金曜日。リュウに突然の発疹。

 水疱瘡だった。

 

 もちろん、学校はしばらく休み。予防接種の効果で軽症で済んだものの、リュウは意気消沈していた。

 るい君宅と我が家はこれまで何の交流も無く、連絡先が分からない。週末遊べないと、伝える術が無い。

 急に学校を休んだのだから、何かあったと察してくれるだろう。今週末とは言っていたものの日時はまだ決めていなかったし、また今度約束をすればいい。

 そう声をかけながら、私も無念だった。やっとできた友達だったのに。


 不意に、インターホンが鳴った。


 ドアを開けると、見知らぬ少年が立っている。茫洋とした雰囲気のメガネ君。マイクラTシャツにサンダル履き。見るからにマイペースな感じは、リュウを彷彿とさせる。


 もしや……!?( ゚д゚)ハッ!


 るい君だった。


 「リュウ君が急に休んだから、心配で……」

 

 わざわざお見舞いに来てくれたの!? いい子や〜!!(´;ω;`)


 私はリュウが水疱瘡になったこと、しばらく登校できないことを伝え、週末一緒に遊べないことを詫びた。


 感染したらいけないから会えないけど、お見舞いに来てくれたこと、伝えるね。リュウも喜ぶよ〜(*^^*)


 るい君は頷き、そっと手を差し出した。

 小さな丸い物体。

 ラップに包まれた……おにぎり!?


 「リュウ君にあげようと思って、僕が作った」


 るい君手作りおにぎり!?(✽ ゚д゚ ✽)


 私はびっくりして、何度もお礼を伝えた。るい君は黙って頷き、クールに去っていった。


 えぇ子やー!!。゚(゚´Д`゚)゚。


 リュウにおにぎりを差し出すと、「夕飯に食べる!」と言い、夕飯の席で真っ先におにぎりを頬張った。

 小さくて、真っ白で。海苔も巻かれず具も入っていないピュアなおにぎりに、「美味しい!」とリュウは笑った。


 友情やなぁ〜✨(*´∀`*)


 夕飯後、後片付けをしながらおにぎりのラップを捨てようとすると、リュウが私の手を払い除けた。


 ??(・・;


 さらには鍵がかかる引き出しに、こっそりラップを隠そうとしている……!!


 「捨てちゃダメ! とっておく!!」


 ゆ、友情……!!Σ(゚∀゚ノ)ノ


 説得の末、ラップを洗ってとっておくことに(^_^;)


 飲むのを嫌がっていた妙な味の薬も、「るい君が学校で待ってるよ!」という声掛けで頑張って飲んだリュウ。

 今ではすっかり元気になり、無事登校できるようになったけれど。

 リュウの机の中央には今も、輝かしい友情のラップが飾られているのでした(*˘︶˘*).。.:*♡

 

 

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