第17話 〈感謝☆200PV〉夢
ある朝、いつもより早く起きてきた息子。なぜか号泣している。
まさか、発熱して具合が悪い!?
朝食を作る手を止め、息子のおでこに手を当てるが、火照りは無い。
どうしたのか尋ねても、嗚咽〈おえつ〉で言葉にならない様子。
膝に座らせて抱き抱えると、しゃくりあげながら、一言。
「お母さんが、いなくなる夢を見た…」
なんでも、お父さんはいるけど、お母さんが家に帰ってこなくなったんだそうな。
心当たりはあった。
前日、残業が長引き、いつもは間に合うお風呂タイムに間に合わなかったのだ。
息子はその場では何も言わずに笑っていたけど、連れには「お母さんが遅いのはイヤだ」とこぼしていたらしい。
夢が甦ったのか、再び泣き出した息子。笑いながら、抱き寄せる。
「大丈夫。お母さんは、リュウ君を置いてどこかに行ったりしないよ」
語りかけるけど、息子はなかなか泣き止まない。
からだ中に感じる、息子の重み。ちっぽけな私を、母として慕うこどもの存在の重さに、おののくこともある。
それでも、この子達が私を必要としなくなるまでは、母であり続けたい。
毎年、健康診断は受診する。子宮頸がん健診、乳ガン健診も、忘れずに。
どんなに朝、バトルになったとしても、保育園ではハイタッチで別れる。
最後に会った私が、笑顔であるように。
本当は、今日があって、明日があるのは、当たり前のことじゃないんだよな…と、こんな時ふと思う。
リュウ君を置いて、どこにも行かない。
自分の言葉を噛み締める。
こどもと笑って過ごせる今の幸せを、噛み締める。
以降、私が「ごめん、仕事で遅くなる…」と言うと、息子から「またボクが怖い夢みるでしょ!!」と怒られる。
疲れた体に鞭を打ち、お風呂タイムに間に合うよう、自転車で全力疾走する日々である。
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