第13話 しまじろう
ベネッセの回し者みたいなタイトルで、申し訳ないですが f(^_^;
二歳の娘は、しまじろうパペットがお気に入り。保育園に行く時も、「しまじろうと行く!」と離さない。こっそり登園バックにいれて、一緒に登園している。
このしまじろう、もともとは、五歳の息子が一歳の時に、「こどもチャレンジ」でもらったものだ。息子のイヤイヤ期には、随分お世話になった。
息子は二歳頃、切り替えが難しくて、嫌だと思えば固まって動かなくなり、延々泣いていた。泣き出したら一時間半、というのはザラだった。
私も30分くらいは付き合ったけど、宥めても別の何かに気持ちを向けさせようとしても、一向におさまらない息子…。怒ってしまうことも、しばしば…。
そんな悪循環な日々の中、私と息子を助けてくれたのが、しまじろうだった。
しまじろうを手に取り、息子に話しかける。
滑稽な光景かもしれないけど、当時の私は真剣だった。
『リュウくん、どうしたの?しまじろうに教えて』
『リュウくんはまだ公園で遊びたいのに、お母さんが帰ろうって言うんだね~。え、お母さん、無理やり抱っこしようとしたの?イヤだったねぇ』
『しまじろうには、リュウくんの気持ち、よく分かるよ。まだ遊びたいよね』
『でも、お母さんは、そろそろ帰って夕ごはん作らないといけないんだって。ごはん食べられなかったら、困るよね~』
『リュウくん、ここはグッとこらえて、しまじろうと一緒に帰ってくれないかな?』
しまじろうが話しかけると、嘘のように息子は話を聞いてくれた。私も、しまじろうのおかげで、息子に怒鳴らずに済んだ。
しまじろうとの対話を重ね、息子はどうにかイヤイヤ期を越え、五歳のお兄ちゃんになった。
まさにイヤイヤ期の妹が「イヤッ!!」と爆発すると、息子がしまじろうを持ってくるようになった。
娘も、私の言うことは聞かないけど、しまじろうの言葉は聞いてくれる。二人でしまじろうの取り合いになるので、娘の分もしまじろうを申し込んでしまった。
どこに行くにも一緒のしまじろうは、私達親子をいつも見守ってくれている。
今日は、息子の就学時健診だった。小学校入学前の、健診。久々に入る小学校は、緊張する。なんだか厳しそうな先生。大きな上級生。同じような教室が並ぶ、迷いそうな校舎。
息子は楽しそうだったけど、マイペースな息子がやっていけるのか、私は暗澹としてしまう。
大丈夫かなぁ…?
帰宅後、リビングに入ると、しまじろうと目が合った。
『大丈夫、大丈夫』
いつもと変わらない、しまじろうの笑顔。
『リュウくんのペースで、大丈夫』
そうだね。
あの頃に比べたら、リュウは随分成長した。
これからも、私達のペースでやっていけばいいよね。
いつも、しまじろうに励まされているのは私の方。
しまじろうに支えられて、今日も後半戦、がんばろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます