第878話 2022/3/10 鬼門とか

 本日は11時起き。昨日よりは幾分マシである。やる気はまだどっか行ったっきりだがな。とりあえず好天。とりあえず寒くもない。はあ、ため息ばかりが出る始末。


 京都から見てうしとらの方角、すなわち北東を「鬼門」と呼ぶのは陰陽道由来であり、そもそもは古代中国が源流である。いつの時代かは不明だが、中国では都から見て北東の方に鬼門という名の鬼の住む村があったとされる。まあわかりやすく考えれば、異民族の勢力圏だったのだろう。それが日本に輸入されたのだが、偶然たまたま日本の本州の形状が北東から南西に流れる形をしていた。そのため鬼門という考え方がそのまま使われたのだ。もし日本列島が北西から南東に流れる姿をしていたら、鬼門という言葉は日本にはなかったかも知れない。

 この方角を指す鬼門から転じて、行くのが苦手な場所を鬼門と呼ぶようになり、さらに転じて苦手な物事を鬼門と呼ぶようになった。もし小説を書く上での鬼門を上げるとすれば、「銃」「軍隊」「歴史」だろうか。この3つだけはどれだけ一生懸命、深く丁寧に調べても、必ずもっと詳しいヤツが出てきて「この描写は間違っている」とか言われるのは間違いない。

 もちろんどんな分野にもジャンルにもメチャクチャ詳しい人間はいるから、ファンタジーの魔法だの人外の分類だのについても「これは正しくない」とか言うヤツはいる。先日亡くなった西村京太郎氏の有名な逸話に、作品に登場する列車の型式番号などをわざと間違えるという話があった。そうすると鉄道マニアが間違いを指摘するために単行本を買ってくれるから出版社が儲かるというのだ。そして増刷の際にその部分を訂正すると、鉄道マニアはそれを確認するためにもう一度買ってくれる。どこまで本当かは知らないが、さもありなんという気がする。

 天は人の上に人を造らないし職業に貴賎はない。故にマニアにだって上下はないのだが、実際のところ鉄道マニアは指摘者としてはまだマシな方だろう。何せ一般に鉄道マニアは自国の鉄道にしか興味がない。日本の鉄道マニアは日本の列車の型式番号には詳しいが、フランスの鉄道まで手が回る者は滅多にいない。ところが銃と軍隊と歴史に関してはそうは行かない。この3つは基本インターナショナルであり、このうち1つでも存在しない国は世界中で極々僅かだ。

 特に歴史が存在しない国はないし、国の歴史は戦争の歴史である。すなわち銃と軍隊が欠かせない。だからこの3つのジャンルのマニアは世界中に存在するし、日本のマニアの知識も世界を網羅している。たとえば銃で言うなら、アメリカの銃には詳しいがイタリアやドイツの銃についてはまったく知らない、などという姿勢はマニアとして許されない。そして銃に詳しい者は自動的に軍隊の知識も最低限持ち、使用された歴史にも造詣が深くなる。

 もちろん例外はあって、たとえば日本史に詳しいマニアは火縄銃についての知識はあるが、同時代のヨーロッパやアメリカで使われていた銃については知識がないこともある。ただしその場合でも、日本で「使われていなかった」銃を関ヶ原の合戦などで使う描写が小説中にあれば、ネチネチと指摘されることは請け合いである。

 確かに銃や軍隊や歴史が絡む物語は面白い。だから作中に出したくなるのは当然だし、チャレンジする意欲はなくすべきではなかろう。でもなるべくなら、マニアックな情報は書き込まない方がいいのかも知れない。それはマニアの格好のオモチャになるだけで、物語の本質に目が向けられなくなる恐れがある。3つのうちどれか1つでも大変だし、3つ全部出て来る戦争物などとんでもない労力が必要となるのだ、型番が違うの階級がおかしいの、そんな些末な部分で評価されるのも正直アホ臭い。マニアとガッツリ勝負するより別の部分で面白さを追求した方が良いように思うところ。

 さて滋賀県警は9日、警察署勤務の男性警部補を銃刀法違反の疑いで大津地検に書類送検したことを発表、同日付で停職1カ月の懲戒処分とした。警察官の銃刀法違反である、違法に銃を発砲したのか、さもなくば銃で誰かを脅したのか、と思って記事を読めば、この警部補、不倫相手の女性巡査長の気が引きたくて、実弾入りの拳銃を腰のホルスターから取り出して見せたらしい。中学生か。

 まあ、取り出して見せたのは拳銃だけではないのかも知れないが。

「見て見て、俺のデザートイーグル」

「デリンジャーしまって」

 みたいなやり取りがあった可能性もある。

 この警部補は依願退職したらしいが、まあアホだわな。不倫するのもアホだし、拳銃見せたのもアホだ。そんなことで仕事を失うなど、みっともないし情けない。でも本来、拳銃なんてこの程度の物であるべきだろう。不倫相手にチラ見せして怒られる以上の存在価値などあってはいけない。現実として誰かに向けて引き金を引く事態など考えたくもない。それはフィクションで十分なのだ。軍隊が民間人に銃を向けるなんて、過去の歴史の中だけでお腹いっぱいだ。この世界にはもういらない。

 ウクライナのキーウ(キエフ)から見れば、モスクワは鬼門の方角にある。これもまた、ただの偶然なのだろうが。


 先般ここでも書いた、アメリカで豚の心臓を移植された男性は、結局術後2ヶ月で亡くなったらしい。ご家族にはお悔やみ申し上げる。しかし2ヶ月延命させることが可能であると判明したのだ、今後はこの数字を何とかして伸ばす方向で研究が進むことを望むばかり。


 昨日9日、ウクライナのチェルノブイリ原発で電源喪失が発生、非常用電源に切り替わったが48時間しか持たない模様。これで使用済み核燃料の冷却ができなくなれば、放射性物質が拡散する恐れがある。

 と言っても、チェルノブイリの原発事故はもう36年前であり、使用済み核燃料もそれなりに冷えているので、48時間経ったら即座に危険な状態になる訳ではない。電源喪失の原因はロシア軍だとウクライナ側は主張しているが、そのロシア軍がとんでもなく間抜けなことでもしない限り、再び放射性物質がヨーロッパの空を覆うことはまずない。

 ただ問題は、いまのロシア軍ならとんでもなく間抜けなことをしてもあまり不思議はないところだろうか。


 中国の習近平国家主席は7日、全国人民代表大会(全人代)の軍と武装警察の分科会に出席し、

「海外関連の軍事活動に関する法治作業の加速」

「全軍が戦争準備をしっかり進め、各種の突発状況に適時かつ有効に対処し、国家の安全と安定を維持する必要がある」(以上読売新聞)

 などと指示した模様。テレビ朝日の報道によればこれは去年、内モンゴル自治区で相次いだ抗議活動や新疆ウイグル自治区を巡る問題を念頭にした可能性があるとのことだが、どう考えてもそれだけではあるまい。ウクライナ問題が頭の隅にあるのは間違いないだろうし、それは当然台湾への侵攻にも繋がる。日本政府は神経を尖らせるべき言葉である。

 比較的楽観的な見方をすれば、ウクライナでの戦闘が終了した後、平和維持軍を派遣するつもりなのかも知れない。無論、ただの善意ではないだろうが、経済面での支配は進むと思われるものの、とりあえずそこでは侵略行為はないはずだ。しかしそれだけのために「戦争準備」をするはずもない。我々はもう「次の展開」を心配しなくてはならない状況なのだろう。


 本日はこんなところで。昨日は1文字も書いていない。今日は何とか頑張りたいのだが、はてさて。

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