第701話 2021/9/14 万能薬とか

 本日は10時半起き。雨。まあ昨日は遅くまで頑張ったから仕方ない。おかげで頭が全然回らない。おまけにネタが見つからない。ないない尽くしである。そんな訳で本日も短め。


 お馴染みの正露丸に、アニサキス症の治療効果がある、と先般報じられた。より正確に表現すると、正露丸の主成分である木クレオソートにアニサキスを殺す効果があるというのだ。正露丸は本来食あたりの薬であるが、虫歯に詰めれば歯痛も抑制してくれる。イロイロ効能の幅が広くて便利な薬ではあるのだが、決して「万能薬」ではない。そもそも万能薬などというのは、完全栄養食と同じくらい眉唾なモノである。

 ペット用の飼料、いわゆるドッグフードとかキャットフード、あるいは鳥類用のペレットなどには、かつて「完全栄養食」を謳うモノもあったが、いまでは多くが「総合栄養食」に変わっている。ペットの家庭内での地位が上昇するに従って、嘘や過剰表現が排除されていったのだろう。完全なんて、この世にはないのだ。

 さて、いまだにスリランカと聞くと何故かパキスタン辺りをイメージしてしまう虫けらなのだが、セイロン島と聞くと、ああ、と思う。セイロンティーは世界的に有名だ。他にもシナモン、コショウ、米などを生産する農業国なのだそうな。そのスリランカでは今年に入り、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領が化学肥料の輸入を禁止する方針を示し、同時に有機農業を推奨しているらしい。

 AFPの報道によれば大統領曰く、スリランカ国民に「より良い食料安全保障と栄養供給」を確保できるそうで、諸外国に対しても「世界の食料システムを持続可能な方法に変えるために必要な大胆な施策」を打ち出すべきだと主張している模様。

 まあ日本にも有機農法万能主義者みたいなのはいるが、スリランカではそれが大統領になってしまったという訳だ。これは何とも困った事。前にも書いたが、有機農法は一つの選択肢であっても絶対的な正解ではない。作物を有機農法で生産すれば、確かにブランド価値は上がる。しかし生産量は確実に下がる。コストも上昇するし、場合によっては利益率も下げざるを得ないだろう。

 たとえば一部のブランド茶葉について有機農法以外認めないとかいうのであれば、一つの生き残り作戦として理解できないではない。だが国民が消費する農産物まですべて有機農法で作れというのは無茶苦茶だ。そんな事をすれば農産物の価格は高騰するだろうし、量的に足りず海外からの輸入量を増やさねばならない羽目になる。それでも貧しい階層の人々は野菜を購入できなくなるだろう。

 確かに有機農法は自然に優しい農業であり、我々は農業に限らず、さまざまな生活様式を見直さねばならない曲がり角に来ているのは現実だ。ただ、だからといって極端から極端に走ってどうする。理想主義だけで現実をひん曲げて良い訳がない。化学肥料を禁止し、すべての農産物を有機農法で作ってもらいたいのなら、全国民に大統領と同じだけの収入を約束すればいい。それができないのなら有機農法だけの農業など絵に描いた餅だ。

 AFPによれば政府が方針を変えない限り、スリランカの紅茶の年間平均生産量は約3億キロから半減する恐れがあるという。

「社会的にも政治的にも経済的にも、想像を絶するほどのコストがかかる夢」

「紅茶栽培がだめになれば、300万人が仕事にあぶれることになる」

 などなど、悲観的な声がスリランカ国内からは上がっている。むべなるかな。農業の専門家からもサジを投げられている模様。言うまでもないが、有機農法が悪い訳ではない。そこにのみすべての正解があると思い込む愚かさが問題なのだ。この世界はそんなに単純ではない。ワクチンさえ確保すれば新型コロナが押さえ込める訳ではないし、有機農法さえ行えば持続可能な農業になる訳でもない。どれもあくまで手段の一つである。「これさえやれば万事安心」なんて万能薬的解決方法は、どこにもないのだ。


 今朝は地震があった模様。いわゆる異常震域の地震らしい。異常震域というのは、プレートがマントルの中にぐーっと潜り込んだ、その先端付近の非常に深い地点を震源とした地震で、震源と実際に揺れた場所とが大きく離れている特徴がある。今回の地震は震源が静岡県の南、和歌山県の南東に位置する太平洋の地下450キロで、関東と鹿児島県が揺れている。そうそう頻繁にあるモノではないが、そう極端に珍しいモノでもないそうだ。


 ヴァージン・ギャラクティックやブルー・オリジンなど「民間宇宙企業」が、このところ民間人を乗せて有人宇宙飛行を成功させている。まあ成功と言ってもイロイロ文句がある人も多いようなのだが、とりあえず地球が丸いという事をその目で確認できるくらいの高さにまで到達したのは間違いない。

 そんな中、今度はイーロン・マスク氏が率いるスペースXが、パイロットを含めて民間人4人だけで宇宙飛行を行うらしい。ロケットは明日15日に発射される予定。これが他社の宇宙飛行と違うのは、高いところに行って降りてくるだけではなく、国際宇宙ステーションより高高度、つまり地上400キロより上の宇宙で地球周回軌道に乗り、3日間を過ごすという旅程らしい。なるほど、地上100キロを超えたかどうかでグダグダ言ってる他社とは格が違う。

 今回パイロットを務めるのは富豪のジャレド・アイザックマン氏。彼は軽量ジェット機による世界一周記録の保持者で、軍用機の操縦資格も有する冒険家でもある。このアイザックマン氏がスペースXの宇宙船クルードラゴンを自費でチャーターし、自ら選んだクルー3名と共に宇宙旅行へと出発するのだ。ちょっと前までSFであった「金さえあれば宇宙へ行ける時代」の本格的な到来である。

 本音を言えば虫けらは宇宙へ行くより、その1%でいいから現金をもらえた方が絶対に嬉しいのだが、人間イロイロ、人生イロイロ、まあ、無事を祈るしかないわな。


 本日はこんなところで。はあ、体が重い。あと数日で台風14号がこちらに向かって来る模様。もう想像するだに気分が重くなる。何とかならんものか。ならんのだろうなあ。とにかく推敲に全エネルギーを傾けよう。いまはそれしかない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る