第661話 2021/8/5 日和るとか

 本日は6時起き。やはり普通の人間の起きる時間帯に起きられると気分がいい。何かいい事をしたような気分になる。実際には何もしていないのだが。

 いわゆる社会派映画を作っているプロデューサーが「鬼滅やエヴァは映画館を救わなかった」などと珍妙で意味不明な言説を振り回しているそうだ。あれは他の実写作品から客を奪っただけなのだと。つまりアレだな。虫けらの小説が読まれないのは有名作家が読者を奪っているからなのだな。アホか。

 他人を見下すという行為はイロイロとアレなのだが、まあ、要するにクリエイターの言葉ではない。金勘定だけしかできないのにクリエイターになったつもりの勘違いさんのお言葉である。奪われたと思うのなら奪い返せば済む話であろう。超面白い邦画を是非とも作っていただきたいところ。作れるものなら。


 ことわざに「大山鳴動鼠一匹」とある。源流を辿れば古代ギリシャにまで行き着く言葉だ。「大騒ぎをしたのに起こった変化はごく僅かでしかない」といった場合に用いられることわざであるが、この言葉にはまず大前提がある。それは本当に大きな異変が起きているのならネズミはみな逃げ出す、という事である。

 昔から、船が火事になる直前に棲み着いていたネズミが逃げ出した、船が沈むときにはもうネズミはどこにもいない、といった伝説は多い。ネズミにそんな予知能力があるとは思えないものの、元から小さな体の生き物であるから、ボヤが起きた時点でパニックを起こし水面に飛び込んだりはしたのかも知れない。

 こういった伝説に基づき、現代では危機管理能力の高い者、先読みのできる者をネズミにたとえて揶揄する事もある。「泥船からネズミが逃げ出した」などと言われたりするのだ。

 しかし真剣にヤバいと思ったら逃げ出すというのは利口であり、ある意味その立場や職業に対し真摯であるとも言える。ダメなものをいつまでも存続させては社会の迷惑になる。人が去って潰れてしまえば余計なコストを発生させないし、業界も新陳代謝を起こしてより健全になる可能性があるからだ。ただし最初に行動を起こす者は非常に勇気が必要だ。批判の矢面に立つ覚悟も要る。

 一方この逆に、衰退した組織や団体にいつまでも縋り付き、養分を吸い続けようとする者もいる。こうした連中はその腐った組織の中で主に多数派につき、周囲から批判を受けると今度は反主流派に鞍替えしたりする。つまり「日和る」訳だ。

 日和る事それ自体はまあ否定はしない。信念に基づく終始一貫した言動を維持し続ける、というのもなかなか難しいからな。人間誰しも日和る瞬間はあるのかも知れない。だが日和るくらいならその組織・団体と袂を分かって、堂々と自らの主張を展開してはどうだと思う事もしばしばである。

 菅政権は先般新型コロナウイルス感染者の入院制限方針を打ち出し、世間から大きなブーイングを浴びているが、これに与党からも反対意見が噴出している。

 時事通信の報道によれば、公明党からは、

「酸素吸入が必要な中等症患者を自宅で診るなんてあり得ない。撤回を含め検討し直してほしい」

 また自民党からは、

「党に一切相談なく首相官邸で決めたことだ」

 との不満の声が上がっているらしい。

 平たく言えば総選挙が近いのだ。有権者からの支持を失う事はしないでくれと言いたいのだろう。要は日和った訳である。やれ白紙撤回だ何だと鼻息は荒いが、だったらどうするべきという具体的な話は一切ない。この政府にしてこの与党ありといった感じか。野党がどうしようもないのは、野党なんだからある意味仕方のない面はある訳だが、政府を動かせる立場の与党ならば何か対案を出せよ。対案も出さずに白紙撤回を求めるとかどこの立憲民主党だ。みっともない。

 日和るのは与党だけではない。5日、あの産経新聞は社説である「主張」で、

「入院基準の転換 今まで何をしていたのか」

 と題し政権を批判している。

「田村憲久厚生労働相は4日、衆院厚労委員会で『一定程度ベッドに余裕がないと急遽きゅうきょ搬送できないので、重症化リスクの低い人は在宅で、ということを先手先手で打ち出した』と述べた。病床を確保できないとみて急に方針を転換するなら、それは先手ではなく『後手後手』と言うべきだ。」

 と、産経らしからぬ普通の事を書いている。しかしここでも具体策はない。先日もこの日記で書いた通り、新型コロナ対応はもうすでに政府の能力限界を超えていると見るべきだ。いま以上の具体策など出しようがない。もし与党や産経新聞が本当に現政権の対応を問題視し、これでは困ると真剣に考えるのなら、選挙の前に首相の首をすげ替えるくらいのダイナミックな動きを見せてはどうか。それをせず、ただ国民の反応を横目に日和る事を繰り返しても何の意味もないと思うところ。


 オリンピックのソフトボールで金メダルを獲った選手が愛知県名古屋市の河村市長を表敬訪問したところ、市長が突然、金メダルに噛み付くパフォーマンスを見せたそうだ。うん、気が狂っているとしか思えない。もし狂っていないのなら、想像力も人を思いやる気持ちも欠落しているアホだ。行政の長の器ではない。過去の政治的発言の中には共感できるものも皆無ではないのだが、本質的にアホなヤツが人の上に立つのはマズい。とっとと辞任すべきだろう。


 萬屋錦之介氏の時代劇「破れ傘刀舟 悪人狩り」でよく見かけるのが、

「焼酎買ってこい! 一番強えヤツだ!」

 と焼酎を買ってこさせ、それを刀舟先生が一旦口に含んで霧のように患者の傷口に吹き付けるというシーンだ。まあ要するにアルコール消毒なのだが、口に含む理由はよくわからない。そのまま傷口にかければいいのに、と昔から思っていた。でもまあ視聴者にインパクトを与える、いわゆる「映える」という事を意識するなら必要な表現だったのだろう。

 さて愛知県豊橋市の産婦人科で男性院長が飲酒後に出産手術を行っていたとして、市の保健所が注意喚起と改善を求めていたらしい。生まれた乳児には一時命の危険があり、現在は別の病院に入院している。

「別に酔っ払うほど飲んでいないので、お茶代わりに飲んでいた」

「ビールは飲んでましたよ」

「僕はいつも飲んでいました」(以上毎日新聞)

 などと院長は乳児の父親に話した模様。焼酎でアルコール消毒をした訳ではないようだ。

 ヤフコメなどを見るとこの産婦人科医に同情する声もある。まあ確かにお産はスケジュール通りに子供が出て来る訳ではないので、医師も24時間体制となる。休憩もまとまった時間取れないし、ビールすら飲めないのは可哀想かも知れない。

 だが、人間はビールを飲まなくても死なない。何ヶ月も飲まなくても病気になったりはしない。健康になる事はあるかも知れないが。酒を飲むのは自分の代役の医師がいる完全休養日だけにする事はできなかったのだろうか。完全に断酒をしろとまでは言わないから、せめてもう少し何とか自制してもらいたいところ。


 本日はこんなところで。相変わらずネタがない。

 昨日はミステリーを1500文字ほどしか書けていない。調子が悪かった、と言い訳するのは簡単であるが。ああ、もっと頭が回らないものか。

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