第577話 2021/5/13 全面戦争

 本日は12時起き。背中から腰への痛みが酷い。横になっているときはいいが、立ち上がると地獄を味わう。「病院に行け」と言われるのだろうが、現状そんな元気もない。多少なりとも体力が回復しないと家から出るのも難しい。まさかこのご時世にこの程度で救急車を呼ぶ訳にも行かんしな。タクシーという手はあるか。まあ最終手段だな。とりあえず痛み止めでも飲んでマシになるか試してみよう。何とも厄介な。

 さて本日は大ネタが1つ。ネタが他になかった訳ではないのだが、文字数がかさんでしまった。


 戦争には種類がある、と書くのは簡単だが、じゃあそれを説明してみろと言われると、これができない。何に基づいて分類するのかによって様相が異なるからだ。

 内戦、紛争、戦争、といった分け方もある。陸戦、海戦、航空戦、といった分け方もあるし、限定戦争と全面戦争という分け方もある。侵略戦争と防衛戦争もあれば、殲滅戦と消耗戦もある。おそらく他にもまだ詳細な分類はあるはずだ。

 この多岐に渡る分類は、戦争が古来より人間にとって重大な関心事であったからだろう。まあ人命が失われ国家の存亡に関わる重大事であるからな、当たり前と言えば当たり前だ。誰だって死にたくないし、いま住んでいる場所から追い出されたくはない。それは時代も洋の東西も文化も宗教も問わない、すべての人類に普遍的な感覚ではないか。

 だったら戦争なんてしないのが一番賢い。戦争が起こる手前で落とし所を見つけて平和裏に解決するのが正しい国家の在り方だろう。ただ残念な事に、人間はそれほど賢い生き物ではないし、国家というシステムもそれほど合理的ではないのだ。

 国連のトール・ベネスランド中東和平特別調整官はTwitterに、

「直ちに攻撃をやめよ。事態は全面戦争に激化しつつある」

「ガザでの戦争の代償は壊滅的なもので、一般の人々が代償を払っている。国連は平穏を取り戻すために全関係者と協力している」(以上CNN)

 と書き込んだ。イスラエルとパレスチナの応酬が時を追うごとに激化している事を受けての投稿である。先般のアルメニアとアゼルバイジャンの紛争でも使われなかった「全面戦争」という言葉を用いてその危険性を訴えている。

 もちろん、イスラエルとパレスチナでは保有する軍事力に極めて大きな差がある。これ以上情勢が激化すればイスラエル側の一方的な殲滅戦、と言うか大虐殺になる可能性の方が圧倒的に高い。

 ただし、この先本当にイスラエルとパレスチナの争いが全面戦争へと発展すれば、イランが動くかも知れない。そうなれば今度はイスラエルとイランの戦争となる。イランが戦争状態となった場合、その影響下にあるイラクやシリアが静観しているはずもない。それは当然アメリカやロシアや中国やEUの介入を呼び、サウジアラビアやUAEやエジプトも態度を明確にするよう求められるに違いない。すなわち、全中東を巻き込んだ大戦争が起こる可能性があるのだ。最悪、下手をすれば第三次世界大戦を導くかも知れない。

 まあ、たぶん第三次世界大戦は大袈裟に考えすぎなのだろうとは思うが、その可能性がないと言い切れるほど小さい訳でもない。少なくともイランが介入し、それをアメリカが阻止しようとするくらいまでは起こるだろう。そこで場外乱闘が発生しないとも限らない。どう転んでもイスラエルとパレスチナだけの話では終わらないのだ。

 12日、アメリカのバイデン大統領は電話でイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、今回の衝突が早期に解決する事を願っていると伝えた。その際、イスラエルには自衛する権利があるとは述べたが、パレスチナ人については言及しなかったという。

 まあギリギリの判断だったのだろう。もしここで理想論に走って喧嘩両成敗的な事を言ったりしたら、イスラエル側から猛反発を喰らったに違いない。火に油を注ぐようなものだ。アメリカとして重要なのは、泥沼化するに決まっている戦争に巻き込まれない事である。そのためならパレスチナ人を不快にさせる程度はやむを得ない。

 こういう判断ができるのは、アメリカがパレスチナ情勢に対して明確な方針を持っているからである。時と場合によってそれを理想主義的に解釈したり、現実的に解釈したりするのだ。

 一方EUも国連安全保障理事会の席で、常任理事国および非常任理事国が、

「国際人道法に基づいてイスラエルに停止するよう呼びかける」(日本経済新聞)

 との声明を出した。つまりパレスチナ側に立つという事であり、これがEUの方針なのだろう。なおこの声明はほとんどの理事国が賛同を示したが、唯一アメリカだけが「緊張緩和につながらない」として反対したそうだ。これはある意味当然である。この声明が安保理の公式声明となってしまってはイスラエルが孤立してしまう。アメリカはそれだけは避けたいのだ。これも明確な方針が双方にあればこその対立と言える。

 そんな中、日本の防衛副大臣のツイートが話題となっている。中山泰秀防衛副大臣が12日、こうTwitterに書き込んだのだ。

「あなたならどうしますか?ある日突然24時間で300発以上のロケット弾がテロリストによって撃ち込まれ、愛する家族の命や、家を奪われたら。イスラエルにはテロリストから自国を守る権利があります。最初にロケット弾を一般市民に向け撃ったのは一体誰だったのか?私達の心はイスラエルと共にあります。」

 これについて加藤官房長官は記者団の質問に対し、

「個人のツイッターでの発信と承知している」(時事通信)

「意図を承知せずコメントは差し控える。わが国としてはイスラエル、パレスチナ双方に自制を求める働き掛けを実施した」(共同通信)

 と述べているのだが、防衛副大臣在任中の「個人」の公式Twitterで述べられた見解が百歩譲って単なる個人の見解であったとして、「私達」って誰だ。友達か。同僚か。それとも日本政府か。もしくは日本国民か。

 中山氏は記者団に書き込みについて問われると、

「テロリズムをなくしてほしい。イスラエルはテロから自国民を守る権利があるのではないか。これをしっかり訴えたいと思ったまでだ」(時事通信)

「テロリストのハマスとパレスチナの市民が同一視されていることに懸念があった。日本国民に正しい理解をしてもらいたい」(共同通信)

 と話したのだそうだが、イスラエルに心を寄せる事それ自体は問題ない。もし日本政府としてパレスチナよりもイスラエルを優先するという方針が決定されているのであれば別に構わない。だが実際はどうなのだ。

 ちなみにアメリカのトランプ前大統領は今般の情勢にこう述べている。

「バイデン氏の下で暴力が増加し、世界は不安定さを増している。バイデン氏の弱さとイスラエルへの支援の欠如が、同盟勢力に対する新たな攻撃を招いている」

「米国は常にイスラエルの側に立ち、パレスチナ人が暴力、テロ、ロケット弾攻撃を停止しなければならないこと、米国がイスラエルの自衛権をいつまでも強く支持し続けることを明確にしなければならない」(以上AFP)

 これはポジショントークではあるが、一面の真実である。日本政府がここまで明確な方針を持っているのであれば、今回の中山氏のツイートを問題とする理由はもちろんない。しかし実際は?

 申し訳ないが、いまの日本政府にパレスチナ情勢に対する明確な方針があるようには思えない。政府に方針がない状態で防衛副大臣が今回のような内容を述べるのは迂闊なスタンドプレーである。報じるメディアもメディアだ。「つまり日本人はハマスを敵に回すのですね」くらいツッコんだらどうなのだ。危機感がないにも程がある。

 中東情勢は世界情勢を左右する。その中東情勢を左右するのがパレスチナ情勢である。日本がそこに積極的に関わるというのなら、まずは政府が明確な方針を示すべきだ。誰に寄り添い味方するのかはそこをスタートにしなければならない。個人の無思慮なスタンドプレーに振り回されるようでは、国家としての体裁をなしていないと内外から笑い物にされても仕方ないだろう。


 本日はこんなところで。もう何と言うかかんと言うか。何も手に付かない。全然書けない。思い浮かばない。やれやれ。まあ、時間が解決してくれそうな気もするのだけれどなあ。

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