第571話 2021/5/7 不要とか

 本日は7時起き。曇天。ちょっと寒い。午後から雨が降る予報。はあ、ダルい。体が重い。うーむ。何かないか。何か面白かったり楽しかったり嬉しかったりする出来事は発生しないものか。まあ外に出ないのだから何事も起きないに決まっているのだけれど、何ともかんとも。気分が際限なく沈み込んで行く。やれやれ。


 先般の緊急事態宣言発令後、虫けらの暮らす地域には1日に1回くらいの割合で市の広報車が回ってくる。スピーカーでこう言いながらゆっくり走るのだ。

「現在大阪府に緊急事態宣言が発令されています。市民の皆さんは不要不急の外出を控えていただきますよう……」

 いまさらこんな事を言うのもアレだが、「不要不急」っていまひとつピンと来ない言葉だな。この言葉は「不要」と「不急」という2つの熟語をただ単に並べたものであり、たとえば「色即是空」のように4文字で初めて意味を持つような言葉ではない。どちらかと言えばまだ「阪神優勝」の方が近い。

 2つの熟語のうち、不急はまだわかる。急ぎでない用事は後に回してなるべく家に居ろと言いたい訳だ。これはまあ当然と言えるだろう。だが問題は不要の方だ。不要な外出って何だろう。平たく言えば遊びに行くなという事であろうとは思うのだが、人にとって遊ぶ事は不要であろうか。

 レジャー施設や観光地は逃げはしない。その点で考えれば遊びに行くのは不急ではあろう。だが不要かと言われると首をかしげる。人間の脳は常に刺激を求める。新鮮な驚きを欲する。それは人間という動物の特徴ではないか。

 カラスが雪遊びをしている動画を見た覚えのある人も多かろう。あれはのどかな光景のようにも思えるが、実際そうとは限らない。カラスの視界の外に外敵が存在している可能性も少なからずあるからだ。カラスだってそれくらいは理解している。だが連中は遊ぶ。遊びたいから。遊ぶ事で得られる刺激を脳が欲するから。高度な知能を持つ生物にとって遊びとはそういうものである。つまり遊びは少なからぬリスクを負ってでも行うべき事なのだ。

「遊びなんかでケガをしても馬鹿らしい」

 そう言う人もいるだろう。しかし本来的にはそれは間違いだ。あえてケガをする必要はないが、ケガをするリスクを管理する事まで含めて遊びなのである。子供はすぐ危険な遊びをしたがる。大人はそれを叱るものの、子供に危険な遊びをするなというのは無理だ。子供が無知で馬鹿であるからとも言えるが、それ以前に成長期の脳がより多くの強い刺激を欲するのだから。

 脳の要求に人間は逆らえない。大人になってもそれはたいして変わらない。新型コロナに感染するリスクなど、みな一応理解はしているはずだ。だが脳が刺激を求めてしまう。これに逆らうのは至難の業であり、結果として「でも感染しない可能性だってあるよな」などという屁理屈が理性を凌駕してしまったりするのだ。

 事ほど左様に、世に不急の外出は数あれど、不要な外出はあまりない。そもそも自分の行動を他人に不要扱いされる筋合いもない。不要不急という言葉の使用については、そろそろ見直しが必要なのではあるまいか。

 さて6日、日本維新の会の馬場幹事長は記者会見で、「立憲民主党は日本に必要ない政党」と述べたらしい。まあ維新の会が日本に必要かどうかを横に置いておけば、言ってる事それ自体はそんなに的外れでもない。

 メディアによる直近の世論調査で政党支持率が4~6%、実に日本人の9割以上から支持されていない野党第一党、それが立憲民主党である。普通に考えて不要であろう。維新も含め、こんな低い支持率の集団が政党の看板を掲げて国政に関わっているなど、国民全体にとって不幸としか言えない。

 何か事あるごとに「自民党政権は退け」と声を上げるが、それならおまえらも退いたらどうだ。国民のためにならないという意味では野党も自民党政権と何ら変わらない。「菅政権には国民の信頼が云々」と言うのなら、野党にだって信頼などない。ある訳があるまい。少し考えればわかるだろう。まあわかっているけど自身の生活のために商売として国会議員をやっているのだから意地でも辞めない、という連中の集合体なのだとは思うが。

 この国では有能な人材は国会議員など目指さない。これはもう仕方ない事だ。ただそれでも、せめて誠実であって欲しいと願うばかり。この程度すらも難しいのだろうけどな。不要な連中が不要不急を連呼する皮肉よ。


 6日、アメリカの陸軍フォートジャクソン基地から23歳の訓練生がライフル銃を持って脱走し、児童18人の乗ったスクールバスを乗っ取るという事件があった。運転手に対し隣の街へ連れて行けと要求したらしいが、途中で苛立って運転手と児童を全員降ろし、自分で運転して逃走しようとした模様。しかし上手く運転出来ずにバスを乗り捨て、徒歩で逃走していたところを警察に逮捕された。ケガ人等は出ていないようだ。

 映画『ダーティハリー』を思い出す。犯人は44マグナムで射殺されなかっただけ幸運だと考えるべきなのだろうか。

 ちなみに日本で子供の乗ったバスをジャックするというと仮面ライダーを想起する人もいるだろうが、初めて幼稚園バスジャックを実行した怪人が出てきたのは『仮面ライダーX』なのだそうな。ショッカーもゲルショッカーもデストロンもやっていなかったらしい。『秘密戦隊ゴレンジャー』の黒十字軍はやっていたとの事。


 5日、アメリカは新型コロナウイルスに対するワクチンの特許の一時的放棄に賛成する意向を示した。これはそもそもインドと南アフリカが世界貿易機関(WTO)で提案したもので、特許が放棄されれば世界中でワクチンが製造できるため、経済的に貧しい国々でパンデミックに対応する速度が上がるという主張だった。

 もちろん製薬業界は大反対である。「特許料が支払われなければワクチンの研究開発が続けられない」「特許を放棄しても、mRNAワクチンを製造するにせよ管理するにせよ人材の育成から始めなくてはならないため、いまのパンデミックに対応するのは時間的に無理だ」等々の理由を挙げている。

 しかしアメリカは特許の放棄に賛成し、フランスもこれに賛同した。EUも特許放棄について協議する用意があるとの姿勢を表明していたのだが、これに待ったをかけたのがドイツである。ドイツ政府は6日、

「知的財産の保護は技術革新の源泉であり、今後もそうありつづけなければならない」

「ワクチン生産を制限するのは生産能力と高い品質基準であり、特許ではない」(以上BBC)

 と主張した。

 ドイツは国内でビオンテック社がワクチンを開発製造しているワクチン生産国である。特許料収入は馬鹿にならない金額だろう。ただでさえ新型コロナで経済が落ち込んでいるのだ、ワクチンによる収入まで断たれてはたまったものではない、と言いたいのではないか。

 ちなみにアストラゼネカがワクチンを開発製造しているイギリスは、

「問題解決のためにWTO加盟国と連携している」

「COVID-19ワクチンの生産と供給の増加を促進するため、アメリカとWTO加盟国と協議している」(以上BBC)

 と表明している模様。イギリスとしてはここでアメリカとの協調姿勢を見せたいところだろう。アストラゼネカのワクチンが評判悪い事はさておき。

 まあ何にせよ、ポストコロナはもう始まっている。未来の世界の主導権を誰が握るのか、各国の思惑が見え隠れする問題である。不謹慎だが大変に面白い。さあ、どう落ち着くのやら。


 ブラジルは中国製の新型コロナワクチンを導入しているのだが、ボルソナロ大統領は5日、演説の中で、

「軍は化学、細菌戦争が何であるかを知っている。われわれは新たな戦争に直面しているのではないか」

「私は明言しないが、どの国が国内総生産(GDP)を最も伸ばしているのか」(以上時事通信)

 と述べた。

 また同様に中国製のワクチンを導入しようとしていたフィリピンのドゥテルテ大統領は、5日これを撤回、駐フィリピン中国大使からのワクチン寄贈を断る旨を表明した。

 巨大な堤防がアリの穴から崩れて行くかの如き動きである。傾き始めた世界を止める事はできない。日本も早急に態度を表明すべきだろう。せめて空気くらい読んで欲しいところ。


 本日はこんなところで。緊急事態宣言の延期と拡大もあったが、もう誰も彼も見飽きただろうし、書くまでもないかと。

 昨日は500文字ほど。なかなか集中力が湧かない。書き始めるまでの助走にもの凄く時間がかかる。何とかならんものかねえ。

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