第522話 2021/3/19 議論とか

 本日は6時起き。健康的である。体も軽いし調子が良い。まあ、だからといって活動的になる訳でもなく、どうせまた一日家に閉じこもるのではあるが。


 議論をするのは大切である。そもそも、議論をしたからといって人は理解し合えるものではない。明確な解答が導かれる訳でもないし、正解にたどり着く訳でもない。しかし自分のものとは違う正当性の主張を把握する事によって、自分の対応に変えられる部分があるかどうかを確認できる。

 自分の考え方を曲げず、相手の考え方も尊重する形で、現実的な対応の変化によって双方に利益をもたらす事は可能かも知れない。もちろん対応の変化だけではどうしようもない場合もあるのだろうが、なんとかなるケースもあるはずだ。これは実際に議論してみなければわからない。言い換えれば、議論してみればわかる。一時的な妥協であっても、困っている人を減らせる策が編み出せる場合があるのだ。

 ところが不思議な事に、世の中には議論を嫌う者がいる。「議論をしたら負けだ」とでも思っているかの如くに。そういう連中は議論をしようという声に、必ずといって良いほどこう答えるのだ。「その前に考える事があるのではないか」と。この言葉で議論を止めようとする。新聞などを見ていると、やたら目にする言葉である。

 でも、どうして「その前」なのかを明確にできる者は滅多にいない。何故同時に考えてはいけないのか、何故一緒に議論してはいけないのか。

 最近で言えば、安楽死の問題で「その前に」をよく見かける。「その前に考えるべきだ、重い病を患っている人がすべて安楽死を望んでいる訳ではない事を」とか。確かに安楽死を望んでいない患者に対して安楽死を勧めるかのような空気が世の中に出てはいけない。しかしだからといって、それは安楽死を望む人々を無視して構わない理由にはならない。それらは同時に考える事である。分けて考えるべきではないし、ましてやどちらかを先に解決してから先に進むような話でもない。トータルで、総合的に考え判断すべきではないか。

 安楽死の問題は病人だけに関わる問題ではない。いつか病人になるかも知れないすべての日本人に関わる問題である。すべての日本人の意思が尊重されるべきであり、「重病人の意思こそが優先される」という考えは明白な病人差別である。自陣の主張を補強せんがために病人を利用する行為であり、非人道的と言える。一部メディアには猛省を促したい。

 18日、スペイン下院議会は定数350のうち賛成202、反対141、棄権2で安楽死と自殺ほう助を合法化する法案を可決した。EU加盟国ではオランダ、ベルギー、ルクセンブルクに次いで4番目の国となった。EU非加盟国ではスイスも安楽死が認められ、ヨーロッパ以外ではオーストラリアのビクトリア州でもこの制度がある。もはや特殊な国の特殊な制度とは言えまい。

 安楽死が認められたからといって、どこの国の制度もそう簡単には死なせてくれない。しかし厳しい条件をクリアすれば自らの人生に幕を下ろせるという事実は、ときとして人を勇気づけもする。生きる事は権利である。死なない事は義務ではない。

 我々は自分の命を、自分以外の誰かに掌握されている訳ではない。どんな形であれ自分のために使って悪いはずがない。しかし、無闇に使おうとすれば他人に迷惑をかける場合がある。ならば国が制度を整える事によってそれを防ごう、というのが安楽死を法的に認める1つの側面であろう。

 人は自らの心臓の鼓動を停止させる瞬間を、可能な限り選択できるようにすべきだと思う。誰かを犯罪者にする事なく、幸福の内に死を迎える事が可能なら、それを選ぶ自由はあって良いはずだ。規制で縛るだけが国の役目ではない。国民に新たな自由を与えるのも国がなすべき事である。日本でも議論が活発になる事を祈るばかり。


 アメリカのバイデン大統領は17日に放送されたABCのインタビューの中で、ロシアのプーチン大統領について、「殺人者と考えるか」との問いに、「そう考える」と答えた。これを受けてロシアはただちに駐米大使を本国に召還した。

 翌18日、プーチン大統領はオンライン会議の席上、この件について、

「お互いさまだ」

「人は常に他人の中に自分の本質を見いだし、その人物も自分と同じなのだと考えるものだ」(以上AFP)

「返答として、私は彼に『ご健康を願う』と言う。これは皮肉でも冗談でもない」(産経新聞)

 と述べたとタス通信が伝えた。

 ふむ、殺人者を否定はしないのだな。これが余裕なのか、それとも老人ボケが始まっているのかは判断が難しいところだが、以前に比べると多少鋭さがなくなってきている印象がある。彼の治世もそう長くないのかも知れない。


 現在ミャンマーの危険情報は一部地域をのぞき、「不要不急の渡航自粛」のレベル2であるそうな。外務省はこれを「渡航中止勧告」のレベル3に引き上げるかどうか模索しているようなのだが、さっさと引き上げろと思うところ。

 また9日以降、ミャンマー内に滞在する邦人に対し、日本への帰国検討を勧める領事メールを連日出しているとの事。個人的にはもっと厳しい対応でも良いような気がするものの、情勢の不安定化で出国に必要な新型コロナウイルスのPCR検査が受けられない場合があるらしい。やむを得ず出国前証明を免除し、帰国後の検査や空港周辺施設での待機に代える特例措置を取っているとの毎日新聞の報道がある。ミャンマーにいる日本人は全員帰国させろ、というのもなかなか簡単ではない模様。

 連日続く抗議デモでは死者が200人を超えたのではないかとされている。されているというのは、ミャンマーでは電話もネットも遮断され、新聞もすべて休刊するよう軍部から圧力がかかっているため、詳細な情報がどこにもないのだ。断片的に漏れ伝わってくる情報をツギハギに貼り合わせるしか手段がない。

 そもそもミャンマーのネット遮断はISPに圧力をかけてとか、そういうレベルではない。隣国との間のケーブルを物理的に切断しているらしい。もはや後先など考えていない。発展途上国どころか未開発国にまで堕ちても構わないという姿勢である。狂っているとしか思えない。信じ難いが、これが21世紀の現代に起こっている現実を、我々は受け止めねばならないのだろう。


 本日はこんなところで。もっと楽しいネタがあればなあ、と思うところ。

 昨日は何とか2000文字書けた。少しずつ調子が戻って来ている様子。このまま順調に行ってくれれば良いのだが。

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