第510話 2021/3/7 ノコギリとか

 本日は午前2時起き。すぐ眠くなるかと思ってゴロゴロしていたが、一向に眠くならないので、これを書きだしている。現在午前5時。でも多分、朝飯食ったら眠くなるだろう。そこで眠っておかないと、明日フラフラになってしまう。まったく厄介な体である。


 日本は連綿と続く歴史のある国で、その歴史の中から様々な創作物が登場している訳だが、中には、もはや誰が考え出したのか不明となってしまった作品も多い。著名な和歌集には詠み人知らずの歌が並び、琵琶法師に伝わる平家物語や、多種多様な御伽草子に収録された物語も作者不明である。

 そんな作者不明の物語の一つとして、「安寿と厨子王」がある。他に「安寿と厨子王丸」「山椒大夫」などの名前でも知られるこの物語は、中世から浄瑠璃で広く演じられ、日本各地に民話化して伝わっている。森鴎外が小説化した事でも知られ、さらにそれをアニメ映画化した作品が1961年に公開された。

 物語としては復讐譚である。讒言ざんげんによって筑紫に流された奥羽太守の子供である姉弟が、親から引き離されて丹後の山椒大夫に売り渡され、そこで様々な苦難に遭遇する。その中で姉の安寿は自害するのだが、弟は御家再興が認められ、権力者として丹後に舞い戻り、山椒大夫とその息子を鋸挽のこびきの刑に処して、最後には生き別れた母と再会する、という話である。

 さて、実はこの物語はどうでもいい。注目すべきは山椒大夫が処された鋸挽きの刑だ。この鋸挽きの刑、創作された架空の刑罰ではなく、実際に行われていたものらしい。元々は罪人を道端に首まで土に埋め、その横に竹で作ったノコギリを置く。で、道を通る人に竹のノコギリで罪人の首を少しずつ挽かせるのだ。

 竹のノコギリであるからな、普通に考えて切れ味など悪いなんてモノじゃなかったろう。それを死亡するまでゴリゴリ斬られる。長い時間をかけた極めて残酷な死刑である。憎悪なくして成り立たない刑罰と言えよう。ノコギリを挽かされる通行人はたまったものではない。それを思えば、打首というのは極めて優しい処刑方法であったと考えられる。

 この鋸挽きの刑は江戸時代の最後まで続いたらしいが、江戸時代に入るとさすがにその残虐性にウンザリする人が多かったのだろう、鋸挽きの刑は形式罰となった。罪人は箱に入れられ、首だけを外に出す。その箱をある程度土に埋め、二晩の間、衆目に晒された。その上で三日目に掘り出され、市中引き回しの上、磔となったらしい。

 ただその場合でも、箱の隣には竹のノコギリと鉄のノコギリが置かれた。そういう様式だったのだろう。ところが元禄時代には、このノコギリで本当に罪人の首を斬ろうとした者が現れ、幕府は慌てて監視の役人を置くという本末転倒な騒ぎがあったのだとか。

 Wikipediaによれば、当時死刑には6種類あったが、この鋸挽きの刑は中でも最も重い死刑であったとされている。主人殺しにのみ適用されたのだそうだ。

 しかし歴史あるこの鋸挽きの刑も、明治元年(1868年)11月13日の通達で、火刑とともに廃されたとの事。よって現代の罪人は首をノコギリでゴリゴリ斬られて殺される事はなくなった。そのはずであった。

 神奈川県警は6日、76歳の女を殺人の容疑で逮捕した。女は5日午前11時頃、就寝中だった夫に馬乗りになり、首をノコギリで数回斬りつけて殺害したのだそうな。女は調べに対し、「昔から暴力を振るわれたり、お金を入れなかったりして長年の恨みがあった」(神奈川新聞)と容疑を認めているという。

 実際のところ何があったのかは、本人たちにしかわからないのだろうが、そこまで憎悪をたぎらせるには、それ相応の理由があるに違いない。とは言え、現代に鋸挽きの刑に処されるというのは、何とも怖い話である。


 新型コロナの蔓延で医療従事者が苦境に立たされているのは世界的な現象であるが、欧米ではこれに報いるために何をしたかと言うと、決まった時間に市民が一斉に拍手をしたりした。ライトアップは日本でも行われたな。

 だが、そんな行為はクソの役にも立たない事は誰の目にも明らかだった。当たり前である。医療従事者は超人ではないのだ。まず休ませろ、あと超過労働分に見合う報酬を寄越せ、と誰だって言いたくなる。それが普通の感覚だろう。

 さて日本に国民健康保険があるように、イギリスには国民保険サービス(NHS)がある。4日、イギリスの保健・社会福祉省が、NHS職員の報酬額を検討する組織に対し、給与の増額案を提示した。その割合、何と1%。1週間で3.5ポンド(約525円)ほどのアップだという。

 これが普段なら相手も不満には思うだろうが、腹は立てないのではないか。困惑した顔でもう少し何とかならないか、とため息をつく程度だろう。だが、いま状況が状況であり、しかも昨年から拍手とかライトアップとか、無意味な事をさんざんかまされた上での昇給が1%である。さすがにカチンと来たのだろう。看護業界などの組合からは、

「不十分過ぎてひどく失望している」

「コロナ禍にあって公平な対応とは誰も考えないだろうし、看護師の大量離職を防ぐ手立てにはならない」(以上CNN)

 と反発する声が聞こえている模様。

 イギリス政府側にも事情があるのだろうとは思うのだがな。ただでさえ休業補償やなんやかやで出費ばかりかさみ、ロックダウンで観光客も来ない。医療従事者を満足させられるだけの給料を払える金などないのかも知れない。ただそれでもだ。「人はパンのみにて生くるにあらず」とは言えど、まずパンを食わせろよという話だろうと思う次第。


 Twitter創業者の一人、ジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)の最初に投稿した2006年3月21日のツイートが、5日オークションにかけられ、現在200万ドル(約2億2000万円)を超えているのだそうだ。AFPの記事によれば、

「ツイートを買うということは、『ツイートのデジタル証明書』を購入するということで、この証明書は『作者によって署名・証明されているため、唯一無二である』という」

 との事。なんのこっちゃサッパリわからん。

 まあ確かに、美術館に飾られてる絵も買えば何十億もするが、見るだけならたいして金はかからんからな。ただで見られるツイートにだって価値はあるのだろう。欲しいと思う気持ちはこれっぽっちも理解できないが。


 ローマ教皇フランシスコは5日より史上初めてイラクを訪問している。6日にはイスラム教シーア派の指導者とも会談を行った。個人的な好き嫌いで言えば、虫けらはこの人物があまり好きではない。とは言え、この行動力は評価すべきだろう。無能な働き者でなければいいのだが、とも少しだけ思うけれど。


 本日はこんなところで。午前中に少し寝た。何とか1日持ってくれると良いが。

 昨日は1700文字ほど書けた。会話のシーンばかりなのであまり褒められた話ではないが、まあ書けないよりはいい。しかしまだまだ書かねばならん事が多い。ラストは遠いな。

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