第442話 2020/12/29 毒見とか

 本日は4時半起き。昨日は午前0時を過ぎても一向に眠くならなかった。何故こうも眠くならないのだろう、と思ってよく考えてみたら睡眠導入剤を飲むのを忘れていた。「陽子さん、薬は飲んだかの」とか聞かなきゃならんような年齢になったという事か。日々老化を痛感するところ。


 小池一夫氏原作、小島剛夕氏作画の劇画に『乾いて候』という作品がある。このコンビでは『子連れ狼』が超のつく大ヒット作としてあるので、そこと比べるとあまりメジャーなイメージはないが、それでも何度か映像化され、主人公の腕下かいなげ主丞もんどは田村正和氏の当たり役の一つとなっている。

 この腕下主丞は将軍家のお毒見役であるのだが、実際の徳川幕府や将軍家に毒見役という名の役職はなかった。とは言え毒見をする者がいなかった訳ではない。台所では御広敷番頭おひろしきばんがしらとか御広敷御用達添番おひろしきごようたしそえばんといった台所役人が毒見をし、将軍や御台所のところに運んだ後では御中﨟おちゅうろうが毒見をする。基本二重のチェックを通過した物だけが将軍の口に入った模様。

 この時代には先般の小林化工みたいな現場猫案件はなかったのだろうか。まあ、もしあったら首が飛ぶ時代だからな、その辺はいまよりも真剣だったのかも知れない。そう言えば、ナチスのアドルフ・ヒトラーにも毒見役がいたのは結構有名な話なのだそうな。

 国家の安定的運営のために最高権力者の身の安全を第一に考えるというのは間違っていないようにも思えるが、カリスマを一人失ったら国が滅ぶようなシステムは根本的に間違っているだろう。いま管首相の周りにパンケーキを毒見する人間がいるとは思えない。人は単体としてはなかなか進歩しないものだが、社会はそれなりに進歩するものらしい。

 さて28日、フィリピンのドゥテルテ大統領を守る護衛隊員らが、中国製の新型コロナワクチンを接種している事が明らかになった。しかし大統領本人は接種していない。この中国産ワクチン、フィリピンではまだ未承認なのだが、使用に法的問題はないそうだ。にしても、だ。

 おそらくドゥテルテ大統領は、この先アメリカやイギリスのワクチンが手に入るようになっても、すぐには打たないのではないか。薬事当局が承認してもしなくても、とりあえず周りの連中に先に打たせて、安全そうだと思ったら打つのだろう。21世紀の毒見役である。護衛隊員も文字通りの命がけであるな。


 自分が殺した民間人に武器を持たせて反政府ゲリラの死体に見せかける、なんて名探偵コナンでなくても簡単に見破れるアホみたいなトリックで世間の目をごまかそうとしたインド人陸軍の大尉が、27日に起訴された。殺害の動機などは不明。

 何とも間抜けな殺人事件なのだが、ただ厄介な事に、この事件の舞台は昨今話題のジャム・カシミール州である。パキスタンとの係争地に接し、1990年より非常事態法が施行されている。このため連邦政府の同意なしに軍人を民間法廷で裁く事ができない。起訴された大尉は陸軍が拘束しており、警察は手が出せない状態。このまま軍隊内部の「処分」で話が終わってしまうパターンであろう。とても21世紀の現実とは思えないのだが、何ともはや。


 欧州圏で勢力を拡大し続けている新型コロナ。中でも最近話題なのがイギリス発の変異種である。従来の新型コロナよりも感染力が高いといわれるこの変異種のため、イギリスとの往来を制限する国が続出した。

 スイスのスキー場はイギリスのスキーヤーに人気なのだそうな。しかし上記のような理由のため、スイス政府は今月14日以降にイギリスから到着した全員を10日間の隔離対象とした。これにより、スキーリゾートで人気のベルビエではイギリス人観光客約420人が隔離された。しかしある日、夜の闇に紛れて約200人が脱走したという。隔離施設となっていたホテルでは朝食に出て来ないのを確認するまで脱走に気付かなかったそうだ。

 まあ要するに「赤信号、みんなで渡れば怖くない」である。自分の行動が周囲に迷惑をかけるという発想も、それが恥ずかしい事だという考えもないのだろう。確かに隔離されるのもストレスが溜まって大変なのだろうが、だったらこんな時期にイギリスを出なければ良かろうにと思うのだが。


 ロシア政府は28日、これまで発表していた新型コロナの死者数を修正した。修正後、その数は3倍以上になり、18万6057人となった。これは世界で3番目の数である。

 とは言えロシアだからな。これが本当の数字かどうかは不明だ。もっと多い可能性もなくはない。この数字を出してきた裏には、何らかの目的があるのだろう。たとえば件のロシア製ワクチン『スプートニクV』で死者数が激減した! みたいな発表をしようとしているのかも知れない。なので、あまり真に受けてはいけないと思うところ。


 ベイルート港での大爆発以降、まともに国が動いていないレバノンであるが、ここにもシリア難民キャンプがある。難民を支援している場合ではないと思うのだが、まあ地理的にも政治的にも放置はできないのだろう。

 そんな難民キャンプの一つで26日火事があった。レバノン人によってテントに放火されたのだ。経緯や動機はまだ明らかにされていないが、どこの国でも起きる可能性のある事件である。そう言えば9月にはギリシャの難民キャンプでも火災が発生している。

 日本は難民を受け入れない事で有名であるが、他人事とは言えない。将来的に朝鮮半島有事などがあった場合、大量の難民が押し寄せる可能性はあるからだ。その時点で日本が他人に金を分け与えられるほど裕福であればさほどの問題にはならないかも知れないが、いまの状況を見る限りそんな未来は期待できない。であれば「みんなで不幸になる」だけだ。レバノンでいま起きている事は、日本でも起きるだろう。何とも陰鬱になる話。


 本日はこんなところで。昨日は2400文字ほど。朝起きて1000文字。何とか頑張った。あと400文字ほどで5万文字達成である。今年中には到達できるか。今日を入れてあと3日。とにかく頑張りたい。

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