第356話 2020/10/4 住めば都とか

 本日は11時半起き。ぐあー。昨夜も寝付きが悪かった。何でだろう。涼しくなると睡眠導入剤の効きが悪くなるのだろうか。去年はどうだったのか覚えていない。

 ああそうか、毎日日記書いてるんだから確かめれば良いのか。今回が356話だから、もうすぐこれを書き始めて丸1年になる。そんな訳で第1話とか2話とか見てみたのだが、涼しくなった、鳥部屋に暖房を入れたと言いながら8時9時に起きている。うむ、気温は関係ない模様。じゃあ何だ、天気の関係か、それとも単に老化したのか。

 まあ何にせよ、朝まともに起きられないと一日が短くてかなわん。何とかしたいのだが、何とかする方法があるのだろうか。


「住めば都」という慣用句が何に由来しているのかは定かでない。一説には平安時代に地方へと赴任した官僚たちの言葉から始まっているとも言われるが、流刑になった皇族あたりに原点があってもおかしくはないと思う。どんな辺鄙な田舎でも、住み慣れてしまえば便利で華やかな京の都にも等しく感じるという意味であるが、そこには「順応」「諦め」「愛着」など、さまざまな要因が絡み合っている。

 虫けらは過去何度か引っ越しているのだが、生活環境は様々であった。とてもマトモな人間の暮らすような環境ではない場所で生活した事もある。だがそれでも、パーソナルスペースさえ確保できれば我慢はできるものである。そうではないという人もいるだろうが、少なくとも虫けらにとって何より重要なのはパーソナルスペース。それさえあれば、あとはまさしく住めば都。慣れてしまえばどうという事もなかった。

 そんな虫けらなので、もし将来刑務所に入るような事になるなら、できれば禁固刑が良いと真剣に思う。独房に一人っきりでいられるのなら、たぶんそれ以外は我慢できるはずだ。雑居房は勘弁してもらいたい。おそらく1日たりとも我慢出来ないだろうから。

 2日の午後8時頃、神奈川県内のマンションで、駐輪場に停められていたバイクが放火され燃えた。火は燃え広がり、バイクが5台、自転車が9台焼損したという。この容疑で神奈川県警は67歳の男を逮捕した。男は犯行後交番に出頭し、「刑務所を出たばかりで生活していく自信がなかった。罪を犯して刑務所に戻りたかった」(産経新聞)と述べたらしい。

 こういう話はよく聞く。確か映画『ショーシャンクの空に』でも何十年かぶりに刑務所を出た男が、絶望して自殺するという話があったように思う。ただ、だからといって刑務所の中が、外より暮らしやすい良い場所であるなどと考えるのは間違いだ。おそらく今回捕まった男にとっても、刑務所は暮らしやすい場所ではなかったろう。だが、その暮らしにくさに慣れてしまった。慣れてしまえば住めば都となる。

 刑務所の外には自由がある。しかしそれは、住む場所と金と知識がある者にのみ許される自由である。刑務所から出所した男には何もない。何もないまま飢え死にするより、暮らしにくくても食い物にありつける刑務所の中の方がマシであると考えるのは無理はないし、その暮らしにくさには慣れている。新しく覚えなくてはならない事は何もないのだ。67歳の男に改めて社会性を身に付けろというのは、拷問に等しいのかも知れない。

 社会や弁護士は刑務所を「更生施設」だと言い、そこからより早く出られる事を重視する。それが被告の権利を守る事だと。だが刑務所を出所した人間に、金をくれる訳でも仕事を与えてくれる訳でもない。刑務所の中にしか居場所が見つからない人間だって世の中にはいるのだ。そういう人間には罪を繰り返さなくても刑務所の中に居続けられるような制度は作れないのだろうか。

 本来的には刑務所は社会のセーフティネットではない。しかし事実としてそう機能しているのであれば、それを活用する発想の転換は必要であろう。結局のところ、この世界をより安全にするためには、より多くの人間に居場所を提供する事が必要となる。理想としては刑務所の外にその居場所を作る事ができれば良いのだが、理想はあくまで理想でしかない。いまはより現実に即した対応が求められているのではと思うところ。


 ナゴルノカラバフを巡るアルメニアとアゼルバイジャンの戦闘はまだ続いている。そんな中、イギリスに本部を置くシリア人権監視団は3日、これまでに現地の戦闘でシリア人戦闘員が少なくとも64人死亡したと明らかにした。

 何故シリア人が出て来るのだと思う人もいるだろうが、アゼルバイジャンはイスラム教徒の国であり、その背後には同じくイスラム教国であるトルコがいる。そしてトルコはシリア北部に軍事侵攻し、クルド人勢力を攻撃している。どうもそのトルコ軍が、現地のシリア人を戦闘員としてスカウトし、アゼルバイジャンに送り込んでいるらしい。シリア人権監視団によれば、アゼルバイジャンに送り込まれたシリア人は1200人に上るという。

 シリアで内戦が始まったのは2011年。もう9年に渡ってシリア軍がシリア人を殺し続けている。当然国内は荒廃し、金も仕事もない。それでも人は生きて行かねばならない。そこにトルコ軍が傭兵の話を持ちかけて来たのだ。特別な軍事訓練を受ける必要もなく、参加するだけで金がもらえる。シリア人が飛びつくのは無理もない。

 まさか最前線に放り出されるとは思ってもみなかった、というシリア人の声も報じられているものの、それでも傭兵に参加するシリア人はいるだろうし、トルコも投入し続けるだろう。アゼルバイジャンは地獄だが、シリアにいても地獄なのだから。同じ地獄なら、金をもらえる方が良いに決まっている。そんな絶望的な二者択一が行われている事実を、我々は知っておくべきだと思う。


 少ないが、今日はこんなところで。朝日新聞とワタミが従業員の業務記録を改竄していた話とか、東京新聞の記者が取材先で暴れ回った話とかもあるのだが、イマイチ面白くはないので書く気にならなかった。トランプ大統領の治療に人体実験まがいの手法が投入されているとか、イギリスがEUから訴えられそうになっているとか、そういうネタもあったものの、虫けらの知能と知識量では書くのは難しいぞと内なる声が主張するので今回はやめておく。なかなか身の丈に合ったネタというのはないものだ。

 昨日は700文字ほど書けた。というか、そこでまたブレーキがかかってしまった。700文字というのが鬼門なのだろうか。まあ今日も何とか頑張りたい。

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