第332話 2020/9/10 アメリカとか

 高々と両手を振り上げガッツポーズ。「秋だ、秋が来た!」、そんな気分になる7時起きの朝。今日も最高気温は30℃を下回るようだし、エアコンなしで過ごせるだろう。長かった夏もようやく終わった。そんなに長くはなかったような気もしないではないが、とにかく終わった。あとはこの気温が1日でも長く続いてくれる事を祈るばかり。でも続かないんだよなあ。ああ、冬なんて来なければいいのに。


 虫けらは戦争が大嫌いであり大反対である訳だが、それでも戦争を「しない」国と「できない」国との違いは理解しているつもりだ。戦争をしない国というのは一部の政治家や軍部が勝手に暴走したりできないようなシステムを持ち、自制的な国民教育を行っている国だ。対して戦争ができない国というのは軍隊を動かすための近代的なシステムを持たず、無責任な国民を生み出す教育を広める無能な政治家が跋扈する国である。さて、いまの日本はどちらだろう。

 20世紀において世界の戦争の中心を手にした国はアメリカだ。アメリカは世界に戦争をバラ撒き超大国へと巨大化した。アメリカの都合で戦争は始まり、アメリカの都合で戦争が終わった。21世紀に入ってもアメリカは「テロとの戦争」を引っさげ、世界各地に軍隊を派遣し戦った。アメリカはつい最近まで紛う事なき戦争を「する」国であり、「できる」国であった。しかしそれもこの数年で変化した。トランプ政権の誕生によって。

 アメリカ政府は9日、イラクの駐留米軍の規模を5200人から3000人へと縮小すると発表した。11月の大統領選挙に向けて、政権公約の実現を急いでいるのではとの観測もある。アフガニスタンでもタリバンとの和平合意を受けて、駐留米軍は削減される。

 これはアメリカ人にとっては評価に値する事だろう。アメリカ国民の命が危険にさらされる可能性がそれだけ低くなったのだから。ただし、世界の中におけるアメリカの権威が失墜する事と引き換えである。メイク・アメリカ・グレート・アゲインを謳って当選したトランプ大統領は、しかし国際社会におけるアメリカの権威などクソ食らえだと思っている節がある。そんなものを追求しても国内の有権者は評価してくれないと考えているのかも知れない。

 トランプ大統領は就任間もない頃、シリアにミサイルをぶち込んだり、北朝鮮に対して軍事行動を起こす用意があると警告したりもしたが、どちらも本格的な軍事行動には至っていない。そもそもトランプ氏はロシアと敵対する事を極端に嫌がる。だからシリアでもリビアでもウクライナでも及び腰だ。いまのアメリカはもはや戦争を「しない」国ではなく、「できない」国になりつつあるのではないか。

 そんなトランプ大統領が、2021年度のノーベル平和賞の候補に推薦されたそうだ。ノルウェーの議員からの推薦らしいが、アラブ首長国連邦(UAE)とイスラエルの国交正常化への尽力を評価しての事だという。これ自体は別に構わないのではないか。前任のオバマ氏も平和賞をもらっているからな。UAEとイスラエルにせよ、セルビアとコソボにせよ、結果を残しているのだから平和賞くらい受け取っても批判される筋合いはない。ただ、アメリカを戦争「しない」国に変えての平和賞なら、もっと価値があったろうな、とは思う。

 虫けらはトランプ氏の対中国政策を支持しているが、そこには「いまのアメリカから中国に軍事行動を起こす事はできないだろう」というマイナスの期待感がある。中国側がどう思っているのかは知らない。だがもし中国も「いまのアメリカは戦争ができない」と判断したらどうなるか。一気に情勢が変化する可能性もある。

 トランプ大統領は9日、アメリカ国内における新型コロナウイルスの感染拡大について、「パニックを起こさないためにリスクを軽く見せた」といった内容の発言をした。虫けらはあまり一事が万事という言い方は好まないのだが、トランプ氏に関しては経済であれ軍事であれ新型コロナ対策であれ、慎重さに欠ける直観頼りの行き当たりばったりに思えてならない。

 予測できないからインパクトはある。それが実際、中国を翻弄している側面はあるだろう。しかしその行動や発言に裏付けがない。イラクであれアフガニスタンであれ、駐留米軍の縮小は軍事の専門家が太鼓判を押したのだろうか。押してないように思うのだが。

 何にせよ、リーダーが変わるだけで天下の軍事超大国アメリカですら戦争できない国になる事を知らしめたのは、トランプ氏の功績と言えるのかも知れない。これは民主主義に内在する問題点の1つである。ただ、「だったらバイデン氏が大統領になればまた戦争できる国になるのか」という声に対しては、首を横に振らざるを得ない。おそらくもっと酷い事になるだろう。

「トランプ氏がアメリカを衰退させたのではなく、アメリカが衰退したからトランプ氏が大統領になれたのだ」

 という声も世の中にはあるようだ。さもありなんと思うところ。


 そんなアメリカであっても、命綱としなければならない国もある。8日、台湾の台北で開催されたアジア太平洋地域の安全保障に関するフォーラムで蔡英文総統が演説し、

「志を同じくする国々、そして民主主義の友好国が…一方的な侵略行動を抑止する戦略的秩序を維持するときだ」

「それらの同盟こそが、われわれが最も重視する価値観、すなわち自由、安全、人権、民主主義を守ることができる」(以上AFP)

 と述べた模様。名指しこそしていないものの、普通に考えて中国を念頭に置いた発言であろう。台湾が独立国家として存在し続けるためには中国の軍事的脅威に対抗せねばならず、そのためには自由と民主主義の中心であるアメリカの協力が欠かせない。それは動かしがたい現実である。

 少なからぬアメリカ人にとっては知ったこっちゃないのかも知れないが、アメリカには世界の警察、無敵のスーパーヒーローであり続けてもらわなければ困る人々も世界には居るのだ。できればサジは投げないでもらえると有り難いのだけれど。


 9日に行われた法制審議会(法相の諮問機関)の部会で少年法の適用年齢引き下げの是非が議論され、少年(20歳未満の者)の中から18歳と19歳だけを別扱いにして厳罰化、検察官送致(逆送)後に公判請求(起訴)されれば実名報道を解禁するなどとした答申案を承認した、と産経新聞が報じている。

 実名報道が可能になる年齢の拡大がさぞ嬉しかったのだろう。そんな事件が起きない事を祈るような様子は、記事からはまったく読み取れなかった。実名報道それ自体には反対ではないし、少年法の厳罰化にも異存はない。そもそも本当に少年法が必要なのかどうかすらよくわからない。だが法律は本来市民国民のためのものであり、マスコミに飯の種を提供するために存在する訳ではなかろう。「実名報道可能! 報道の自由!」と喜ぶのは少々不謹慎な気がする。


 学校法人「幸福の科学学園」が2021年度の開学を目指して文部科学省に出していた大学の設置認可申請について、7月31日付で「審査の過程で本学が目指す教育の実現が難しくなると考えるに至った」として取り下げていたらしい。

 創価学会が大学やら高校やら持っているからな、幸福の科学としても同じ事がしたかったのだろうが、これについては文部科学省がちゃんと仕事をしたという事ではないか。設置される予定だった学部の名称が「人間幸福学部」「経営成功学部」「未来創造学部」「未来産業学部」だったそうだし、何と言うかアレだな、地方の偏差値の低い私立大学にありそうな名前だ。

 幸福の科学は外から見ている分には笑えるのだが、できれば近所で活動しないでいただきたい。まあこの点は創価学会も同様である。


 本日はこんなところで。昨日は300文字も書けてないかな。まあ体調がムチャクチャだったので仕方ない。今日は何とかなるだろうか。明日は病院に行って来ようかな。来週イロイロあるからな。とは言え天気が悪そうなので、身動き取れない可能性もあるのだが。はてさて。

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