第331話 2020/9/9 非科学的とか

 うごあああああっ。本日は12時半起き。もう半日終わっている。昨夜はどうしても眠れなくて眠れなくて腹が減ったので、午前1時過ぎにラーメン食ったのだが、アレがまずかったか。オマケに雨降って体が重いし、どうしようもないぞ、今日は。たぶん何もできない。やれやれである。


 かつて神は正義であった。中世ヨーロッパは神の正義を実現するという建前で十字軍を派遣し、無数の屍を重ねた。中国の皇帝は神に連なり、その皇帝の座を巡って戦乱が繰り返された。日本の神は幸いそこまで好戦的ではなかったが、戦国時代には神や仏の名前を書いた幟旗で戦をした武将もいる。いや、それよりも川や山の神の怒りを鎮めるためという建前で人柱や人身御供が繰り返されたのも、そこに一面の正義があるという社会的前提があったからではないか。

 神のためなら人の命を奪っても糾弾されず罰せられる事もない。そういう時代はどこの国にもあったのだろう。しかし時が流れ世が移り変わると、一部の国では神はそこまで重要な存在ではなくなった。神の代わりに人々の頭の中の玉座に座ったのが、みんな大好き「科学」である。

 宗教が幅を利かせていた頃は、「破門」が社会的制裁として機能していた。宗教コミュニティからの追放だ。これは社会的抹殺であり、全人格の否定でもあった。宗教が力を失うと、破門も効力を失った。しかし人々の頭の構造が変化した訳ではない。故に破門と似たような効力を持つ言葉を、科学の世界でも作り出そうとしてしまう。それが「非科学的」である。

「君の考え方は非科学的だ」などと言われてしまったら、科学を志す者には致命傷となる。虫けらのようなオカルト大好きおじさんでも言われて気分の良い言葉ではない。まして自分は迷信やオカルトを信奉する無知蒙昧な輩とは違うのだ、と自負する者にとって、これほど傷つく言葉もないだろう。だが人間というのは愚かしいものであるから、他人が傷つくと知ればその言葉を振り回したがる馬鹿もいるのだ。

 7日、乗客約120人を乗せた釧路空港発関空行きのピーチ・アビエーション機の中で、乗客の男がマスクをせずに座っていた。客室乗務員の再三の要請にも関わらずマスクの着用を拒否、やむを得ず男から距離を取るために他の乗客の座席を移動させて離陸したものの、飛行中も大声を出したり、他の乗客と口論したり、客室乗務員に威圧的な態度を取ったりした。このため機長の判断で新潟空港に臨時着陸、男を下ろしてから再び関空に向かった。約2時間15分遅れで到着したそうだ。

 男はマスクの着用を求める客室乗務員に対し、「非科学的だ」「要請するなら書面を出せ」(読売新聞)などと喚いた模様。非科学的だから何だと言うのだ。科学的な事は正義でも何でもない。いかに科学的に正しかろうと、他人に迷惑をかけて良い理由にはならない。

 阿久悠氏が作詞した手塚治虫氏原作のアニメ『ミクロイドS』の主題歌には、有名な一節がある。

「心を忘れた科学には幸せ求める夢がない」

 心を忘れた人間に科学的正当性を主張されても、科学関係の人が困惑するだけである。邪魔だし迷惑だし情けない。他人と接しようとなどせず、黙って部屋に閉じこもっていればいいのに。


 2月中旬、大阪市内の病院に入院していた生後2ヶ月の男の赤ちゃんが嘔吐した。吐瀉物からは誰の物か不明な血液が検出されたという。そして3月上旬にも同様の嘔吐が見られた。

 7日、大阪府警はこの件で23歳の母親を逮捕した。容疑を否認している模様だが、代理ミュンヒハウゼン症候群の可能性があるという。

 代理ミュンヒハウゼン症候群は精神疾患の一種である。もの凄くザックリと簡単に説明すると「悲劇の主人公である自分に注目してもらいたい病」と言える。自分の子供をわざと病気にしたり、介護している親にケガをさせたりと行動は様々であるが、とにかく他人の同情が欲しくてたまらない。大変な状況で一生懸命頑張っている自分を認めて欲しいがために、周囲の弱者を利用してしまうのだ。

 強い欲求に対して人間は弱いものである。「これ以上、これ以上金を注ぎ込んだら生活が困るのに!」と思いながらパチンコや競馬やソシャゲに金を使ってしまうのと本質的に差はない。行動の凶悪度に違いがあるだけだ。だからこの母親を許せというつもりは毛頭ないが、人間はいつそちら方向に転がるかわからないという事は理解しておく必要があるのではないか。


 短いが本日はこんなところで。ふんがー。思わずフランケンになってしまう午後。もうすぐ夕方だぞ。今日は諦めるしかないかな。明日に期待しよう。

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