第200話 2020/5/1 ため息とか

 本日は10時起き。いつもの事である、まあ仕方ないと諦めよう。それにしても今日から5月。暑い! さっき30分ほど不要不急の外出をしてきたのだが、完全に初夏の天候であった。とてもじゃないがジャージなど着ていられない。もう家の中でも外でも半袖姿で行くしかない。ここから半年近く半袖生活が続く訳だ。嬉しいやらダルいやら。

 さて今回は記念すべき200回目。もちろん例によって例の如く、何の企画もないのだが。


 ため息をつくと幸せが逃げる、とは昔から言うものの、出典は明らかではない。誰かの言葉なのか、何かの作品に由来するのか、それともただの言い伝えなのか。とは言え、日本語の「ため息」とか「幸せ」とかいう言葉は、比較的最近のものに思える。特に幸せなどというのは、昔の日本なら「福」と言い表したろう。「笑う門には福来たる」と言うが、「ため息をつけば福が去る」とはあまり聞かない言い回しである。そう考えると、明治以後に海外から入ってきた言葉ではないか。

 まあ何にせよ、他人がため息をつく姿というのは楽しげなものではない。周囲にマイナスなイメージを与える行為であるから、慎むべきと言いたくなる気持ちもわかる。幸せが逃げるとの言い方は、比較的角を立てない、穏便な言葉の選択ではないかと思う。ただそれがわかっていてもなお、人間はため息をついてしまうものなのだ。

 虫けらなど毎日文章を書きながら、何度ため息をつく事か。心理的な問題がある訳ではなく、いわば深呼吸としてため息をついている。それでいちいち幸せが逃げていたら、いまごろとんでもない不幸のどん底に居るだろう。もちろん幸福の絶頂に居る訳ではないが、とりあえず生きてはいるし、文句がない訳でもないものの、人の住むべき建物の中で暮らせている。比較的幸せなほうではないかと思う。

 こんな虫けら風情にこれほどの生活が許されている事について、この国には感謝してもしきれない。無論、文句が何一つない訳ではないが、それはそれ、これはこれである。この国の国民でなければ、虫けらはとっくに死んでいたろう。有り難い話だと心底思うところ。

 閑話休題。事ほど左様にあまり他人からは好まれないとわかってはいても、誰でもついついついてしまうのがため息。国を動かすような人物でも、その点はまったく同じである。

 30日、ロシアのミハイル・ミシュスチン首相は、プーチン大統領とのビデオ会議の席上、こう話した。

「つい先ほど、私が受けたコロナウイルス検査で陽性の結果が出たことを知った」(AFP)

 首相は今年の1月に就任して以来、ロシア国内の新型コロナウイルス感染拡大防止対策を陣頭指揮していたものの、まあいわゆるミイラ取りがミイラになってしまった訳だ。このビデオ会議はメディアに公開されていたのだが、これを聞いたプーチン大統領は大きなため息をつき、

「誰にでも起こりうることだ。これまでの仕事に感謝する」(NHK)

 と述べた。このときの映像を見たが、まあ本当にかなり大量の幸せが逃げ出したような大きなため息だった。よほどショックだったのではないか。

 ミシュスチン氏の首相就任は、プーチン大統領が盟友と言われたメドベージェフ氏を首相の座から事実上引きずり下ろす形で据えた、肝いりの人事だった。この先もロシアをプーチン帝国として盤石のものとするためには、欠かせないピースだったはずだ。それが疫病で戦線離脱するとは、計算が大きく狂ったはずである。その心中やいかばかりか。

 ミシュスチン首相はアンドレイ・ベロウソフ第1副首相を首相代行として推薦し、プーチン大統領はただちにこれを承認した。それは当たり前の人事であったろう。だがもしかしたらこの事が、プーチン大統領の喉に刺さる小骨となるかも知れない。首相代行が有能であっても無能であっても、ミシュスチン氏ほどにはプーチン大統領の思うように動いてはくれないだろうから。この先のロシアの行く末が注目されるところである。


 ロシア国内の新型コロナウイルス感染者は10万人を超えたそうだが、その数100万人で世界のトップを走るのはアメリカだ。中でも感染者や死亡者がもっとも集中しているのは、言わずと知れたニューヨーク市である。

 29日、ニューヨーク市ブルックリンの警察は、葬儀場の前に止まっている4台のトラックから液体が漏れ異臭がするとの通報により、トラックの荷台を捜索した。この時点でかなり嫌な予感のする方もおられるだろうが、まさにその通り。トラックの荷台の中からは、60人分の腐敗した遺体が見つかったそうだ。

 このトラックは葬儀場の借り受けた物であり、葬儀場の経営者はトラックの荷台に遺体を詰め込んだ事は認めている。何故そんな事になったのかと言えば、新型コロナの蔓延で死者の数が急増し、葬儀場の遺体安置所が満杯となったからだ。溢れた遺体を置く場所がなくなってしまったので、急遽トラックをレンタルしたのだという。ただ借りたトラックに冷蔵機能がなかったために、中で遺体が腐敗した模様。

 何というか、悲惨の一言である。現時点で日本はこんな状況に陥っていないが、先の事はわからない。何とかこのまま収束してもらえないものかと祈るばかり。


 その日本では昨日30日、緊急事態宣言の延長方針を、首相が自民党の幹事長に伝達した。まあ仕方ないわな。虫けら個人として、この状況に疲れているか否かで言えば、間違いなく疲れ果てているが、それでもアメリカのような状況にはなって欲しくない。首相の方針は支持する。それは好き嫌いとは別の話である。


 本日5月1日から、一部自治体では10万円の給付金の申請受付が始まっている。虫けらの暮らす市でも受付中で、マイナンバーを使って申請すれば15日くらいから支給が開始となるらしい。自治体のウェブサイトに書いてあるはずなので、一度ご確認される事をお勧めする。


 本日はこんなところで。うーむ、暑い。虫けら的にはまだ冷房は必要ないとは思うが、これ地域とか部屋の日当たりによっては、熱中症になる人も出て来るのではないか。何か気候の変化が極端というか、雑だな。対応している神様の性格が反映しているのかも知れない。

 昨日は800字ほど書けた。何も書けないよりは随分マシである。何とか今日も頑張るか。

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