第180話 2020/4/11 出羽守とか

 本日は10時起き。昨夜は午前2時くらいまで記憶があるからな。まあ仕方ない。夜中に録画してあった『刑事コロンボ 死者の身代金』を見た。ツッコミどころが多い作品だった。あまり詳しい事は書かないが、脅迫状を作るときに手袋をしないのはどうなんだ。指紋を調べられたら一発で終わりではないか。最初は伏線かと思っていたのだが、最後まで触れられず仕舞いで、雑だなあ、と思った次第。まあ刑事コロンボシリーズは数が多いからな、こういうのもある。他山の石としよう。


 奥州出羽は現在の秋田県と山形県。江戸時代の石高は32万石ほどあったらしい。その出羽国を所領したのが出羽守でわのかみ(追記:後で調べたら、出羽一国を所領する国持大名は居なかった模様)。しかし現代、出羽守と言えば大名の事ではない。「アメリカでは~」「ドイツでは~」などと、何かを批判するときにいちいち余所の例を引き合いに出す者を揶揄して出羽守と呼ぶ。鍋の食べ方にうるさい『鍋奉行』とか、他人の服装にいちいちケチをつける『ファッション警察』などと同じ系統の言葉と言える。

 虫けらも往々にして出羽守になりがちなのだが、それは一重ひとえに楽だからだ。簡単なのである。何せ明確な前例があるのだからな。その前例の良い部分を切り出して「こちらの方が優れている」と言うのは誰にでもできる。そこに至るまでの経緯や、それによって生じた問題は考慮しない。そういう意味では非常に無責任とも言える。

 ただ無責任な発言であっても、そこには「納得できない。より良い解決策を求める」というメッセージが込められている。出羽守は何も「俺の主張が絶対に正しい。この通りにやれ」と言いたい訳ではないのだ。少しでもいまより改善して欲しいという切なる願いがその背景に存在する。「○○の言う事は、○○が言ってる時点ですべて否定する」みたいな無茶苦茶な批判も世の中には沢山ある。それを考えれば、実例を挙げて批判をする出羽守は、比較的まともな批判者であるようにも思う。

 さて、昨今隣国イタリアの陰に隠れてあまり注目を浴びないフランスだが、この国でも新型コロナウイルスは猛威を振るっている。9日、病院と老人ホームでの累計死者数が12210人に達したというから、当然の事ながら、それ以外の死者を含めるとさらに大きな数字になるはずだ。しかし、悪いニュースばかりではない。過去24時間に病院で死亡した人は412人と、前日の541人から減少。集中治療室(ICU)に入っている患者の数は82人減って7066人となったそうだ。

 保健当局トップは記者会見において、全土で取られている封鎖措置の順守を市民に呼び掛けた上で、こう述べたという。

「これらの措置により、われわれは新型コロナ感染症の流行にブレーキをかけつつある」

「(流行状況のグラフが)平たん域に達したという希望が持てたとしても、それは非常に高い平たん域であり、引き続き細心の注意を払う必要がある」(以上AFP)

 まだ予断を許さない状況ではあるが、ピークは越えつつあるのではないか、といったところか。フランスで新型コロナウイルスの感染拡大が問題になったのは日本より後で、あっという間に日本を置き去りにしてしまったが、もしかしたらこの災禍から脱出するのも一足先かも知れない。

「フランスではこのようにして危機を脱した。日本も見習うべきである」

 いつかそんな出羽守が沢山出て来る事を期待している。

 なおフランスの医師会では、

「人口6700万人のうち160万人以上が既に感染している恐れがある」(AFP)

 との見方を示しているとのこと。こういう数字は日本医師会でも出すべきだと思うのだがな。


 数字と言えば、埼玉県さいたま市のPCR検査数は2ヶ月で171件だったのだそうな。10日、これを問われた保健所長曰く、

「病院があふれるのが嫌で(検査対象の選定を)厳しめにやっていた」

「検査を広げるだけでは、必要がないのに入院せざるを得ない人を増やすことになる」

 という事らしい。まあ確かに検査を広げる「だけ」では話にならない。より多くの検査を実施できる態勢作りも必要だし、患者を受け入れる施設も用意しなくてはならないはずだ。さいたま市ではその辺のところ、どうなっていたのだろうか。まさか単に検査数を少なくしていただけなのか。

 検査をしなくても、新型コロナウイルスに感染した人間が増えれば肺炎を起こす人数も比例して増え、医療機関は圧迫される。検査数を減らしたところで実際の患者の数が減る訳ではないから、医療崩壊は起こり得る。それは当たり前の話である。

 こうなるから、上にも書いたように、いま現時点で日本国内にどれくらいの患者数が存在しているのかという推定値が必要になってくるのだ。もし埼玉県が保健所から上がって来る感染者数だけを信じて対策を取っていたとしたら、この先ある日突然に医療崩壊が起こったとき、対応のしようがないだろう。そうなれば大パニックが発生する。その責任を保健所長に取れと言っても無理な話である。

 先手先手の対策を打つためには、まず数字が必要である。それを政府と国民が共有してこそ、国難に立ち向かえるのではないかと思うところ。


 アラビア半島南端の国イエメンでは内戦が続いているが、この国もまた新型コロナウイルスとは無縁ではいられなかった。サウジアラビア主導の連合軍に支持を受ける暫定政府が設置した新型ウイルス緊急対策委員会によれば、ハドラマウト県で国内初となる感染者が確認されたという。

 感染者が暫定政府側の人間なのか、対抗するフーシ派側の人間なのか、あるいはただの一般市民なのかはAFPの記事から読み取れない。まあ、フーシ派はないかな。状況が状況だし、もし暫定政権側の人間がフーシ派の兵隊の中に新型コロナ感染者を見つけても、撃ち殺して終わりにするだろうから。

 リビアなどは新型コロナの感染拡大で内戦が停止している。果たしてイエメンで同様の展開となるだろうか。とりあえず暫定政権側は感染拡大を防ぐために2週間の停戦を発表したが、フーシ派が応じるかは不明である。何とも複雑な心境になる話。


 映画監督大林宣彦氏の作品と言えば『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』の尾道三部作が有名であるが、虫けらがこの中で一番好きなのは、さびしんぼうである。一番マイナーだから、というへそ曲がりな理由ではない。切ない、という思いがここまで映像に込められた作品はそうないのではないか。

 昨日夜、大林宣彦氏が亡くなった。82歳、死因は肺ガンだという。ご家族にはお悔やみを申し上げる。また少し世の中が寂しくなるな。どこかのテレビ局で追悼として、さびしんぼうを放映してくれないだろうか。また観たくなってしまった。


 本日はこんなところで。鳥とカメに食わせる野菜がもうなくなった。マスクつけて買い物に行ってくるか。面倒臭いが仕方ない。

 昨日は多少書けた。何とか今日も頑張りたいところ。しかし1日1000文字以下の日がずっと続いている。どうにもストレスの溜まる事。

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