第150話 2020/3/12 手前味噌とか

 本日も11時起き。それでもツラかった。あと5、6時間眠りたい気分だった。もうこのまま意識を失って死んでも良いんじゃないかというくらいに。はあ、失敗した。自分の悪い癖をすっかり忘れていた。昨日は結局、東日本大震災関連の記事やまとめばかり眺めて1日が終わってしまい、ほとんど何も書けなかった。何故自分のメンタルの脆弱さを忘れるかね。虫けら如きの罪悪感になど、何の意味もないというのに。まったく。


 もうすでに忘れられているかも知れないが、和食は世界遺産に登録されている。日本に暮らしていると、正直なところ和食がそんなに凄いか? という気にもなる――別に洋食の凄さを感じている訳でもない。腹が膨れれば基本OKだからな――部分はあるものの、西欧を中心とした世界から見れば独特でユニークなのだろう。

 実際、和食には西洋料理のようなオードブルだメインディッシュだといった面倒臭い概念がない……などと言い切ってしまうと「懐石料理ガーッ!」と怒られたりするのだろうな。しかし怒られるのを承知で書けば、懐石料理も和食ではあるのだが、あくまでも和食の一分派に過ぎないのではないか。

 和食を「日本で一般的に食べられている食事」と解釈するなら、ちゃんとした懐石料理はある意味異端である。コース料理的考え方は和食に一般的なものとは言えない。やはり和食は目の前にずらっと料理を並べてから(一汁一菜の場合もあるにせよ)いただきまーす! であろう。

 そんな西洋料理とは一線を画す和食であるが、それでもスープ料理が存在する点は共通とも言える。和食を代表するスープと言えば味噌汁である。である、と断言してしまったが、ならば味噌汁とは何ぞやと問われると返事に窮してしまう。無論、味噌を溶いた汁という回答は間違いではない。しかしそれで味噌汁という料理の全容を示しているかと言えば否であろう。出汁の入っていない味噌汁はいまどき考えづらいし、用いる具材によって合う味噌の種類も違ってくる。

 そもそも味噌という名称でひとくくりにしているが、原料も製法も多種多様である。大豆と麹と塩を使う点は共通であるものの、それ以外は地方によって様々な工夫が凝らされている。しかもかつて味噌は家で手作りするのが珍しくなかっので、たとえば江戸や大坂のような都会では、日本各地から味噌が集まっていた事だろう。そこで自家製味噌を作っていた家は、お国自慢を兼ねて味噌を近隣に分けたりしていたに違いない。「うちの味噌はこんなに美味しいよ」と自画自賛しながら。

 これが『手前味噌』という言葉の始まりである。というのは嘘だが(実際のところ詳しい語源はわからないようだ)まあ大方こんな感じだったのだろう。それくらい味噌は日本人と、つまり和食と密接な関係がある。何せ1300年前の大宝律令に味噌という言葉が出て来るそうだから。なので味噌汁が和食を代表するスープ料理であるというのは、間違いでも誇張でもない気がする。

 さて話はまったくガラッと変わるが、11日にロシアの上下両院は、憲法改正案をそれぞれ賛成多数で可決した。この中に、「これまでの大統領任期を無効化する」案があった。これを提出したのはワレンチナ・テレシコワ議員。聞き覚えのある方もおられるだろうか。世界初の女性宇宙飛行士である。彼女の案では、憲法改正に合わせて大統領任期が「リセット」される。プーチン大統領はもう通算で16年ほど大統領をやっているが、それがゼロ扱いになるのだ。

 ロシアの大統領任期は現在6年。連続2期で12年が一応大統領をやれる限界という規則になっている。しかしプーチン氏がやったように、間に他の人間が大統領をやる期間を挟む、つまり2期務めた後に首相に就任し、その後改めて大統領に就任する、というやり方なら何度でも大統領になれるのだが、プーチン氏はこれを通算2期12年でおしまい、という形に改正しようとしている。

 一見すると自分の作った規則で自分を縛っているかのようにも思える。しかしその代わりに過去の任期をリセットし、ここから12年間支配を継続しようというのである。もちろんこの案を提出したのはテレシコワ議員だが、プーチン大統領のあずかり知らぬ事な訳がない。プーチン氏が「出せ」と命じたから提出したと考えた方が無理がないだろう。

 プーチン氏はかねがね自分の任期について「憲法の規定に違反するつもりはない」と述べていたが、憲法そのものを自分の都合に合わせて改変するつもりなのだ。この改正が行われるかどうかは憲法裁判所の判断を仰がねばならない。しかしおそらく憲法裁判所がプーチン氏に不利な判断を下す事はあるまい。それをわかっているからであろう、プーチン氏は10日下院の演説で、こう述べている。

「このような改正が(憲法に)反しないとの判断を憲法裁判所が下す場合、(中略)これが可能だ」(AFP)

 正しくはこういうのは「手前味噌」と言わんのだろうけれど、限りなくそれに近いものを感じる。ロシアのメディアからは「君主制に近くなる」(産経新聞)との声が聞こえているのだそうな。いや、近くなるどころか、外から見ればすでに皇帝ですけどね。

 4月22日に改憲の賛否を問う国民投票が実施され、過半数の支持が得られれば改憲が行われる。たぶん過半数の支持は得られるのだろう。どんな手を使うのかは知らないが、それはほぼ決まった未来である。

 プーチン氏は下院の演説で、次のようにも述べたらしい。

「強力な大統領による(権力の)垂直構造が絶対に必要だ」(産経新聞)

 言いたい事はわからんでもないが、ロシアは大統領が強力すぎて他が霞んでしまっている。ロシアを味噌汁に例えるなら、プーチン大統領という味噌が入っているだけで、ほとんど具材が入っていない。ラブロフ外相がチョロッと見えているだけだ。全然美味そうに感じない。これで良いのだろうか。将来大統領の任期が終わりそうになったらまた憲法を改正するつもりなのかも知れないが、それは時限爆弾のタイマーを巻き戻しているに過ぎない。いずれ限界は来る。そのとき何が起こるのか、あんまり想像したくない世界である。


 新型コロナウイルスの検査について、虫けらは可能な範囲で増やすべきだと考える方である。この先いずれかの段階で、国内の感染状況の全容を把握せねばならなくなるだろう。統計学はよくわからないが、サンプル数は少ないより多い方が実態に即した結果が出るのではないか。

 検査結果が半分くらいしか当たらないとは言え、半分くらいは当たるのであれば、それを根拠に特定の地域を封鎖するような対処も可能になってくる。現段階の日本でそれは現実的ではないかも知れない。しかしこの先何かの切っ掛けで感染が爆発的に拡大しないとも限らない。そのとき政府が動くためには、数字の裏付けが必要になるだろう。

 無論、新型コロナウイルスを撲滅する事を諦めるという方法もある。感染者ゼロなどを目指さずに、インフルエンザの如く毎シーズン患者が発生して死人も出るけど、社会生活はストップさせないという対処が必ずしも間違っているとは思わない。それを目指すのであれば、現状の検査態勢で何の問題もないのではないか。

 つまり、要は政府がどんな結末を望んでいるのか、それにかかっているのだと思う。いまは未来像を描き、決断することが必要なのではないか。一度決断されれば、この国はまるごとその方向に全力で進むことだろう。良きにつけ悪しきにつけ、日本人はそういうものだと思う。だが、現段階ではまだ政府が決断していない。国民に未来像も目標地点も見せていない。だから検査を増やすか増やさないか、そんなレベルで言い争いが起こったりするのだ。

 もしかして、そんな言い争いに飽きたのだろうか、SoftBankの孫正義氏が、昨日ドデカい一石を投じた。簡易PCR検査を100万人に無償で提供するとツイートしたのである。ところがこれが猛反発を喰らい、孫氏のアカウントには批判が殺到した。結果、孫氏はこれを撤回するしかなかった。

 まあ、そらそうだろう。検査数だけを増やしたところで何にもならないからな。増やしてどうするかまでを考えなければ、ただ無意味に医療関係者の負担が増大するだけである。機を見るに敏な人なので、商売になりそうな匂いを嗅ぎつけたのかも知れないが、ちょっと迂闊だったように思うところ。


 高野連は11日、今年の選抜高校野球大会の中止を決定した。新型コロナウイルスの感染拡大防止のためというのがその理由である。また、世界保健機関(WHO)は11日、新型コロナウイルスは世界的な大流行、いわゆるパンデミックの状態にあると表明した。俳優のトム・ハンクス氏夫妻がオーストラリアで新型コロナウイルスに感染したと11日に公表したし、12日、アメリカはイギリスを除くヨーロッパからの入国を13日から30日間全面禁止すると発表した。

 新型コロナで世界中が大わらわである。虫けらは頭を低くしているので、とっとと通り過ぎてくれないものだろうか。厄介な厄介な。


 本日はこんなところで。ああ、頭を切り替えねば。とにかく書かなければ何も始まらないのだ。1行でも1文字でも書かないと。頑張ろう。何とか頑張ろう。

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