第101話 2020/1/23 猫も杓子もとか

 本日は8時半起きか。悪くない。しかし雨。ダルい。体が重い。とは言うものの、寒い間は晴れてたって体は重いのだ。それほどたいした問題ではないとも言える。まあ、所詮は気のものだ。何とでもなると思えば何とでもなるさ。


 江戸時代に出た『咄本はなしぼん・一休ばなし』には、一休宗純の作として、こんな歌があるという。

「生れては死ぬるなりけりをしなべてしゃかもだるまもねこもしゃくしも」

 釈迦であろうと達磨であろうと、誰も彼も生まれて死ぬのは変わらないという意味であり、要は身分や出自などによる貴賤など無意味であるという事なのだろう。ただし、本当に一休さんがこんな歌を詠んだかどうかは不明である。咄本とは歴史書ではなく、ただの笑い話や小噺を集めた本だからな、噂話や創作が多分に含まれている。「とんち坊主の一休さん」の伝説を世に広めた意味合いの方が大きい。

 ただし、この歌には単なる伝説や創作以上の価値がある。この咄本が書かれた17世紀後半には、「猫も杓子も」という言葉がすでに使われていたという証拠になるのだ。

 精選版日本国語大辞典によれば、「猫も杓子も」の語源には諸説あるとのこと。

1.「禰子ねこ釈氏しゃくしも(神主も僧侶も)」の意の変化したものとする説。これはあの滝沢馬琴が提唱しているらしい。

2.「女子めこ弱子じゃくしも(女も子どもも)」の意とする説。これは落語「横丁の隠居」に出て来るという。

3.杓子とはシャモジやお玉の事だが、これは家事をする主婦を指す意味があり、家内総出という事ではないか、とする説もあるそうだ。

 事ほど左様に語源には諸説ある「猫も杓子も」であるが、「誰も彼も皆」という意味は昔から変わらない。

 さて、いまネットを徘徊すると、猫も杓子も『新型ウイルス肺炎』の話題で持ちきりである。なんだかなあ、と思う。もちろん伝染病に注意はすべきである。注意しすぎるくらいに注意して、結果的に『大山鳴動鼠一匹』であったとしても、何ら問題はない。ただな。

「政府は何をしているんだ! 早く対策を取らないと!」

「中国からの航空便をすべて止めろ!」

 みたいな、ヒステリックな反応はどうよと思うのだ。

 たとえばいま中国当局が出している数字が、患者571人、死者17人だ。しかし中国当局の数字は信用できないから、仮に本当の数が10倍だったとしよう。それでも患者5710人、死者170人である。中国の人口が14億人だそうだから、ほとんど誤差のレベルと言って良い。

 ましてその5000人が、明日にでもまとめて日本にやって来る訳ではない。やれ春節だ何だと言っても、日本に来る中国人など全体のごく一部である。もちろん、その中には新型コロナウイルスを体の内外にくっつけた者もいるだろう。だが同時にインフルエンザのウイルスやコレラ菌、ペスト菌などを持っている者だっているはずだ。けれどそれはそもそも中国人に限った話でもない。

「新型ウイルスは従来型の病気と違って治療法がないんだぞ!」

 みたいな声もあろうかとは思うが、その従来型の病気の代表であるインフルエンザで死ぬ人間がどれだけいるか。日本だけで、年間1500人レベルと言われている。毎月平均で100人以上死んでいる。なのにインフルエンザで騒がないのは何故だ。

 あるいは、インフルエンザを初めとする従来型のウイルスによる肺炎や誤嚥性肺炎などを合計した『肺炎』による死者数は、日本で年間12万人ほどいるらしい。月に1万人が肺炎で死ぬのだ。新型コロナウイルスが日本に入ってきて、果たしてこの数字が倍になるだろうか。

 繰り返しになるが、新しい伝染病に対して注意はすべきだと思う。思うが、無駄に怖がって、起こす必要のないパニックを起こしても仕方あるまい。メディアは猫も杓子も不安を煽るのではなく、冷静な報道をしていただきたいものである。


「令和の○○」という言い方が昭和っぽいと思うのは虫けらだけか。

 東京都の新宿歌舞伎町でホストの男性の家に忍び込み、現金などを盗んだとして25歳と22歳の女2人が警視庁に逮捕された。被害額は3000万円に上ると見られている。捜査員は防犯カメラに映った女の映像から「令和のキャッツ・アイ」と呼んでいたらしい。もちろんレオタードは着ていなかった。

 まあ、それだけ作品の知名度が高いという事ではあるのだが、原作者にとっては迷惑千万な話とも言える。とは言え、これは創作をする者としては痛し痒しか。作品が売れれば、こういう話はどうしても出て来るのだろう。ちょっと同情する。


 いまフランスでは年金改革を巡り、様々な業種の団体がいろんな場所でストライキを行っているが、21日には電力会社の労働者がストライキを起こし、パリの南郊一帯が2時間に渡って停電したという。

 これは駄目だろう。電気は人の命にかかわる。病人の首筋にナイフをあてて人質に取っているのと同じだ。ライフラインの運営保守に関わる従事者にもストライキの権利はあるが、ライフラインを止めて良いという理屈にはならないはずだ。

 労働総同盟電力部門の代表は「停電とその結果については、経営陣からのあらゆる苦情を含め、われわれが責任を負う」と述べ、原子力発電所での出力制御を開始する可能性も警告したとAFPは報じているが、責任など取りようがあるまい。守られるべき労働者の権利があるとしても、そこから逸脱し過ぎではないか。

 これを切っ掛けに労働者のストライキへの国民の視線が厳しくなれば、いずれ自分の首を絞める事になる。何とも馬鹿な事をしたものである。


 車の自賠責保険の保険料が、4月から平均で16.4%引き下げられるという。うちの車の車検が10月だからな。前回よりちょっと安くなるのだろうか。て言うか、日本は車検とかガソリン代とか、維持費で金を取り過ぎではないかと思う。そらみんな車を買わなくなるはずである。内需を拡大させたければ、もうちょっとその辺を整理してはどうかと考える次第。


 本日はこんなところで。ネタらしいネタがないのだ。

 昨日も2500文字ほど書けた。順調順調。まあ、そのうちまた書けなくなるのだ、とにかく書けるうちに書いておこうと思う。

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