第36話 2019/11/19 二項対立とか

 本日は7時半起き。こんなものだよなあ、普通は。いつも寝過ぎなのだ。この時間なら、ちゃんとニュースサイトを巡ってネタを集めて、文章を考える余裕がある。毎日こうなら良いのだが、なかなか上手くは行かないものだ。


 人間は二項対立が大好きだ。神と悪魔、善と悪、老人と若者、男と女、白人と有色人種、東洋と西洋、先進国と発展途上国などなど、いろんな物を対立させることで自らのアイデンティティを保っている。

 現実は綺麗に二つの要素にキッパリ別れる事など例外的にまれであり、たいていはグラデーションになっているのだが、それを知りながらあえて極端な二元論を展開する。これは非情にキャッチーでわかりやすい。現実を適切に反映しているかどうかなど、どうでも良いのだろう。

 そんなどうでもいい二項対立の代表格としてあるのが、右翼と左翼という考え方だ。ネット上では毎日あちこちで右翼認定、そこかしこで左翼認定がされ、他人の発言をあげつらっている。

 だが普通に考えればわかるが、頭の中のあらゆる思考が全部右に寄っている人間など、滅多に居ない。左もまた同様である。自分の置かれた立場や状況によって、そしてその対象によって右寄りに判断したり左寄りに考えたりするのが、おそらく大多数の人間なのではないか。

 たとえば右を自称する人々のかなりの部分からすれば、安倍首相を嫌っている虫けらは左寄りに見えるだろう。一方左寄りを自認する方々から見れば、憲法改正を望む虫けらは右寄りとしか思えまい。しかし虫けらは自己矛盾に悩んでいる訳ではないし、精神が分裂している訳でも二重人格でもない。これはこれで自然な一個の存在なのだ。世の中が右と左に別れると思っているヤツが現実を見ていないだけである。

 さて、そんな右と左の二項対立であるが、では右は右で、左は左で一塊の一枚岩なのかというと、さにあらず。それぞれの中にまた二項対立を抱えている。つまり右派と極右、左派と極左という対立を。

 BBCの報道によれば、アメリカの前大統領であるバラク・オバマ氏が15日、民主党の大統領候補を争っている立候補者について、現実に根づいていない政策を追求している者がいる、と苦言を呈したのだそうな。普通のアメリカ人は現在の制度を完全に壊す事は望んでいない、この国はまだ、革命よりも改善を求めている、とも述べた模様。

 オバマ氏はまあいわゆる典型的なリベラル左派と呼ばれる人物である訳だが、その彼の眼から見ても、一部の立候補者――具体的にはエリザベス・ウォーレン氏とバーニー・サンダース氏であろう――の主張は左側に極端に偏りすぎていると映っているようだ。

 もし彼らが正式に民主党の大統領候補に指名された場合、右寄りはもちろん、中道の有権者からの支持までも失い、現職であるトランプ氏に有利な状況となる可能性がある。それを恐れての今回の発言と思われる。

 虫けらはオバマ氏をあまり評価していないのだが、この発言に関しては当然と思う。選挙は勝たなければ意味がない。いかに高邁な理想を訴えかけようと、負ければ何も言わなかったのと同じだからだ。選挙の前にはより現実的な、一票でも多く得票できる理念を語るべきであり、それ以外は選挙に勝ってから透明性を守って実行するのが常道ではないか。

 まあ、そんな古い考えを拒絶したい人々がウォーレン氏やサンダース氏を支持しているのかも知れない。だが選挙は勝負であり、勝負は勝利者にしか栄誉が与えられない事実は不変である。高潔な負け戦に価値はないのだ。虫けらはトランプ大統領が嫌いであるので、何とか他の優秀な候補が出て来てくれることを願っているのだが、現状では難しいかも知れない。何ともはや。


 一方日本の政界では、今日19日安倍首相の在任期間が第一次政権との合計で2886日となり、歴代最長の桂太郎元総理大臣と並んだのだそうだ。どうでもいい。まったくどうでもいい。その日数に比例して日本人が豊かになったというのなら喜ばしい事だが、結果が伴っていないのならばまったく無意味である。こんな事を嬉々として報じるメディアの無邪気さに暗澹たる気分になる。


 首相と言えば、鳩山由紀夫元首相が18日Twitterに、「沢尻エリカさんが麻薬で逮捕されたが、みなさんが指摘するように、政府がスキャンダルを犯したとき、それ以上に国民が関心を示すスキャンダルで政府のスキャンダルを覆い隠すのが目的である」と書き込んだ。つまり、自分はそうしていたという自白である。

 さらに、「私も桜を見る会を主催したが、前年より招待客を減らしている。安倍首相は私物化し過ぎているのは明白である」とも書いている。この人は五十歩百歩の故事を知らんのだろうか。

 利口な無能というヤツは本当に厄介である。こんなのが首相になれる国なのだ。日本人はもうちょっと政治に関心を持つべきだと思うところ。


 ブルームバーグがまとめた世界の長者番付によると、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が、資産総額で1100億ドル(約12兆円)なり、1087億ドル(約11兆8000億円)のAmazonのCEOジェフ・ベゾス氏をかわして1位に返り咲いたのだそうだ。うん、数字がデカ過ぎてピンと来ない。こんなの国家予算規模ではないか。これが個人の懐に集まっているというのは、羨ましいやら妬ましいやら。

 なお、先般ビル・ゲイツ氏は富裕層課税に言及し、現時点で100億ドルほど納税しているが、それが200億ドルに増えても問題はないと述べた、とCNNが伝えている。そりゃいまだにハンバーガー食ってるアンタには問題ないだろうよ、とも思うが、金持ちの余裕というのは何とも凄まじいと感心する次第。


 今日はこんなところか。まあまあ書けたな。

『魔獣奉賛士』は毎日1500文字くらい書いている。1話4000文字ほどなので、更新は3日に1回にしようかとも思うのだが、当分は2日に1回で行くか。調子が良ければ2000文字超えるのだけれどなあ。

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