第3話「ジョンの計画」
「ピンポーン」
「ワンワン!」
失敬。「尻尾グルグル」をやめてまで吠えてしまった。宅配便が届いたようだ。インターホンが鳴ると俺は防衛本能で、無意識に吠えてしまう。これは自分では制御することができないのが難点だ。
お父さんが休みの日に、このように吠えてしまうと、俺はお父さんに怒られてしまう。お父さんにはとても感謝をしているから、なるべくならストレスを感じてもらいたくはないのだけれどもね。なにせお父さんが稼いできた給料があるからこそ、俺はドッグフードを毎日、安定的に食べられるのだから。
でもお父さんは、家の神棚に飾ってある仏壇の特定の場所に へそくりを隠していて、俺はそれをどうにかお母さんに見つけさせようと企んでいるのだ。
なぜかって?
それはお母さんは、まとまったお金が入ると必ず俺にビーフジャーキーを買って食べさせてくれるからだ。この「へそくり暴露計画」は現在進行形で、その策を練っているところなのだよ。お父さんにはとても感謝をしているが、ビーフジャーキーの美味さときたら、その恩謝も上回ってしまう。ビーフジャーキーとはそれほどまでに罪なやつなのだ。まるでドストエフスキー著作「罪と罰」に登場する「ラスコーリニコフ」が犯した罪の、罪悪感に苛まれているのと同じ気分であるよ。ソーニャという「お母さん」がビーフジャーキーで俺を癒してくれる構図までそっくりではないか。
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