JR上野駅公園口

【JR上野駅公園口/柳 美里】


『波音が高くなった。

 暗闇の中に一人で立っていた。

 光は照らすのではない。

  照らすものを見つけるだけだ。

 そして、自分が光に見つけられることはない。

  ずっと暗闇のままだ――。』


死んでなお、終わることのない物語の中にいる主人公。

唯一生者の中に残してきた、

彼にとっての光だった娘と孫さえも、

光から見放され暗闇に沈んでいく。

じわじわと迫ってくる暗闇を否応なしに意識させられる物語。


死にたい訳ではなく

生きていることに耐えられない、ということが

胸にくる。

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