よもやま話(3):独自研究「説明」と「描写」の違いを解明せよ


 今回は表題の通りです。


「小説は説明するのでなく描写をせよ」


 と、偉い人によく言われます。


 偉い人って誰? とは聞かないでくださいね。



 最初に結論を言うと説明と描写を厳密に分ける境界線はありません。



 ここから先は私の独自研究になります。参考程度に考えてください。


「描写」や「説明」の文字の意味をそのままくみ取ってみます。


・描写とは「描き写すこと」

・説明とは「説き明らかにすること」


 になります。もう一段階分解してみましょう。


・描くとは「様子を映し出すこと」

・写すとは「姿形が現れるようにすること」

・説くとは「物事の筋道を述べること」

・明らかにするとは「はっきりさせること」


 これらを再合成すると、


・描写とは「様子を映し出し、姿形が現れるようにすること」

・説明とは「物事の道筋を述べ、はっきりさせること」


 になります。


「様子」とは物質の表面的視覚情報。

「物事」とは物質の内部や表面的視覚情報や事柄。


 ここまで分解すると、描写も説明も、ともに表面的視覚情報が含まれているということが分かります。


 つまり、領域的に被っているんですね。だから厳密な線引きなどできないんです。


 かみ砕いていうと、


・描写とは脳の視覚野に言葉で訴えて理解させるもの。

・説明とは脳の視覚野や知識に言葉で訴えて理解させるもの。


 ということになります。


 じゃぁ心理描写は?


 描写という言葉が適当ではないんですね。心理表現と理解したほうが分かりやすい。混乱するとアレなので、以後の話では描写として扱いますがね。



 以上を踏まえ、私は偉い人のありがたいお言葉をこう理解しています。


「小説にセリフと描写以外使うんじゃねぇよ、このド素人が」


 言い換えれば、


「小説書くなら描写とセリフだけで構成しろやゴルァ」


 これなら誰にでも理解できますよね。


「偉い人おっしゃるところの説明」はすべてセリフですませ、地の文は描写だけにすれば、偉い評論家にもバカにされずに済みます。


 セリフだけで説明できないような場合はどうすればいいのでしょう?


 説明しなければいいんです。


 説明しなくても成立する物語にすれば、偉い人に怒られずに済みます。


 私の場合は、偉い人の難しいお言葉を必死に独自研究して、今述べたように納得できる答えを導き出すのに数年かかりました。


 それは置いといてです。偉い人がいっぱいいる出版社の小説賞を取りたければ、作品を自然なセリフ回しと美しい描写だけで構成し、面白い物語にすればかなり有利になるということです。目に留まるのか? 好みに合うのか? という運も絡みますからね。


 今回はここまで。

















 

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