隣人の美少女は、実はポンコツだった?!

こめっこぱん

プロローグ

引っ越し

高校2年目の春、俺こと斎藤司さいとうつかさは引っ越しすることになった。

今までは実家から1時間かけて登校していた。だが、毎日毎日大変だという事を母さんに言い続けた結果、2年生からは一人暮らししてもいいという許可がおりた。

そのためアパートに引っ越しすることになったのだ。


「ふぅ、やっと全部の荷物運び終わった〜!」


引っ越し先のアパートに届いた荷物の移動は完了した。だが、ここから段ボールの中身を出していく作業がまっている。

これが一番めんどくさいと俺は思う。今回は漫画本を持ってきていないため、荷物としては少し少なめだろうが、それでも多い。

段ボール箱だけでいうと、10箱と一般的に見たら少ないかもしれないが、これを開封していくとなると大変なのは間違いないだろう。

それでもやるしかないのだが。


「いざっ、開封の儀!」


自分でもわけのわからない事を言いながら、一つ一つ開けていく。

あれから何時間たっただろう。外を見ると暗くなっていた。

お腹も空いてきたし、今日はこのくらいにして、明日また残り2箱開封するか。

適当にコンビニでご飯を買ってきて食べているときにふと部屋を見渡すと、最初何もなかった部屋が家具などでうまっていた。


「なんか、すでに生活感あるれてるなぁ〜」


なんて呟いたが、勿論返事は返ってこない。

いつもなら母さんが何かしら反応ひてくれるが、その母さんがここにはいない。

そう考えると、なんだか寂しくなってきた。

まだ1日も経っていないというのに、すでにホームシック気味だ。

静か過ぎるのがダメだと思いテレビをつけたが、それでも寂しいと感じてしまう。

そういや、引っ越す前に母さんが『隣人との関係を上手く作ることが大事なんだよ』という事を言っていた。

たしかに良好な隣人関係を築けていた方が、なにかと便利かもしれない。

まぁそれは明日の昼頃、挨拶しにいくとしよう。そうと決まれば今日は疲れたし早く寝るとしよう。


次の日、残りの段ボールを開封していき、ついに全部を出すことができた。

明日から学校だと考えると憂鬱な気分になったが、荷物も全部開け終わった後だったため、清々しい気分の方がまさっていた。

10時くらいに挨拶に行くことに決め、それまではゆっくりしておこう。


「挨拶しに行く時って贈り物とか必要なんじゃね?」


部屋の中を見るが、贈り物みたいなやつはなかった。

買ってくるしかないか。幸い、俺は角部屋ということもあり、隣の人だけに買えばいいだろ。

なんとなく、コンビニで買ってくるのはいけないと思った俺は、スーパーに行くことにした。

〈隣人 挨拶 贈り物〉

携帯で検索した結果、海苔や石鹸などがベターということが書かれてあった。

なら海苔にしよう。海苔ならご飯の時に使えるしな。


スーパーの店員さんに聞くと、それらしい包装をしてくれたため、それを持ってそのまま隣の部屋まで向かった。

いざ、インターフォンを鳴らすとなると少し緊張してきたが、ここでうだうだしててもどうしようもないと思った俺は、震える手でインターフォンを鳴らす。

ピンポーンという音とともに、どこかで聞いたことのあるような声が聞こえてきた。


「はーい、どちら様ですか?……って、斎藤くん?」

「……もしかして、伊藤さん?」


中から出てきたのは、学年一美少女と言われている、伊藤春香いとうはるかだった。




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