012 光降る

砂漠 に ミルクの一滴

水瓶座

ひびった

空から すべりおりる糸

伝う

しずく

夢想する 花嫁、の 香り

ブライダル・ヴェイル、金平糖より、

小さな

真珠の削り屑。



 (( 見よ、東方から三人の博士たちが

 (( ペンと

 (( 鉄と

 (( なみだを捧げて。



飴 のよろい

は重く、空色

繰り返すうろこ

硝子がらすの手触り、

空と 海と

を 煮詰めて

虹を

映し

海を

旅し

らせ

七色の星、

  ルビイ

   コオラル

    トパアズ

     エメラルド

    アクアマリン

   サファイヤ

  アメシスト、

七つの海を

輝きで満たせ。



 (( ちいさなさかなたちよ、

 (( そのうろこのひとつさえ

 (( とうとき預言の文字となるように。



冬のよる、がてついて

広く

遠く

氷り膨れた星

七重の夜天

を 打ち鳴らす

祈りの鐘。


さばくが光っているのは、

星の砕け た

しかばねの 寝床、


愚かな手がこれを

すくってまつや長い髪

手足に

まで浴びる と

うつろのひかり

まとう 女たちよ

世界 の、死骸で

装い

舞う

幸いなるかな、バビロン

祝福 され た

愚かの

宴よ。



 (( そのときひつじは、砂漠のほとりで

 (( 懐かしい 星の夢をみた

 (( すべり落ちる ミルク は

 (( にえになった母ひつじ、の、

 (( なみだ

 (( 鉄と

 (( くだけた 硝子ペン と

 (( ああ

 (( バビロン。




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