謎魔人VSヒロイン? ~謎魔人は燃えているか~
炎と嵐がぶつかり合う。
周囲に高温の風が吹き荒れ、壁や地面が熔けてマグマと化す。
「喰らうかよ!」
手の中でバールが唸り、空気を取り込み、圧縮し、嵐を撃ち出す。
『風の
両手に持ったバールを高速回転させ、両手に圧縮した嵐を生み出してその間に有るものを嵐の破壊力で粉砕する。
戦闘の天才。自身の影を踏んだ者を反射で攻撃する様なそんな天才が使いそうな技。
互角にぶつかり合う炎と嵐。
しかし、拮抗していた両者は直ぐに均衡を崩した。
炎が嵐を侵食し始めたのだ。
炎は螺旋をじわじわと燃やし始め…………八華を焼き…………
「焼かれるかぁぁあ!!」
炎を塞き止めていた嵐に変化が起きた。
嵐が燃えて炎を引き裂き始めたのだ!!
『風の
これの良いところは、たとえ2つの嵐を避けても、螺旋の超引力で強制的に周りを引き摺り込んで攻撃出来る不可避性能だ。
それはたとえ、
嵐が炎を呑み込んで進んで行く。
周囲のマグマや岩をも呑み込んで進む。
炎が螺旋の中で圧縮、光輝き……………
「ほう……………」
謎魔人を炎の嵐が呑み込んでいった。
「無い…………………」
灯りに照らされた洞窟をさまよう様に歩く少女。
目線は真下。灯りに照らされた眼をキョロキョロさせて何かを探している。
目当てのものを集めていた少女は今、その目当てのものを見付けられずに焦っていた。
歩けども歩けども歩けども、目当ての石は見つからない。
「ここにも無かった………」
肩を落としながら石を集めた袋を置いておいた場所へと戻って行く。
魔石が目一杯詰まった袋が
彼女は知らない。
この辺りに有る、素手で採集出来る石が殆どその袋の中に有るという事を。
「………有った。」
戻ろうと歩いている道中、揺れる灯りに照らされて、岩と岩の間の奥に輝くモノを見つけた。
少女は急いで駆け寄りそれに手を伸ばす。
上半身が岩の間に入り込み、首飾りと魔物除けが服から出る。
「もう少し……あと…………取れた!」
胴体を岩の間に押し込み、石に手を伸ばす。
プチ
岩の間から魔石を取り出した時に魔物除けの紐が千切れた。
彼女はそれに気付いていない。
「暇潰しみたいに言ってくれてたけど、少しは役に立てた?」
肉を焦がす様な凄まじい熱気が充満する。
マグマ滴る洞窟の中、八華は目の前で燃え上がる火柱を眺めていた。
炎と嵐のぶつかり合い。勝ったのは私。
目の前では燃える柱が轟々と音を立てていた。
「…………………………おかしいな。」
威圧感、というか殺意が消えていない。
全然衰えていない。これは……何?
ヒュン
そんな疑問に答える様に辺り一帯から熱さが消えた。
流れていたマグマが色を失い、滴りかけていた洞窟の天井が固まって鍾乳洞の様になり、火柱の火が消えた。
火柱の中には上半身の無くなった謎魔人が居た………
「私の炎を撥ね返すか………人間にも中々面白みの有る宝が居るようだな。」
口が失くなった筈の謎魔人の声が響いた。
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