どこだってドア


 「これで全員…で良いの?」

 「は……い。

 攫われたのはこれで全員ですが……一体どうするんですか?

 この国最高峰の騎士や魔法使いを倒して、私達を救って………貴方は……魔王様ですか?」

 怯えていた女の子の一人がビクビクしながら私の方へと近付いて来た。

 小柄で筋組織があまり発達していない、赤毛の女の子だった。

 「私は別に魔王じゃ無いって!

 何なの⁉会う人会う人、人の事を人間扱いしないで!失敬しちゃう!」

 誘拐の挙句、武装した不審者集団に完全包囲されて、罵詈雑言って…流石に…私だって凹む。

 それを見て女の子は察したのか、頭を下げた。

 「御免なさい!お姉ちゃん!

 助けてくれたのにそんな事言っちゃって!」

 悪い事をした。

 この子達だって不審者に攫われて、変な連中に手足を繋がれて………怖かっただろうに。

 錯乱してても仕方ない…と思おう。

 「皆、もう怖い人は居ないわ(理由:私が倒したから)。

 さぁ、皆で逃げましょう!」

 さぁ、考えを切り替えてレッツ脱走!

 女の子全員とランデブーになると、流石にお姫様ダッシュ逃亡は出来ないし…………。

 よし、我が家に伝わる『どこだってドア』を使うとしようか。


 「皆、付いてきて!」




 石造りの建物から出ると、そこには5mくらいの大きな壁に囲まれた建物の中だった。

 建物on建物だった。

 私達の居た石造りハウスの外には海外の城の塔みたいなものが沢山有った。

 ここは…どこかの城の城内の一室だったのかな?

 「ジャンプ!」

 バキン!

 垂直飛びで壁の外を見る。

 外には背の低い木造っぽい建物と石造りっぽい建物、それに人が沢山居た。

 大きな城下町。この壁を越えたら崖落ち…なんて事は無い。

 シュタ!

 着地&耳を澄ます。城内は静かで、私がやらかした事はバレてない。

 なら、『どこだってドア』を使える。

 人が居ない事を確認して、さっき跳んだ時に見た、街の方向の壁に近付く。

 「皆、急いで。今直ぐ出口を作るから。」

 女の子達がザワザワし始める。

 「お姉ちゃん、出口を作るってどういう事?」

 赤毛の女の子が代表して私に訊いて来た。

 「それは………パンパカパンパンパーン。こういう事。」

 ドコ!パラパラ………。

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