晴れた日はマイクをもって
後藤道則
第1話 カセットテープとラジオごっこ
周りに大きな音の物がないか確認して、レコーダーの赤いボタンを押す。
そこから、それがはじまる。
テープが決まったスピードで回り始め、もう一台でオープニングのBGMを流しはめる。誰か聴いている訳でもないが、すこしかしこまったような感じになって、一言。
「クソ英語の時間です。」
タイトルから想像はつくだろうが、本人としては某語学教育番組のパロディのつもりなのだが、話の内容に英語は一切出てこない。おそらく特定のキーワードを言いたいだけだったのだろう。
まあ、小学生低学年の頃の男子であった私の発想って割とそんな感じ。すでにそのテープどころか、再生するプレイヤーすらないのだけど、まああったとしても聞かせる事には躊躇するだろうと思う。
確か、「共演」していた人もいたろうから、多分その時点で許諾が取れないのは確実と言ってもよさそうだ。
正直、いろいろおおらかな時代で、普通にマイベストの交換をカセットテープでしていた記憶だし、ごくごく普通に(今から考えると)ちょっとやばげな替え歌が流行ったりもしていた。
不特定多数に聞いてもらえる手段はとても少ないけども、ある意味自由を謳歌していたのかもしれない。
もっとも、今が不自由なのかというと、必ずしもそうとは言いづらいのだけど。
ただ、誰も聞かないからというのもあるけど、何も考えずに話せてたあの頃とは考える事がいろいろ増えたなと。やっぱり思う。
おっさんの昔話とか聞きたくないだろうけど、ごめん。もう少し続くと思う。
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