第2話

 「これマジですごぉーい!」


「うぇえぇええええええええええええ、なんで、なんでなの!?」


「信じられなーい!! ありえなーい!!」


などもうほんとばかばかしい毎日だった、毎回毎回おんなじような--引いたカードを当てるだけ、コインや小物とかが消えるだけ、移動するだけ、輪ゴムやタバコが貫通する、切ったと思ったロープがつながってた、結び目ができたと思ったら消えてた、ルービックキューブの色が投げ上げた一瞬で揃う……だからなんだよ?


くっそしょーもない何の役にも立たないことをさももったいつけて格好つけてドヤ顔するバカな貴族の相手をしてきた。もう我慢の限界、笑顔を作るのももうきつくなってきてる。

そう思っていた時だった。


「お前ぶっちゃけ俺のマジックすごいと心の底から思ってないだろ? 俺にはちゃんとわかってんだぞ!」


「そ、そんなことないけどぉ……どうして?(当たり前だろ、そう思えるやつなんて世界中探してもいねーよ)」


「もう良いよ、お前との婚約は解消だ。俺のことを本当に理解してくれる相手はほかにいくらでもいるから出てけ! アバズレが!!」


は? いるわけねーだろナルシストが調子乗んなよボケ! その場でボコボコにしてやりたかったが今後のことを考るとそこはぐっと我慢していた。だが怒りが収まったわけではないのだ、思い出すたびに殺意が止まらない、あの野郎だけは絶対許せねぇ、調子こいて私を振ったことを後悔させてやるのだ、そうやつの命よりも大事だと思っているものを弄ぶことによって……

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