修羅地獄の最強が異世界転生

なんよ~

修羅地獄

修羅道を脱する

 ここは、修羅道の世界。この世界に住まう人々は、日夜戦い、血肉を奪い合い、血で血を洗う闘争本能が永遠に絶えることのない世界。




そんな世界で私は生死を繰り返している。今も、この世界で最強の阿修羅と戦っている。もう何億回と戦っているが一度も勝ったことがない。




阿修羅から繰り出される六本の剣の斬撃、三つの頭による的確で隙のない判断。



すべてに置いて、私を上回る最強の存在。




だが、今、その正確無比な斬撃を掻い潜り、冷静沈着な阿修羅の隙を突き、一手ずつ修羅地獄最強を追い詰めていく。



そうして、最強の頂きが見えた時!!




ついに阿修羅の胸に剣を突き立てる!! その瞬間、阿修羅な豪快な笑みを浮かべ、





「よくぞ、我に勝った!!汝はこの修羅道を極めし者だ。さぁ、次の六道へと行くがよい。」




そう言って、息を引き取る。しかし、私と同様また、生と死を繰り返しこの世界で永遠に戦っていくのだろうと容易に想像がつく。




ふと、目の前が暗くなる。だが、心は穏やかで、この死が修羅道からの脱却を意味していることを私はなんとなく理解した。




「ああ、やっと戦いから、解放される。」




そう思いながら、意識が途絶えるのであった。そして、次の世界へと転生するのであった。




 目覚めた時、私の意識は青年の身体に宿っていた。これはなんだと思いながら、辺りを見渡す。手には剣を持ち、得体のしれない化物が目の前にいた。




そして、周りには私のような人間が二人いた。ふたりは涙を浮かべながら、絶望の色に染まっている。




私は状況が理解できなかったが、この者たちからは戦意が見られないことだけはわかり、化物共からはわかりやすい敵意を感じた。




そして、私の闘争本能が戦いを求めるのであった。




化物の一匹が私よりも大きな身体で突進してくる。だが、私にとってはとてつもなく遅いもので、剣を握り一振りする。




しかし、化物はそのまま、私に向かってくる。そして真っ二つになって倒れる。




「なんだ、弱すぎるぞ。」




なんという弱さに愚痴が零れる。化物共は仲間の死に興奮し、次々と襲ってくる。




「遅い。」




横に斬撃を振りかざす。すると、化物たちの身体が散り散りになっていく。その斬撃に耐えられなかったのか、剣が木端微塵に砕け散る。




少女たちはその光景に言葉もでない様子で、ただ茫然と見ていた。




「なんだ、お主ら。戦わないのか。」




と言葉をかけるも、彼女らは混乱した様子で固まっている。




私は一体、こんなふぬけた畜生共がいる世界は、いったいなんだと思いながら、何の六道に落とされたのかと考えるのであった。

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