勘づく

 ランは城から街を眺める。少し慌ただしい様子が窺えてくる。そして、港の方に目を向けると、たくさんの石らしきものが船で運ばれているのが見てとれた。




もしやと思い、外に出て山の方向に向かって飛んでみる。すると、城下町から少し離れた山々でモクモクと白い煙が上がっていた。




そこに降りたって、様子を窺う。




「なんだ、あんちゃん、ここになにしにきた。」




そう言ってけむくじゃらなおっさんが話しかけてくる。




「ああ、ここを通りかかってな。これは何をしているのだ。」




そう問う。すると、おっさんは




「なんだ、あんちゃん、そんなこともわからねぇのか、しゃねぇな、今、木炭作ってるところなんだ。今、人手が足りねぇんだ。あんちゃんも手伝ってくれ。」




即答で




「嫌だ。」




と答える。そして、更に質問する。




「いつから、こんなに作るようになった?毎日こんなに木炭を作っているのか?」




「ああ、そうだな、2日前ぐらいからかな急に大量に木炭が必要になったって、騎士様がこの辺まで来てよ。それで村総出で、木炭を作っているってわけだ。」




この一言に、ニヤリと笑みがこぼれる。その言葉を待っていたと言わんばかりに、空高く飛び立つ。




どうでもいいことだが、おっさんは、突然の出来事に唖然としているようにも見えた。




 そして、城へ着くなり、リリスにこのことを問おうてみる。




「リリス、王から何か聞いてないか?」




その問いにリリスは、首を傾げ何も聞いていませんと答える。




それが答えになっているとは、知らない姫は脳天なものだと思いながらも、まだこのことを秘密裏に行っていることを確信する。




どうやら、この国も、動き出したようだ。どれポスタニアの街にでも行って様子を見てくるか、そう思いながら、また空高く飛ぶのであった。




 ポスタニアの一番大きな街に着く。その街は湖の近くに隣接していた。街の様子は、ジルド皇国ほど、慌ただしさを感じない。




少し、期待はずれに思う。この国には城らしきものが見当たらなかった。しかし、物騒な雰囲気を醸し出している建物が見つかったので、そこに着地する。




そこには、武装した兵士が大勢おり、退屈そうに訓練を受けていた。この国は、どうやら動かぬかと思った矢先、血相を変えて建物から出てくる集団を見つける。




あやつらは、もしやと思い、聞き耳を立てる。




「議会はわかっとらん。ノルディンがあの城を占領したままの意味を。」



とその中で一番えらそうな男が怒鳴りながら、部下達を引き連れている。




その部下達が、




「ですが、将軍、本当にノルディンは攻めてくるのでしょうか。私にはそうは思えないのですが。」




と言う、すると、将軍がさらに怒鳴りながら、




「だから、お前はまだひよっこなのだ。それにあのヨルダのことだ。あやつを一目見れば考えも変わる。味方だと頼もしいが、敵に回すと恐ろしい男だ。」




「ほぉーー、この男、わかっておるではないか。」


私は思うのであった。

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