第6話 試合に勝つ!
晴天。
レンガ村の中央、特産品のレンガで作られた立派な闘技場はこれまでにない程の熱気で溢れていた
この村の闘技場は円形をしており、フィールドにはいくつか壁が設置されている。これを上手く使って立ち回りたい所だ
「うぉほん。前置きはいらんな。これより、
村長が高らかに宣言する
「「「ウォォォーーーー!!!」」」
戦闘祭、これが大会の正式名称だ
「ルールは事前に説明した通りじゃ。出場者よ、健闘を祈る。」
村長は拡声石を隣の若者に渡した
「えーこれより、Aブロックから勝ち残り戦を行います。Aブロックの皆さん、出場してください。」
歓声がこちらにも聞こえてきた
「遂に始まったか…」
俺は闘技場の中にある選手の控え室で宣言を聞いていた。緊張してないと言えば嘘になるが、思っていたより冷静だった。
俺はBブロック。次の組だ。
「よお、ミミック。」
昨日からかってきたリザードの一人が話しかけてきた。こいつも大会出場者か。
「…」
「おーこえーこえー、今からそんなにピリピリしてたらもたねぇぞ?」
「チッ」
無視だ。こんな奴に使う体力は無い。
「無視、か…俺、知ってんだよなあお前の大事な大事な親のことをよぉ」
「!」
こいつ…
「いやいや、弱いって大変だな!普通に生きることもままならないなんてな!」
周りからも笑い声が聞こえる。
「お前ら…いい加減にしろよ…!」
「はっはっは、安心しろよ。お前もBグループなんだろ?試合で好きなだけ穴開けてやるよ!この俺様の槍でな!」
そういってが槍を俺に向けてきたその時、
「は、早い!一瞬だ!一瞬にして終わってしまいました!Aグループ勝者は、ニャーナイト!」
ウォオオオーーー!!!
闘技場が揺れる。ニャーナイトとは、鎧を着た二足歩行の猫だ。
「早えな、あのやろー始めから本気か。まあいい、ミミック、一瞬で終わらせてやる。」
「Bブロックの皆さん、準備ができ次第フィールドに向かって下さーい。」
お呼びが掛かった。準備は既に終わっている。リザードを横目に、俺は外に出た。
四人が円形のフィールドに分かれて立つ。相手はリザード、バルール、ベアーガだ。バルールは魔力を沢山溜めることができ、その分お腹が膨らむ蝙蝠で、ベアーガは皮が硬く、ダンゴムシみたいに丸まって転がる熊だ。バルールはかなり魔力を溜めている様で、風船の様になっている。
お互い睨み合う。リザードと目が合うと、下卑た笑みを浮かべてきた。
若者が声を張る
「それでは!Bブロック、開始!」
「
「
始まった途端俺に向かって二つの魔法が飛んできた。だがそれは予定通りで対策済みである。
俺は影の手を二本出すと、更に手に魔力を乗せ、地面を押した。
「おーっと!?開始早々放たれた魔法をミミックが高く飛んで回避したー!?」
そのまま空中で口からボウガンを取り出し、バルールに向かって撃つ。ボウガンに手の強度は関係ないので、使いやすい。
バルールが矢に気を取られている間に着地する。そこをリザードとベアーガが追撃してくる。
俺はすかさずボウガンをリザードに向かって投げつけた。そして転がってくるベアーガを十分引き付け…言った。
「
「なっ!ぐぁぁぁああ!だが、まだだ!」
あまり効いてないか…まあ、最初から動きを止める為にうったのだが。
「流石に硬いな…
怯んだベアーガが腹を見せた瞬間を狙う。流石にミミックが2発目をうてるとは思っていなかったようだ。
「は…?ぐはっ!………」
ベアーガは至近距離での火炎を喰らい、フィールド外へ吹っ飛んだ。
二本の影の手が消える。不意打ちは成功。次からはこれほど上手くは行かないだろう。バルールとリザードが両方視界に入るように体を向ける。
「な、なんと!Bブロック最初の脱落者はミミックではなくベアーガだぁぁ!そしてあのミミック、火炎を2発使ってピンピンしている!!これはどういう事なんでしょうか!!」
「キィ!やるなお前」
「…お前何をした」
やっと俺を敵と認めてくれた様だ。リザードにもう笑みはない。
「お前らはミミックを舐めすぎなんだよ」
俺は一呼吸置いて言ってやった。
「悪いが今日、俺は負ける気がしない。よくも散々コケにしやがったな、掛かってこいよ。ぶっ潰してやる」
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