第8話 目覚めの時

ごるさんは不思議な夢を見ていた


今までとは違う映画のような


長い長い夢





何やらとても煩い


しかも体が動かない


なんかバカに


「残念なんかじゃないもん!」





一瞬寝落ちしたゴルゴダは


そう叫んでみたものの


ピクリとも動かない


そっと目を開けると暗くて何も見えなかった





目が慣れてきたところ変化があった


枕が動き左手に触れていたものが消え


右手に髪が巻き付き槍の穂先が少しずつ浮き


槍に触れた手が徐々に持ち上がり


槍が動いたことにより足元の壺が倒れた


やがて芳醇な匂いが充満し


箱の中にマナが充満する


体中に力が漲り


左手も動くようになった


枕が無くなった事で枕元にある


マナに触れたことで光を帯びた葉が目に入った


頭をうまく動かせないので


そのまま手首に鎖を巻いた


上に乗った重りが無くなった事で


本がパラパラとめくれはじめた





最初に箱の上に


黄金のライオンが現れ


金色の翼を生やし


やがて鷲の姿となり


ライオンの部分が白く染まっていった





ゴルゴダが左手を蓋に当てても


動く気配がない


まあ天井だが





「もおうるさーい!」


癇癪を起こして槍に力を入れた瞬間


ビヨーンと伸びて


ガコンっと言う音と共に蓋が弾け飛んだ


同時に「ボキッ」っと凄い音がした


おそらくカゴメなる捕縛障壁的なものと


矛盾的な事象が起き


両方壊れたのではないだろうか


自由に動けるようになった


グリフォン的な何かが


一瞬で飛び立つと天井の結界にぶつかった


衝撃で羽の先まで白く染まったその一枚が


ひらひら落ちてきた


上半身だけ起き上がっていたゴルゴダは


自分の姿を見て一瞬悲鳴をあげそうになるが


なんとか堪る


目の前の白い人に


振り返って欲しくないからである


グリフォンと結界は拮抗していたようだが


突如グリフォンが


燃え上がり


燃え尽きて


消えてなくなる


まさにその瞬間に


最初に落ちてきた羽が


白い大きな布状になり


ゴルゴダに落ちてきた


それはとても軽く


ふわりとしてた





はっとして上を見上げると


燃え尽きた羽が一枚だけ


風に煽られて結界の外に出てた


素っ裸で放り出されずに済んだゴルゴダは


「ありがとう」と心から感謝して


一粒の涙を流した





それは下僕にしたかったとか


もふもふしたかった


などの下賎な考えからでは無いのは明白で


まあ考える余裕など無かったから


いずれにせよ純粋な気持ちだった





すると火のついた一枚の羽が


元の姿に戻っていき空高く飛んでいった


色は赤と黄金色に変わっていたようだが





ゴルゴダは白い布を巻きつけ


開いた本を閉じ


折れた矢先を重り替わりにして


子鹿のようにプルプルしながら立ち上がった

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