オタク男子とバイセ女子
都稀乃 泪
第1話 これは酷い愛の告白
「三次元では君を一番愛してるので僕と付き合ってください」
放課後の誰もいない教室、
愛の告白なのかも怪しいその言葉に、女の子は一瞬ポカンとした表情を浮かべたあと、こいつがどこまで知っているのだろうか、と勘繰る様な目付きになった。
成田はスマートフォンの画面の中の女の子の画像を見つめていたが、女の子の視線に気づき
「何ですか?」
と言い放ったが、動揺した様子を隠しきれていない。
「・・・・・・それって告白?」
女の子は訝しげに問うた。
「そうですけど」
当たり前のように成田は答える。何を言っているのか理解できない、と言うように頭の上にはてなマークが沢山陳列された。
「そう・・・・・・」
帰ってきた言葉は予想の範囲内だったが、ここまであっけらかんとされると私がおかしいみたいではないか。そう思いながらも女の子の心は決まっていた。
「じゃあ、良いよ。ただし・・・・・・」
少し間を開ける。彼女の声が無人の教室に響き渡り、その最後の音の響きが教室内から完全に消えたあと言い放った。
「男の中で一番、でも良いならね」
女の子は完全に成田がこれでドン引きすると思った。だから、傷つく準備をしていた。それでも、こいつなら誰かに言いふらす心配はないだろうと、事実を告げたのだった。
しかし、成田は一瞬も動揺した素振りを見せず
「じゃあ、明日からよろしくお願いしますね。叶わない恋をするもの同士、頑張りましょう、
そう言ってニコリと作ったような完璧な笑みを浮かべて成田は教室を出ていった。
女の子は既に動揺を隠しきれず、覚束無い足元でかろうじて一番近くの椅子に座り込んだ。
手で顔を抑えながら、もう笑いしか込み上げてこなかった。
「あいつはどこまで知ってる?」
そう呟いた声が教室にこだまする。
「あ!千歳!こんなとこにいたのかよー!」
そう言って同じような金髪の女子生徒がドアを乱暴に開けて教室に入ってきた。
「早く帰ろうぜ!」
「お、おう・・・・・・」
千歳は力なく返事して、教室から立ち去った。
オタク男子とバイセ女子 都稀乃 泪 @ask-rain_of_sadness-2
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