叫び

ボタンを掛け違えた季節がまた巡る

伸ばし過ぎた臆病の爪が渇いてくる


浅いはずの喉を呼吸いきが深く往く

透き通るが故に分厚い言の葉で逝く


幾億万の風を頬張るこの地球ほしの舵を

誰もがかじかてのひらで握りながら逃げていく


散り散りになった線を繋いでみる

拍節をうしなったメロディーを集めてみる


砂漠に落ちたエメラルドのように

途切れぬあおい夜に辿り着きますように


煙突の先から昇り損ねた星の影を

たおれた月が体を転がして仰ぐ


何度でも高鳴りそうな予感の果実がある

冷えた夢達に火を炊きつけるような意地がある


心の色がせてしぼみ込んでも

深い暗い闇が光を葬っても


呂律ろれつの回らぬこの時代に産まれたならば

割られたガラスの人間の叫び声を聴け





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