詠み人知らず

からすが俺の夢を喰ふ

こんな骨なら要らねえと

罵りながら夢を喰ふ

いつの間にやら果ててゐた

あの日の夢の死骸だが

躊躇もせずに飛び掛かり

彼方此方あちらこちらに喰ひ散らし

黒い惡魔がよく嗤ふ

希望なんてとただ嗤ふ


目玉喰はれた眼窩がんか

空を見上げて何想ふ

可細き指の關節かんせつ

あらぬ方へと曲げられて

虹の橋さへもう指せぬ

光の鍵も持てはせぬ

何處どこへ消えたかあの絶美

何故なぜに消えたか最後の

み手失くした悲歌なれば

永遠とわ流離さすらい唯惑ふ


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る