夜のメランコリイ

嵐に向かひて

くろがねの肌をやする夜

錆びいた優しさを朽ちす夜

己唯ひとり 嵐に向かひて

孤獨こどくの牙をみがく夜


時代ときが狂つたのか

それとも 私が狂つたのか

嗚呼 倫理の湧き水はどちらに溢れ

り切れた夜を慰めるのだらう


やつれた夜はメランコリツク

たたずむ未練に餘念よねんがない

さうして また明日も鑢るに違ひない

嵐に向かひて 日々薄くなる鐵の肌を

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