派遣屋戦隊こーだまん

棗りかこ

派遣屋戦隊こーだまん(1話完結)


「正義の味方は、こーだ!」

彼らは叫んだ。

「金はあるか?」

庶民は叫んだ。「ない!」

「金のないやつは、助けーーーーーん。」

こーだまんは、叫んだ。


また、庶民が叫んだ。

「助けに来てくれたんじゃないのか?俺たちを見捨てるのか?」

「国会で問題にするぞ!こーだまん」

「憲法違反だぞ!」

「正義の味方は、そんな脅しには乗らーーーーーーん。」

りりりりり。

その時、腕のヘルパーウォッチが鳴った。

「おっと。」

こーだまんは、ヘルパーウォッチを見ながら言った。

「初見だから、これまでだ。」

「われわれの存在は、わかったな、庶民。」

「次回から、われらを呼ぶ時は、金を払え。」

「これが、振込先の書かれた派遣屋の名刺だ!」

“ヘルパーwind”を、こーだまんは放った。


まずは、役所の認定だ。

「要派遣認定」を受けろ。

役所は、問題をはけーんすると、はけーん認定をしてくれる。

そして、はけーん、と我等を呼んでくれるのだ。

役所が認定しなくても、来てくれ…。


男が言った。

俺は、「ゼイ」に皆持ってかれそうなんだ。

俺も、「ゼイ」の野郎にやられそうだ。


それはだめだ。

こーだまんは、首を鷹揚に振った。


「ゼイは貴様らの義務をつく。」

助けるのは、「ぜいりしー」の仕事だ。


でも、消費税10%になるんだ、助けてくれ!

「俺は憲法とは、戦わん。」こーだまんは、首を振った。

憲法で、認められたコクミンの義務なんだ、納税の義務は…。


「選挙行ったか?」

「反対派に投票したか?」


弱小野党の下で、「決められる政治」が続いた後のことだった。


また、りりりりり、とヘルパーウォッチが鳴った。

「おっと。時間だ。」


では、諸君!


こんなしょうもない事で、我等を呼ぶな!

派遣の先は、多いんだ。


派遣屋戦隊こーだまんは、天を向いて、戦隊メカに乗り込んだ。

「ケイ」いくぞ!

軽戦隊メカは、「ケイ」と呼ばれていた。


さらば!


「正義の味方は、こーだ。」


認定の得られそうもない庶民は、茫然として、「ケイ」を見た。


あんな、庶民ぽい戦隊も、救ってくれないんだ。


彼らは、役所に派遣されるヘルパーだった。


派遣屋戦隊こーだまん…。


―完―



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派遣屋戦隊こーだまん 棗りかこ @natumerikako

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