第二首 バレンタインチョコ 五句

「椿餅、菓子とはいえど甘味あまみは薄い。餅の名残が拭われぬ仄かに甘いだけのもの。」

「あぁ、若紫の時代にはまだ砂糖はないんだったか」

 おれの言葉を受け、若紫は少しばかり頬を膨らませる。

「……みさといま、わちしをばかに、せなんだか?」

「まさか、してねぇよ。けど、砂糖がないんじゃ、現代いまを生きてる人たちが食べてるような甘いものは、口にするどころか、作れもしなかっただろうな……」

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