第一首 唐揚げ 十一句

 自分の名を呼ばれ、数瞬我に返ったおれは、詠うように紡がれたあまりにも拍子のいい言葉の内に、小さな反論点を見つけた。

「そ、その通りだけど、お前はなんなんだよ。きゅ、急に出てきやがって……。お、お前も名乗れよ……っ!」

 ダメだ、急な事態におれ自身が全くついていけていない────。

 出逢い方がここまで突拍子もないと、質問もろくに浮かばないらしい。

「わちしの名……、その手の本に、よるならば、若紫わかむらさきと、云うことになる。」

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